2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

コロナな日々2nd stage

ここ数日、夕方スーパーへ行くと、狭い店内を男女2人連れの買い物客が塞いで、買いたい物の棚の前にも行けないほど混雑する(こういう時に、身体の大きな男を連れて狭い店内をぶらぶらしないで欲しい。荷物持ち要員で同伴するなら、店外で待たせておけ!)…

定家の外題

佐々木孝浩さんの「藤原定家が記した冊子本の外題の位置について」(「斯道文庫論集」54)を読みました。佐々木さんは、写本の体裁(綴じ方、大きさ、書き出し位置、外題等々)と、その本の内容(ジャンル)とは関係がある、書写を専門にした人たちの間で…

コロナの街

都知事記者会見の後、スーパーへ行ってみて吃驚。まるで略奪に遭ったかのようでした。野菜・果物で残っていたのは馬鈴薯と牛蒡と蜜柑だけ。肉も魚介類もなくなり、麺類の棚は洗ったかのようでした。いつもは見慣れぬ店員(本社から応援に来たのか、いかにも…

宅急便

昨夜、ジブリのアニメ「魔女の宅急便」がTV放映され、ツイッターには#ができました。それを辿って、今どきのアニメの楽しみ方(トリビアルな知識を交換)を知ったのですが、私がかつて最も印象に残ったことを誰も言っていないようなので、書いてみます。 こ…

2つのブログ

お勧めのブログを2つ、紹介したいと思います。1本目は「チョーサー・アーサー・中世浪漫」https://kittozutto.hatenablog.com/ 英文学者の多ヶ谷有子さんのブログです。始めたばかりで未だ読者もあまり登録されていませんが、話題が広く、何よりも人生を楽…

平家歌人

中村文さんが花鳥社公式サイトに載せた「歌人としての平家一門」を読みました。 https://kachosha.com/gunki2020032401/ 中村さんはまず、覚一本『平家物語』では、平忠度が単なる武人ではなく文武両様を自らのアイデンティティとする人物として造型されてい…

さまざまの事思ひ出す桜かな

短い原稿を送り出し、ゲラは当分来そうにもないので、花見に出かけました。例年、友人と歩くお決まりのコースがあるのですが、今年は友人が月末まで来られないというので、その日まで保ちそうな木を下見することにしたのです。 15日には、東大工学部棟の脇…

太平記秘伝理尽鈔と史料

今井正之助さんの論文「『太平記秘伝理尽鈔』と「史料」―楠木正成の出自をめぐって―」(「日本歴史」862号)と「『太平記理尽図経』覚書―『『太平記秘伝理尽鈔』研究』補遺稿4ー」(「愛知教育大学大学院国語研究」27号)の2編を読みました。後者は副…

共存社会

ノーベル賞受賞者の山中伸弥さんが、使命感を以て開設したというHPを覗いてみました。https://www.covid19-yamanaka.com 一つ引っかかったのは、選抜高校野球が中止になったことを取り上げ、球児たちの潔さに涙が出そうになった、高校生だけの社会なら中止に…

ヌエ考

沖本幸子さんの「ヌエ考―怪鳥の声をめぐって―」(松岡心平編『中世に架ける橋』 森話社)を読みました。以前、研究発表の形で聞いたものですが、要領よくまとめられていて、面白く、また爽快に読むことができました。 ヌエは現代では、正体の掴めない怪物の…

酒器の春

先日、ムスカリの花を名目に使って開いた宴会。お土産代わりに我が家のムスカリとビオラを摘んで、小さな花束を差し上げたのですが、早速酒器に活けてみた、と写真が送られてきました。よく撮れていて、小さな花がスターのようになっているので、2枚、御披…

校勘の言葉

高田信敬さんの「校勘の言葉―異本・他本をめぐって―」(「国文鶴見」54)を読みました。講演録から原稿化されたそうで、時折、洒落や見栄の混じる文章ですが、丁寧に実例と論証を重ねて、校勘作業に用いられてきた用語を見直しています。我々が異文表記と…

カイロからの帰国

伊藤愼吾さんの『南方熊楠と日本文学』(勉誠出版)という大著が送られてきました。伊藤さんがこのところ南方熊楠顕彰館に通って、膨大な熊楠の自筆原稿や書簡に取り組んでいたことは聞いていましたが、早くもこれだけ重量感のある本にまとまったとは、熊楠…

青山

父の命日が近いので、彼の好きだったフリージアを花屋に取り寄せて貰いました。白と紫を計30本。うち10本にほかの花を足して、青山霊園へ出かけました。例年通り、母方の祖父母の墓にまずお参りします。20年ほど前、初めて来た時は鬱蒼と木々が生い茂…

呑む理由

去年差し上げたムスカリの球根が発芽しなかったとのことで恐縮し、小さな鉢に植えておいた株を改めて差し上げる、との理由づけで、3人連れで呑むことにしました。以前にも入ったことのある焼き鳥屋、差し向かいで喋りまくりながらの3時間半。たっぷりの濃…

