2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
さきの大戦中に育った世代には、甘藷と南瓜はもう一生分食べた、と言って口にしない人がいます。私もそれに近い感覚かもしれません。現代の甘藷はお菓子のように甘く、スイーツとして加工すれば極上の食材なのですが、どうも高級感がない。当時、昼食に連日…
同期の小島孝之さんから、しばらく別府の別宅(温泉掛け流しのマンションだそうです)に行っていた、とのメールが来ました。夫婦で赤間神宮の「源平ナイト」を観に行ったとのことで、写真が添付されていました。 赤間神宮の源平ナイト そう言えば、地元劇団…
メディアを選ぶ、ということの条件が様変わりしつつあります。単に重要だというだけでなく、結果が大きく異なってくる、そして発信内容のみならず発信者の評価にもかかわってくる、との自覚が、いまどれだけの人にあるでしょうか。メディアなどと大上段に言…
今年の東京は少しずつ季節がずれています。長雨続きの後の快晴、陽光は温かいが風はまもなく木枯が吹くだろう、と感じさせ、でも未だ木犀の香りが街のあちこちに残っています。10月上旬と11月初めとがモザイクになっている。朝早くの舗道には、水木の赤…
東北大学で開催された中世文学会に、日帰りで出かけました。3年間通った東北新幹線ですが、はやぶさに乗れば仙台まではあっという間。男体山は見えましたが、宇都宮駅は懐かしむ暇もなく通り過ぎました。東北大学のキャンパスは紅葉が始まり、ひっそりと静…
軍記物語講座(全4巻 花鳥社)刊行開始 第1回配本は『平和の世は来るかー太平記』です。14本の論文と「『太平記』西源院本・天正本・流布本記事対照表」を収めました。まえがき(小秋元段)には、ここ20年の研究史を踏まえて、各論考の要点が抽出されてい…
仏蘭西からJ・ピジョ-さんが来日されたので、田端の文士村記念館で待ち合わせしました。風雨が激しく、傘を開いては歩けない瞬間もあるほど。記念館はがらんとしていましたが、数組の若い見学者が、文士ゲームのキャラクターを熱心に撮影していました。 少…
昨日、久しぶりに大学図書館へ出かけました。入館ゲートが一新されていて、入館証が通用しない。焦りました。やっと入れて貰い、まず国文学誌の論文を渉猟、ゆっくり読みたいものはコピーを取ります。誰かもネット上でぼやいていましたが、近年は引用した相…
ドコモTVに伊藤悦子さんと本郷和人さんが出演します。 伊藤さんは『木曽義仲に出会う旅』(新典社)の著者。源平合戦の人物にまつわる伝承や遺跡に詳しい。本ブログに月1回、「源平の人々に出会う旅」を連載しています。本郷さんはおなじみ、源平時代の日本…
高校の保健体育で、オリンピックの歴史を習いました。開催するのは国家ではなく都市である、とよくよく念を押され、学期末試験にも「開催するのは誰か」という問題が出ました。国家の利害や対立を超え、平和の理念を実現するための知恵だと聞いたような覚え…
天野文雄さんの『能楽手帖』(角川ソフィア文庫)という本が出ました。現代でも演じられる能250曲の中200曲について、巻頭に「翁」を置き、その後、曲名のあいうえお順に、作者・上演史・展開(あらすじ)・素材・作意・演出などの項目を立てて、見開…
今日から、朝のヨーグルトの器が換わりました。濱田友緒展で買った大ぶりの蕎麦猪口です。益子の伝統色と友緒さんのモダンなデザインがほどよくマッチした、掛合赤絵(益子らしい灰白色と黒の地に、柿に近い赤が効いています)。買う時は自分専用の小鉢に使…
「芸能史研究」226号 特集・〈平家語り〉の展開と継承 奥付:2019/7発行(実際は10月4日刊)。問い合わせ先:芸能史研究会 『平家物語』諸本の展開と〈平家語り〉 松尾葦江 中世前期における盲人の芸能 辻浩和 貞成親王と平家語り 鈴木孝庸 近代…
先発世代は電子化に、みんなそれぞれの苦労をしてきました。中世英文学の多ヶ谷有子さんから、以下のようなメールが来ましたのでお目にかけます。 [かつてワープロが世に出たとき、こうしたものが好きな学科長は英文科の教員に「書院」を配布しました。機器…
学部時代、一般教養の数学は1年間、2進法の話でした。それはそれで面白かったのですが(ものの見方はいろいろあるのだ、という、目から鱗が落ちる気持ちでした。今どきの、何の役に立つ?という疑問は生じませんでした)、後年、コンピューターの原理を教…
