2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

繰り返すなら

教員だった頃、私の教育には極めて単純明快な原則がありましたー真面目にやっている人の前ではふざけるな、どうしても自分が真面目になれないなら、黙ってその場を出て行け、ということです。そこまで口に出して言うのは最後通牒なので、殆ど言ったことはあ…

古代の変容

手嶋大侑さんから『日本の古代とは何か―最新研究でわかった奈良時代と平安時代の実像』(有富純也編 光文社新書)が送られてきたので、読んでみました。 編者の「はじめに」の後、1奈良時代の国家権力は誰の手にあったのか(十川陽一) 2藤原氏は権力者だ…

阿波国便り・ひまわり篇

徳島の原水さんから写メールが来ました。 【吉野川市の善入寺島(吉野川の中州)に、ひまわりの写真を撮りに出かけました。】 吉野川 用があって暫く神戸に滞在していたのだそうで、その間愛犬さくらと添い寝をしていたため、帰ってきてから分離不安を宥めるの…

巴里はいま

暑さに朦朧となっていた午後、電話が鳴りました。巴里からです。同門ですが私より4歳年長で、中世日本文学、中でも御伽草子が専門の仏蘭西人からでした。久しぶりなので、まずは双方ともハイトーンの挨拶。巴里はどう?大変でしょ、と訊いたら、もう滅茶苦…

画面越しの花火

今年の暑さには慣れられません。1日を終えるとくたくたです。昨夜は柏崎の祇園会花火大会、今夜は隅田川の花火大会でした。シャワーを浴びて着替え、麦酒を用意してTV中継で観ることにしました。どちらも民放ですが局は違います。 柏崎は海の向こうに揚がる…

山城便り・甘唐辛子篇

伏見の錦織勤さんは、庭で少しだが野菜を育てているとのことで、蕗(野菜か?)、大蒜など八百屋で買うほどではないが好物、といったものを主に植えているらしい。 伏見甘長唐辛子 【庭の「万願寺とうがらし」と「伏見甘長とうがらし」を収穫しました。大き…

あわトラ

米国大統領選をめぐっては、あまりに事態の展開が急すぎて、あれよあれよです。 高齢と健康への不安をあたかも自ら証明したかのような現職が、刻々評判を落としているところへ、動機もよく分からないままの銃弾がもたらした、あわやという危機を、しかし思い…

大和便り・今年の初かき氷篇

奈良の高木浩明さんからかき氷の写真が来ました。元鴻池邸を移築した、近所のカフェだそうです。思わず白い氷部分に顔ごと突っ込みたい!と思うような、この暑さ。 奈良の宇治ミルク金時 高齢者は不要不急の外出はするな、と言われる猛暑日ですが、送金その…

古活字探偵19

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖19」(「日本古書通信」1140号)を読みました。「『沙石集』12行古活字本は要法寺版か」と題して、表紙裏に使われた刷り反古を手がかりに、太平記や太平記鈔・音義(太平記の注釈書)と沙石集とが、ほぼ同じ時期、同じ…

水戸便り・方言篇

水戸在住の39年前のゼミ生から、写メールが来ました。もう60代です。 宇宙帰りの朝顔 宇宙飛行士の山崎直子さんが持ち帰ってきた種子から育てた朝顔だそうです。一人娘を育てる過程で、宇宙センターやボーイスカウトや、自衛隊など、それまで経験しなか…

暑さで水難事故が増えている、と報じられています。夕焼に染まる敦賀の浜が画面に出て、あんな穏やかな海なのに、と思いました。曲線が緩やかな、遠浅の波打ち際です。私は幼年時代、茅ヶ崎の海辺で暮らしたので、海は懐かしく、しかし怖いものだという感覚…

梅雨明け10日

朝食の卓に就いてオリーブオイルの瓶の蓋を開けた途端、爆発しました。いや、口元から一気に黄金色の油が溢れ出て止まりません。慌てましたが、冷蔵庫から出してちょっとの間に瓶の中の空気が膨張したようです。 朝から暑い!ベランダで干し物竿を拭く間だけ…

四条宮下野集

和田律子さんの主宰してきた共同研究『四条宮下野集』注釈が完結したのは2022年でしたが、連載してきた平等院ミュージアムの紀要「鳳翔学叢」第20輯は、藤原頼通公遠忌950年記念号として、「藤原頼通の時代と文学」という特集を組み、関連する論文…

山城便り・祇園祭篇

伏見の錦織勤さんから、メールが来ました。【13日の土曜日に、祇園祭の山鉾を見に行ってきました。というか、家族に連れて行かれました。ニュースで見る人出と比べると全然たいしたことはなかったのですが、それでも相当な人間の数でした。何を見たか、定…

ほぼトラ

あっという間に状況はかたむいたーその後の展開が速すぎて、べつの状況を思い浮かべる暇さえない。そんな感じの米国事情です。すでに株式市場は次期大統領が決定したことを織り込み済みのようなうごきを始めている、と報じる経済記事もあります。 弱く見えた…

