立てば芍薬

誕生祝いに買ってきた芍薬の花も、咲ききって終わりました。花が崩れた後、花びらの山ができるので、塗物の皿に盛って半日楽しみました。

ふと、立てば芍薬・・・という美人の形容があったけど出典は何だろうと思って、ウェブで調べてみました。すると、気が立った女には芍薬の根、座り込む女は血流不全だから牡丹の根皮、ふらふら歩く女には精神安定剤の百合の鱗皮が効く、という漢方薬の諺だとの説明が出てきて、何だこれ、珍説、と通過しようとしたのですが、発信元に北海道立衛生研究所薬草園とある(2007/08/28更新)。慌てて調べ直すと、美人の形容とするのは江戸中期からだが、都々逸の発生より早く、典拠不明と分かりました。漢方の婦人薬の効用を暗記するための語呂合わせ、という説が有力らしい。

川越邸の笹百合

朝ドラに出てきたから、と川越の友人から笹百合の写メールが来ました。あの朝ドラは、「マンガ牧野富太郎伝」です。時間の感覚がぶっ飛んでいる。主人公がジョン万次郎だの坂本竜馬だのに逢うはずはない(私淑した万太郎の脳裏で、といった幻想的表現はできなかったのか)。ササユリとキツネノカミソリは、同じ季節には咲きません。

川越邸の薔薇

ここ2週間、室内に流れ込んできた椎の木の花の独特の匂いは、やみました。我が家の薔薇はもう終わりましたが、この時季、何を摘んでも活けられます。新緑の葉や草の造形美には感嘆させられること屡々。いま我が家の洗面台には、石榴の赫い新芽と蔦の若い蔓とココア色のビオラを、くずきりの容器に挿して置いてあります。

芍薬は弟の棺を埋めた花です。もうすぐ命日。17年前、親族だけの葬儀は祭壇を花で埋め、その花で棺を満たしました。葬儀屋に、季節の花をいっぱい用意してねと言っておいたのです。ダリヤやマーガレットや白い芍薬。最後に弟の家の庭の石楠花を入れました。