2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

梅を買いに

朝ドラを視ようとTVをつけたら、総理が何か喋っている。昨日のニュースかなと思ってよく見たら、北朝鮮が発射したミサイルが弊国へ到達せずに落ちたらしいことが判りました。延々と同じ画面を繰り返しながら、そのニュースが続きました。 数日前に彼国から予…

羅馬は

先週の中世文学会シンポジウム「デジタル時代の本文校合」を聴きながら、往時茫々の感慨に囚われたのは、私だけではなかったようです。羅馬は一日にして成らず。 国文学研究資料館は、発足当初からコンピューター利用と古典籍DB作り(『国書総目録』の補訂・…

アタシです

月曜日の朝9:30、電話がかかってきました。先週末からメールで、仕事の連絡をあちこちへ送ってあったので、つい、留守電になる前に出てしまいました。30~40代の女性の声で、「アタシです」と言う。背後はオフィスなのかざわざわしています。 我が家…

豊後便り・薔薇探訪篇

別府暮らしの友人は、この時季、薔薇園をあちこち訪ね歩いているらしい。 本田バラ香園の切り花 【別府市の隣の杵築市山香町にある、本田バラ香園というバラ農園に行ってきました。「ポツンと一軒家」に出てくるような、山中に1軒あるだけのバラ屋さんです…

デジタル時代の本文校合

中世文学会春季大会シンポジウム「デジタル時代の本文校合」に、オンラインで参加しました。司会は書誌学の佐々木孝浩さん、パネラーは『曽我物語』が専門の小井土守敏さん、和漢比較文学が専門の山田尚子さん、それに金沢文庫学芸員貫井裕恵さんの3人。 や…

高級腕時計

エノキさんに、最近は、どうしてそんなことをやってのけるのかが分からんことが多い、と言ったら、こうしたらこうなる、ということを考えずにやっちゃうのが多いですよね、と合槌を打たれました。最近で最も分からないのは銀座の時計強盗です。あんなに人目…

古活字探偵5

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖5」(「日本古書通信」5月号)を読みました。欠損活字に注目することの重要性を、今回は「同種活字とは何者か?」と題して説いています。 古活字版研究の大御所川瀬一馬氏は、よく「同種活字」という語を使っていて、…

豊後便り・五島観光篇

別府で暮らす友人から、愛妻にせがまれて五島観光に行ってきたとメールが来ました。 キリシタンが隠れたというキリシタン洞窟(若松島) 【旅行社の企画したツアーです。ガイドの説明も、NHKの朝ドラ「舞い上がれ」が話の中心で、連ドラを見ていない我々にはよ…

白拍子の芸能

植木朝子さんの論文「白拍子の芸能―歌詞と旋律の間、身体と装いの間―」(「国語と国文学」3月号)を読みました。白拍子とは、平安末期から中世にかけて貴族社会で大流行した歌謡(音曲・舞およびそのリズムをも言い、それを得意芸とした芸能者=遊女をも言…

阿波国便り・藪漕ぎ篇

徳島の原水民樹さんから、「散歩に出かけると、「昔の人の袖の香」(当然、そんな体験はありません)の漂う季節です」とメールが来ました。 東京でも2日ぶりくらいで街に出たら、若葉から木下闇の季節になっていて、吃驚しました。この時季は、ひっそりと葉…

軍記・語り物研究会432例会

午後から軍記・語り物研究会にオンラインで参加しました。発表は①目黒将史さん「平家物語絵画に描かれる厳島の風景―火焼前の灯籠をめぐって―」 ②久保勇さん「尾張藩と軍記物語―徳川義直(源敬公)を継承する諸動向をめぐってー」の2本。会場参加者の数は分…

江戸の絵本

叢の会編『江戸の絵本読解マニュアルー子どもから大人まで楽しんだ草双紙の読み方』(文学通信)を読みました。草双紙とは、18~19世紀、江戸で出版された絵入りの娯楽本の総称です。当初は薄い、小型本で、表紙の色によって赤本、黒本、青本などと呼ば…

ヒロシマの新緑

TVニュースで、原爆慰霊碑の前に並ぶG7の首脳たちを視ました。やっとここまで来た、とまず思いました。曲線屋根の向こうに揺らぐ炎―私たち日本人は、あの火が同朋を焼き尽くした(焼け跡から採られた)火だということを、見る度に思い出すのだ、と知って欲…

カルメ焼

放映中の朝ドラで、主人公がカルメ焼にかぶりつく場面が印象的に使われています。子供の頃、縁日や祭の屋台での買い食いは厳禁でした。買い食い禁止は学校の決まりでもありましたが、博多は水が悪く、父の幼い妹が疫痢で亡くなったことが影響して、我が家で…

バベルの塔

生成系AIの話題が日に日に拡大しています。チャットGPTのアプリを友人がスマホに入れていたのを、一緒に面白半分で試してみたりはしましたが、私の知識は殆ど入り口にも達していません。報道で知るだけでも、当初は主として著作権問題、教育指導上の問題だっ…