サポートがなくなるというので、ウィンドウズ10に乗り換え、PCも買い換えました。誰もが使いにくいと言う10に、いつ慣れることができるか不安ですが、仕方がありません。高額の器具は10年は保つ、というのが常識だった世代なので、頭ごなしのモデルチ…
日本酒の魅力を演じきった女優、というタイトルを贈るとしたら(ほかにも該当者はいるかもしれませんが)、松岡茉優。先日、訪問番組(勝手に他人の家に押しかける番組を、仮にこう呼んでおきます)で、獲れたての鮑の刺身を地元でご馳走になり、自分から地…
タクシーを雇って富士霊園へ墓参りに行きました。遠いので単独行は心配ゆえ、知人についてきて貰ったのですが、連絡手段がPCメールとショートメール、ガラケーとスマホ、という具合にちょっとずつすれ違い、待ち合わせで30分ロスしました。台風後の東名高…
一昨日の晩、にわかに消防車のサイレンが間近に続き、堪りかねて窓から覗いたら、我が家の前に車列をなして停まっているので吃驚。近所のぼやだったようで、飛び出してきた隣人たちと顔を見合わせ、胸をなで下ろしました。 翌日、つまり昨日は台風19号の接…
現役時代、結構な額の健康保険料を払っていた時期は(頑健だったからではなく)、忙しくて医者にはかかれませんでした。たいていの症状は、1食抜いて腹を温めて寝るとか、父親が作ってくれた卵酒を飲んで早寝する、とかで治しました。それゆえ、健康保険証…
中川博夫さんの『竹風和歌抄新注』(全2冊 青簡舎)という本が出ました。上下合わせて1200頁を越える大著です。『竹風和歌抄』は、後嵯峨院の第3子宗尊親王が自ら晩年の定数和歌を集めて編んだ家集で、樋口芳麻呂氏が発見した孤本があるのみ。 宗尊親…
整形外科へ鎮痛剤を貰いに行きました。60歳前後から腰痛がひどくなり、特に朝、歩き出しが痛むので使うようになったのです。通勤しなくなったので、今は週に1,2回しか使いませんが、ぎっくり腰をやって以来、常備していないと不安です。 この街でかかっ…
内扉に葡萄の房をデザインした文庫本は、かつて私の本棚にかなりのスペースを占めていました。文芸書で有名でした。市ヶ谷の定時制高校に3年ほど勤務した頃は、時々社屋の傍を通り、社員らしい、質素だけど視線のしっかりした人たちとすれ違いました。 それ…
原田敦史さんの「『平家物語』の駆武者」(「日本文学研究ジャーナル」11号)を読みました。川合康さん以来の反「平家物語史観」論(最近流行の「◯◯史観」は、粗暴な用語です)に対し、作品本来の「読み」を足場に、反撃しています。覚一本の「駆武者」は…
午前中から、眼科の定期検診に出かけました。受診は1時間半くらいで終わったのですが、会計が混んでいて、正午までかかりました。3年前にここで消化器の大手術をした長野の友人が、付き添いの妹さんと共に上京、午後から主治医の診察を受けるというので、…
親の家に残っていた古い台所用洗剤を使ったら、久しぶりに主婦性湿疹が出ました。我が家は欠けやすい陶器が多いので、家事用手袋は使いません。しかしひび割れが痛い程になってきたので、思い切り薄めて使うことにし、当座の問題は解決しました。 台所用洗剤…
漆工芸作家の藤澤保子さんから手紙が来ました。木地捜しから造形、漆塗り、蒔絵まで一貫してやっている人です。中学時代の同級生。体の弱かった2人は、体育の見学仲間でもありました。女の子にありがちな虚勢やそねみのない、気持ちよく話せる人だったこと…
洋梨を煮ました。仏壇に上げていたものを、もういいだろうと剝いてみたら、半分は包丁が立たないほど堅い。やむなくざくざく切って、シーバス・リーガル(英国人と結婚している従妹のお土産です。我が家に残った、最後の強い酒)少々と砂糖6gを入れ、ひた…
寿永3年(1184)年2月、一の谷合戦で多くの公達が討たれましたが、平教盛の子・通盛もその一人です。通盛の北の方・小宰相は通盛の死を嘆き悲しみ、夜の海に入水してしまいます。 【氷室神社】 一の谷の平家の陣内では、通盛が弟教経の仮屋で小宰相と…
統計の読み方、数値の意味に正しくつきあうことの難しさ、その目くらましの危うさを知れば、ぎょっと、もしくはぞっとすることが少なくありません。近年、そのストレスはますます増えてきたようです。 最低賃金は上がり続けているが、全労働者の賃金の中位数…