平家物語市民講座

COVID19のため、両講座とも日程変更の可能性があります。詳細は各HPをご覧下さい。 4月から、伊藤悦子講師による平家物語の新しい講座が開講するはずでしたが、コロナ感染予防のため、延期されていました。まもなく開始される予定です。伊藤さんは立正大学…

おまえうまそうだな

九段の桜の開花宣言が出たのに、昨日は終日雪が降りました。鳥取在勤時代、「彼岸過ぎて七雪」という諺を教えられ、気がついてみると、東京も3月になって雪が降る例が結構多いことが分かりました。歌右衛門の亡くなった年、満開の桜に雪が降り、花吹雪と本…

喜劇役者

北大路欣也の「剣客商売」を視ながら、晩年の藤田まことを思い出しました。「あったりまえだのクラッカー」と叫びながら壁を破って登場する三度笠姿で売り出していた頃は、駆け出しの喜劇役者(当時は「お笑い芸人」という語はない)とみなされていたと思い…

見逃すな

もり・かけ・さくらに検察人事―コロナ騒ぎに隠されてはならないもの。今ここで見逃したら、私たちは後世に申し訳が立たない、と思うべきです。法治制度とか政治の公正さとか、我々が毎日、意識せずに踏みしめている足元を崩すようなことだからです。 法務大…

読後感5の2

『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点― 5』(風間書房)の読後感が届いています。ここでは年長者の感想を2通、紹介します。1通目は文学がご専門、2通目は理工系がご専門の方からです。 [どの1編を取り上げても、清新な内容を主張していて好感が持てます。…

渋谷の早春

久しぶりの晴天、布団を干したいのに、と思いながら大学図書館へ出かけました。いま編んでいる本の、挿絵や表紙に使う写真を撮影するためです。屋島合戦の絵巻や、三代記の寛永版本、『曽我物語』の正保版本などを見せて貰いました。 正保3年版『曽我物語』…

雨中の申告

降り止まぬ雨の中、税務署へ出かけました。確定申告書提出のためです。今年から検算はしない、税務相談は上野でしかやらないとの通知が来たので、郵送にする所存だったのですが、手引き書をよく読むと、必要な金額の切手を貼った返信用封筒を入れろとある。…

古状で読む義経・弁慶伝

本井牧子さんの「古状で読む義経・弁慶の生涯」というコラムを読みました(花鳥社公式サイト https://kachosha.com/https-kachosha-com-gunki2020030801/ )。 中世後半から近世初期にかけて流行した、古状型往来と呼ばれる初学用模範書簡集に収載される、義…

老友

『明日へ翔ぶ 5』(風間書房)や『武者の世が始まる』(花鳥社)に書いた人たちの指導教授から、教え子がそれぞれの自分の道をまっすぐに進んでいることが判って嬉しい、見守ってきた甲斐があった、とのお便りを頂いています。これが、我々の職業の老後の楽…

人名と当て字

名古屋市立大学日本文化研究会編『アジアの中の日本文化―ことば・説話・芸能―』(風間書房 2019)という本が出ています。名古屋市立大学の昼夜開講制大学院人間文化研究科の日本文化コースを中心として、2008年から開かれてきた研究会の成果を1冊の…

明日へ翔ぶ・読後感5の1

『明日へ翔ぶ 5』(風間書房)をお贈りした方々から、読後感がぽつぽつ届いています。鳥取大学名誉教授で中世日本史が専門の錦織勤さんは、笠見智慧さんが奨学金給付終了時(平成30年度)に提出した報告書「土器と墳丘墓からみる弥生時代後期の山陰地方の…

法令

コロナウィルスに対する政府の対応が、どこかずれてる、という感想は私だけではないと思います。降って湧いたことだから、との言い訳は、現場の誰もがぐっと呑み込んでがんばっていることで、目立たぬ所でその部署なりに、見事に捌いている人もいるのが報道…

源平の人々に出会う旅 第38回「倉敷市・藤戸合戦」

元暦元年(1184)3月、維盛は那智の沖で入水し、7月には後鳥羽天皇が即位しました。9月になると、源氏の範頼軍は播磨国に入り、平家軍は備前国藤戸に布陣します。両者は海を隔てて対峙したたまま日を送っていました。 【盛綱橋】 漁夫から密かに浅瀬を聞き出…

桃の桃色

近年、花屋で売る桃の花の色が変わったのではないか、と知人と言い合いました。本来の桃の花はもっと薄い、少女らしい桃色だったのに、近年は、濃化粧の女盛りと言わんばかりの色しか見当たらない。時代の流行なのでしょうか。蕾が開かずに枯れる事が多く、…

一般向け

[高木浩明です。今回のシンポジウムでの研究者のやりとりを聞き、とても中身の濃い話ではあったけれど、果たして一般の人が聞いていたら理解できただろうかという風に思いました。研究は、研究者だけがわかればそれでいいというものではなく(そういう考え…