信濃の30時間(+α)

上田はちょっと買いたくなるお土産が多い所。みすゞ飴を始めとして銘菓、銘酒、農産加工品、絹製品などがあります。北国街道にある酒蔵に案内されました。放映中の朝ドラでは主人公の姉(じつは従姉)が、女は蔵に入ってはいけないと言われて口惜しがる場面…

信濃の30時間(2)

別所温泉では朝風呂にも入りました。若い頃は躊躇われた露天風呂も、傘寿になれば怖くない。ほどほどの湯加減を楽しんでいると、後から入ってきた人に何か話しかけられました。眼鏡は外しているし湯気でもやっているし、背格好も頭髪も友人と同様だったので…

信濃の30時間(1)

上田へ出かけました。ミナト君の家族にちょっとした用談があり、別所温泉に1泊して無言館を観る、という計画です。あいにくの雨と寒空。それでもコロナ明けの解放感からか、北陸新幹線は上野ー軽井沢間はほぼ満席でした。駅前で友人と落ち合って蕎麦屋へ入…

体験的電子事情・ツイッター篇

コロナで外出が制約される日々、仕事の合間にツイッターを覗くのが一つの楽しみでもありました。例えば「今朝 富士」とか「今朝 花」、「今朝 海」などで検索すると、嘱目の景色を切り取った「今とれ」の写真が出てきます。 我が家は富士山麓に墓があるので…

雲は美しいか

渡部泰明さんの『雲は美しいかー和歌と追想の力学』(平凡社)というブックレットを読みました。全100頁、活字も大きくゆったり組まれて速読できそうに見えますが、中味はなかなかどうして一筋縄ではいかない。 本書の内容は、雲が和歌文学の題材としてど…

有楽町で

先日、夕食後にフランク永井の特番を視ました。筑豊出身の元フォーク歌手が司会する番組です。歌謡曲を敬遠していた私も、三橋美智也とこの人だけは一目置いていました。生粋の歌謡曲を歌いながら異種の歌曲に挑戦していたところが気に入っていたのです。 関…

見沼のヌシ

伊藤龍平さんの「ヌシ伝承と治水事業―見沼・印旛沼の事例から―」(「國學院雑誌」3月号)を読みました。長い年月同じ場所に棲み続けて霊的な能力を持つようになった動物を主(ヌシ)と言いますが、死後の霊ではなく生き続けて変化したもので(植物なら神木…

立てば芍薬

誕生祝いに買ってきた芍薬の花も、咲ききって終わりました。花が崩れた後、花びらの山ができるので、塗物の皿に盛って半日楽しみました。 ふと、立てば芍薬・・・という美人の形容があったけど出典は何だろうと思って、ウェブで調べてみました。すると、気が…

真田家の鷹狩り

平家物語巻1で「世のみだれそめける根本は」、平資盛の一行が鷹狩りの帰途、摂政藤原基房の行列に乱暴を働いたことからだと語られます。百合若大臣でも愛鷹が重要な役割を果たし、太田道灌が自らの素養の乏しさを知ったのも、鷹狩りの帰りでした。 二本松泰…

樟の下の休日

人の少ない内に、と東大構内の樟の木陰へ新聞を読みに出かけました。公孫樹並木が鬱蒼と茂り、ヒマラヤ杉が細かい針のような古葉を降らせていました。安田講堂前には左右対称に樟の老木が円い空間を作っています。長い石のベンチの端に腰を下ろし、買ってき…

琵琶法師らしく

新潟の鈴木孝庸さんから、抜刷①「三十日一部平家について」(新大「人文科学研究」152輯)、②「園魔王のふたつの偈―仏教的言説と平家語り―」(「比較宗教思想研究』23輯)と③「邦楽ジャーナル」3月号のコピー、チラシが送られてきました。 ②は巻6の「慈心…

源平の人々に出会う旅 第76回「鹿嶋市・源氏と鹿島神宮」

鹿島神宮(常陸国一宮)は神武天皇元年の創建とされ、武甕槌(たけみかづち)大神を祀っています。源氏とも深い関わりがあり、頼朝から崇敬されていたことなどが『吾妻鏡』に記されています。 【大鳥居】 治承5年(1181)閏2月4日、都では平清盛が死去します。…

日本国憲法2023

日本国憲法 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動た る戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久 にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、…

江戸の花道

佐谷真木人さんの『江戸の花道―西鶴・芭蕉・近松と読む軍記物語』(慶應義塾大学出版会)を読みました。「近世社会の時間・空間認識が軍記物語を基軸にしたものであった」ことを、近世の芸能を中心に検証しようとした論。学術論文集というよりエッセイのよう…

事のあとさき

新聞の新刊書公告で、「新しい戦前」というタイトルを見てぎょっとしました。すぐ傍の記事に「殺傷能力」という語もあったからです。冗談じゃない。タレントが言い出した語がトレンドになったようですが、軽々しく流行らせるような惹句ではありません。 与党…