越前だより・伊勢訪書篇

大谷貞德さんから、連休を利用して伊勢の国学者の蔵書を訪ねたとメールが来ました。 有造館入徳門 【津藩の藩校有造館の講堂にあったという正門をくぐってきました。この門は有造館が廃校になって以後も師範学校、小学校などの門としても使われていたようで…

中世文学69号

「中世文学」69号が来たので、まず山本啓介さんの「「京極派」再考ー持明院統の歌風についてー」を読みました。京極派の歌には個人的にも惹かれるし、平家物語流行期の時代性にも関心があるので。本論文は「京極派」という呼称をまず限定し、その後の持明…

選挙プランナー

選挙プランナーという職業があることを知りました。選挙戦略研究所というオフィスを持っていて、党や個人の選挙対策を請け負うらしい。そういうビジネスが成り立っていることは予想していましたが、先日の都知事選で第2位になった候補者の戦略について語っ…

老後事典・ホームの交際篇

新聞の投書欄が、老人ホーム内での交際について特集をしていました。愚痴、成功例、助言などを読みながら、老後の知恵は案外共有されていないし、老後の現実についても知られていないことが多いんだなあ、と思いました。そういう話題を書くと、ブログのアク…

もしトラ

某大国大統領選が近づき、対立党派の候補との駆け引きが連日話題になっています。じつは現職は私と同年齢、いや7ヶ月若い。対立党派の元職は78歳、決して若くはないが格闘技で鍛えた身体は今なお威圧感を与えるのに十分です。現職は以前から動作は緩慢に…

四つの緒

名古屋の月見ケ岡文芸舎の会報「よつのを」13号を読みました。琵琶の4絃に因んだ名の会報です。今年は平曲の譜本『平家正節』編纂250年記念事業が始まり、名古屋・東京・仙台の3都市でイベントが企画され、その情報も満載でした。 口誦で伝わる芸能で…

宮古島のマンゴー

宮古島からマンゴーが届きました。みごとなアップルマンゴーです。30代で亡くなった親友の次男坊、今は宮古島で小さなレストランをやっているシェフが送ってくれました。 電話を掛けてみました。マンゴーは今が旬、香りが立って皮がべたべたしてきたら食べ…

東国対決の木曽義仲

長村祥知さんの『源頼朝と木曽義仲』(吉川弘文館 2023/8)を取り寄せて読みました。年表・参考文献一覧とも180頁のソフトカバー、持ちやすく文字も大きくて読みやすそうに見える本ですが、長元元(1028)年の平忠常の乱から説き起こし、駆け足で保元平治…

一夜明けて

現職の圧倒的勝利で終わった都知事選。しかし後味の悪さが残りました。法で取り締まられないからと言って、何でもやっていいというものではない。大人の分別(ああこれはすでに死語か)というものがあるだろう。選挙権・被選挙権は大人の特権なのに。 私が心…

不要不急の

朝のうち、と心がけて投票に出かけました。最高気温36度の予報、不要不急の外出は控えるように、と頻りに呼びかけられているのですが、今回はどうしても投票所へ行かねば、と思いました。ぜひ当選させたい候補がいるわけではありません。当選者には勘違い…

帝諡考

田代圭一さんの論文「宮内庁書陵部蔵『帝諡考』の成立過程ー森鴎外の書き込みをもとにー」(「書陵部紀要」75号)を読みました。 森鴎外(1922没)は晩年、宮内省図書寮の頭を務め、歴代天皇の諡を考証した『帝諡考』を著しました。大正8(1919)年10月…

川越便り・マニア原点篇

薔薇マニアの友人に、思い出の薔薇3つを挙げよ、という謎をかけたら、こんなメールが返ってきました。長い話なので編集しました。 クイーンエリザベス 【私の薔薇好きの原点は病弱だった小学生時代に遡ります。 その当時の住まいは、父が戦中勤めていた中島…

卓袱台返し

某大国の次期指導者がどうなるか、社会主義国の指導体制はどこまで膨張し続けるのか、弊国の政治家たちの倫理感、殊に金銭感覚の劣化をどう防げばいいのか、無力感に陥没しそうな心配ごとが続きます。国内でも未来に確信が持てず、政治はとりあえず目先の保…

世の中騒がし

𠮷海直人さんの「「世の中騒がし」に疫病を読むことー『源氏物語』薄雲巻の再検討ー」(「國學院雑誌」1406号)という研究ノートを読みました。 「騒がし」という形容詞が「世の中」と結びつくと、単に音がうるさいという意味に留まらず、ある特定の情況を指…

越前だより・恐竜篇

福井高専の大谷貞德さんから、恐竜の写真が送られてきました。新幹線で福井駅に降り立って、まず目に入ったのがこれ、だそうです。 駅構内の恐竜 それなりに考証済みのフィギュアなのでしょうが、彩色の方は果たして如何。 小学校の頃は私も恐竜に興味があり…