母を送る歌

兼築信行さんの歌集『改元前後 2016-2019』(花鳥社 2020/9)を読みました。兼築さんは松江の旧家出身、平安後期から鎌倉期の和歌文学研究を専門としていますが、実母を故郷から引き取り、3年間の介護を経て2019年に見送るまで、Facebookに掲載してきた詠歌…

沙石集の世界

土屋有里子さんの『『沙石集』の世界』(あるむ 2022/10)を読みました。沙石集は尾張の長母寺住職を43年間務めた無住(1226-1312)が弘安年間に著し、その後も改訂し続けた仏教説話集です。無住は僧医でもあり、梶原景時の末裔と言われています。幼年時は…

コロナな日々 37th stage

あんみつが届いた、と電話が来ました。今日が命日の叔母の家には無事間に合って、喜んで貰えたようです。ほっとしました。 横浜の老人ホームにいる92歳の従姉からも、嬉しいわ、との電話が来ました。送ってしまった後で、今は、ホーム内の友達とも一緒にも…

米寿と傘寿

朝、宅配便で新刊書が届きました。栃木孝惟著『源頼政と『平家物語』』(吉川弘文館)です。栃木さんは8歳年上の先輩、すごいなあ、この年齢で、と思いながら久しぶりに電話を掛けました。郵便に時間がかかるようになったし、高齢者はメールチェックをしな…

悪戯では済まない

ツイッターを覗いたら、回転寿司という#が出来ています。回転寿司の店内で、男子高校生らしき客が他人の注文の皿に悪戯をしたり、食器や醤油差しを汚したり(あまりに汚くてそのままは書けません)する動画が複数投稿され、炎上している。拡散する意図で投…

少子化の時代

少子化対策に都からは¥5000一律支給の話が出ています。健保の出産一時金上積み分は後期高齢者保険からも拠出することになりました。自民党は大学まで無償化を唱え、政府は・・・とあれこれ美味しそうな交付金の提案が行き交っているのですが、果たして…

平家物語の表現世界

原田敦史さんの『平家物語の表現世界ー諸本の生成と流動』(東京女子大学学会研究叢書 花鳥社発売 2022)を読みました。2冊目の著書とは早いな、と思いましたが、前著から10年目、論文を書くのが楽しい、とあとがきで公言する、仕事盛りです。 2013年から…

地元の名店

早起きして、区役所の地下で開催している「ぶんぱくRe_2023」というイベントに出かけました。「文京区の産業・食・逸品・伝統工芸をまるごと体験」というキャッチフレーズで、今日明日、区の経済課が推進している催しです。お目当ては2つーあんみつ好きだっ…

山城便り・帯状疱疹篇

京都の錦織勤さんから、雪便りが来ました。 伏見の雪景色 【京都は昨夜から雪が降り、JRの列車が止まって大騒ぎになりました。積雪は15cmほどでしたが、積雪より低温の影響が重大だったようです。山向こうは醍醐寺の裏です。】 雪は画像で見れば美しく、雷…

愚管抄の伝来

「國學院雑誌」1月号(1389号)掲載の児島啓祐さんの論文「光圀本系『愚管抄』伝来考ー成簣堂文庫本・天理本・新出写本の関係をめぐって」を読みました。愚管抄の本文には疑問を抱く箇所が多いのですが、最近、坂口太郎さんや児島さんの仕事によってようや…

福豆

正月に大枚はたいて活けた花も、千両の小枝を残して駄目になりました。正月の室礼には、30年前に名古屋で買った藍染の幟を敷くのですが、絵柄が笛を咥えた赤い越後獅子で鬼に見え(大ヒットしたアニメの主人公の妹そっくりです)、節分までは敷いておき、…

未完の秋月伝

郵便受から取り出した1枚の葉書ー寒中見舞に、衝撃を受けました。中西達治さんが昨年11月30日に、83歳で亡くなったとある。たしか12月早々に、「明治16年、秋月胤永60歳の決断」(「金城学院大学論集人文科学編」19:1 2022/9)の抜刷を受け…

古活字探偵事件帖

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖」という連載が始まりました(「日本古書通信」1月号)。古活字版悉皆調査の過程で出会った「事件」を語るそうです。 古活字版とは、近代の金属活字が出現する以前に刊行された活字印刷の本を言い、主に中世末期から近世初…

五類

COVID19を4月から、感染症法の五類に変更する、と既定のことのように報道され始めました。どうしてこの時期に?と思うのは私だけでしょうか。重症化しにくくなったとはいえ、死者の数は増え続けているのです。高齢者や基礎疾患のある人だけが亡くなっている…

中世文学と「連想」

夕方から東大中世文学研究会にオンラインで参加しました。発表は木下資一さんの「中世文学における「連想」の問題ー『続古事談』の説話配列などをめぐってー」、参加者は26名。昼頃に配られた発表資料を見ると、結構若い仕事内容(作業ががっちりしている…

異次元の

昨日の新聞の1面トップは、中国が人口減少に転じたというニュースでした。少子化=国力低下のように書かれていて(しかも少し安堵感があるように見受けたのは、私の誤読でしょうか)、違和感を覚えました。半世紀も前ですが、印度を訪れた時、その人口密度…

阿波国便り・春のことぶれ篇

徳島の原水民樹さんから、先日の「梅干」に同意見だ、とのメールが来ました。何でもかんでも甘くする風潮には、甘党の自分でも賛成できない、とあります。戦時中の砂糖不足から日本人は、甘さ=美味、と勘違いするようになったという説があるそうですが、果…

玉ゆら79

歌誌『玉ゆら』79号の編集後記に、今号の渡英子さんの作品評は「今後の指針となる行き届いた評」とあったので、注意して読んでみました。前号掲載作品への寸評です。 なるほど、単なるお仲間の心温まる感想とは一味違うな、と思いました。1首の読みが深く…

藤原伊通の除目書

手嶋大侑さんの論文「宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵『除目申文之抄』と藤原伊通の除目書『九抄』」(「古文書研究」94号 2022/12)を読みました。手嶋さんは日本中世史が専門、論集『明日へ翔ぶ 4』(風間書房 2017/3)には、「年官制度の展開」を書いてい…

共通テスト

昨日、肉屋へ牛肉を買いに行ったら、こんな路にまでパトカーがうろうろしていました。ショーケースには、¥1000の霜降り肉しかなく、いつも買う¥850のすき焼き用がない。なに、今日は共通テストの日だから特別なの?と訊いたら、女将がにこにこしな…

梅干

昨晩遅くツイッターを覗いたら、梅干離れという#ができていました。若年層の梅干需要が激減している(ここ20年間で4割になった)、という報道への反応です。リツイートには、最近の梅干は高すぎる、とか、甘すぎたり、味付けしたりした商品(調味製品と…

国際家族2023

鳥取大学での教え子、今は米国暮らしの安宅正子さんから、恒例の年次報告が来ました。ソフトウェアの会社に勤める夫と娘2人の家族ですが、長女は夫の母国アイスランドの高校に留学、今はヴァーモント州立大学に入学、部活は水泳の跳び込みで各地に遠征、寮…

米国からの年賀状

米国で暮らすYuri Yamamotoから年賀状が届きました。母方の伯母の孫です。夫と6人の子供がいますが、飛ぶ鳥の絵柄のカードには、末娘の著作権マークがついていました。デザインの仕事でもしているのでしょうか。 【アメリカでは大晦日の晩に中心街などでイ…

うさぎ

子供の頃、兎を飼っていました。ペットではありません。食べるためです。当時、鶏か兎、たまに山羊を飼うのが郊外では普通でした。我が家は、母の実家が湘南地方に持っていた別荘の離れに間借りしていましたが、飼料の草を集めてくるのは子供の仕事で、近所…

軍記物語の窓6

関西軍記物語研究会編『軍記物語の窓 第6集』(和泉書院 2022/12)を読みました。関西軍記物語研究会は昨年で創設35周年、2017年12月以来の成果を元に編まれた論集です。本書には論文20本と武久堅さんによる例会100回記念の跋文が収載されていますが…

信濃便り・どんど焼き篇

長野の友人から、どんど焼きの写メールが来ました。彼女自身はこの6日間ずっと高校受験英語の特訓、明日からはいよいよ試験シーズン突入だそうです。 組まれた櫓 【朝方舞っていた雪も止み、予定通り午後から、神社裏の小さな公園でどんど焼きをすることが…

天正本太平記の節略

和田琢磨さんの「天正本『太平記』の節略本文をめぐる一考察」(「古典遺産」71号 2022/8)を読みました。天正本は、太平記諸本の中でも最も個性のある異本です(新日本古典文学全集所収)。従来、天正本の特徴を論じるに当たっては増補改訂を中心に検討さ…

源平の人々に出会う旅 第72回「京都・仁和寺」

寿永2年(1183)7月25日、木曽義仲の進撃によって平家は都を出て西国へ落ちて行きますが、『平家物語』には、平家の人々のそれぞれの別れが記されています。「経正都落」もその一つです。 【仁和寺北庭】 宇多法皇が仁和寺を御所(御室御所)として以来、仁…

正月料理

エノキさんに、どんなお正月だった?と訊いたら、食い正月でした、との答え。今年は帰郷せず、友達を招んで鋤焼パーティ、仕事始めには焼肉屋に行ってお喋りと食事を楽しんだそうです。働くにはやっぱり肉だよね、がっつり、と友達と言い合いました、1週間…

巴里の老後

年末に巴里から電話を貰いました。年上の仏蘭西人の友人です。年を取って年賀状を書くのが億劫になったから電話で、とのこと。去年1年の消息、共通の知人の訃報、いまやろうとしている仕事のこと、毎日の日課・・・表示される時間を気にしながら、あれこれ…