2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

図書館と書店・版元

新聞紙上で、政党の議員連盟が図書館の購入本についてのルール作りを企図している、というニュースを見て、えっ、と思いました。公共図書館がベストセラーを複本で購入するから本が売れない、書店や版元を圧迫している、という論理らしい。ちょっと前にも、…

池畔好日展

銀座へ出かけました。今日も猛暑日、日が傾き始めるのを待って出かけることにしたのですが、さすがに金太郎スタイルというわけにはいきません。驚いたのは地下鉄も銀座の街も、マスクなしの若者で一杯だったこと。拍子抜けしました。 目的は鳩居堂の4階で開…

軍記・語り物研究会大会2023②

昨日の軍記・語り物研究会大会講演2本目は早川厚一さんの「3つの軍記物語の全釈を試みて」でした。早川さんは学部では渥美かをる氏、院では山下宏明さんのお弟子さんで、永いこと名古屋の軍記物語研究の世話役でもありました。 市民講座で保元物語・平治物…

軍記・語り物研究会大会2023①

軍記・語り物研究会大会1日目をオンラインで視聴しました。①薦田治子「平家琵琶研究のこれまでとこれから」、②早川厚一「3つの軍記物語の全釈を試みてーその課題と展望-」という講演2本です。 中世以来当道座の盲僧が伝承してきた平家語りを、実際に語れ…

1票の重み

このところ考えるのは、比例代表制で当選した議員は、立候補時の政党を離れたら同時に議員資格を失うのが妥当ではないか、ということです。有権者は、その議員に投票したのではなく所属政党に投票しているのだからです。不祥事を起こしても所属政党を離れれ…

受難か加害か

8月も終わりに近づこうとしています。さきの大戦に関する言説は、9月1日の関東大震災百年を境に止むことになるのでしょうか。以前からずっと、心中に引っ掛かってもやもやしていることを書いてみたいと思います。日本人は被害者体験ばかり語って、加害者…

古活字探偵8

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖8」(「日本古書通信」8月号)を読みました。異植字版とは、一旦組んだ版をばらして、同じ活字セットを使って組み直した「別版」を言うのだとした上で、部分的に異なる活字に差し替えられた場合について書いています。高…

鎌倉仏教と密教

智山勧学会編『鎌倉仏教ー密教の視点からー』(大蔵出版)を読みました。元山公寿氏の「はじめに」によれば、本書は智山勧学会が平成28年から令和3年(2016-21)に開催した学術大会、談話会などの講演をもとに、密教の視点から鎌倉仏教を論じた12本の論…

アナウンサーと戦争

昭和20~30年代、ラジオが生活に与えた影響は、現在からは想像できないほど大きなものでした。今年の数少ない終戦記念番組の中に、NHKーTVのドラマ「アナウンサーたちの戦争」がありました。太平洋戦争開戦から終戦に至るまでのアナウンサー群像を描いた…

遠くなる

年々少なくなる終戦記念番組。今年は民放では何も無かったね、と言ったらエノキさんに、You Tubeでジャニーズが主演したのが1本あった、と教えられました。でも、顔も雰囲気も全く似合わないんですよ、と言う。エノキさんは勿論戦後生まれですが、最近の若…

コロナ後の街

暑さで買い物に出るのも億劫、火を使う料理も億劫、店頭の野菜は貧弱になった・・・というわけで食生活が単調になり、これではいけないと、日が傾くのを待って播磨坂のスーパーへ出かけました。バスに乗るにはマスクが必要、しかし湿気が高く蒸し暑い。バス…

幼年時代の読み物

子供の頃読んだ本を思い出してみると、まずは従姉たちのお下がりでした。戦後の物の無い時代、本は贅沢品だったのです。日比谷公園のチューリップ花壇、南方へ飛ぶ飛行機などの絵本を覚えていますが、父が詞章を一部切り取ったことがあります。絵には椰子の…

信濃便り・山葡萄篇

長野の友人から写メールが来ました。彼女は3人姉弟ですが、盆休にはそれぞれの子供、孫(+ペットの兎)が日本各地から里帰りして来て、賑やかだったらしい。先祖代々(戦国時代の軍師の家柄です)の墓は近くにあるらしいのですが、姉弟揃って迎えに行き、…

米国からの客

9日の夜、そろそろPCを落とそうと机の前に座った途端、米国からのメールが飛び込んできました。11日に羽田へ着き、19日に帰国するが、その間に会えないか、という突然のメールです。今度もか・・・いつも唐突なアクセスをしてくる、母の姉の孫 Yuri Yam…

少年文学論

川田正美さんから『少年文学再考ー講談社文化を中心に』(想田正の筆名で執筆 展望社)が送られてきたので読んでみました。 川田正美さんとは40年くらい前に、大塚駅前の日文協事務所でお目に掛かりました。私は日文協の会員ではないのですが、ある時、大…

送り盆

今日は送り盆。長野の友人一家は代々の墓まで送りに行き、おやきを土産に持たせて(供えて)帰した、とのこと。昨晩は諏訪湖の花火、今夜は京都の大文字をTVで視ました。 ところが台風7号が日本列島を横断、三重県から鳥取・豊岡を突き抜けました。TV画面に…

寄付とリターン

日本に寄付文化が根付いていないことを問題視して、寄付金控除を使いやすくするという話があったのは何年前だったでしょうか。上野の国立科学博物館が、入場者減少と光熱費その他経費値上がりのため、標本類の保存管理が出来ないとしてクラウドファンディン…

ふるさと納税

ふるさと納税なる制度ができた時、必ずしも故郷でなくともいいらしいと知って、傲慢無礼な元作家が知事を勤める都よりも、過疎の鳥取へ幾分か納税するかな、と考えたりしたのですが、その内返礼競争という妙な話が出てきて、実行しそびれました。納税に返礼…

ヴィラ=ロボス

木許裕介さんの『ヴィラ=ロボス ブラジルの大地に歌わせるために』(春秋社)を取り寄せて読んでいます。ヴィラ・ロボスは、アルベニスやロドリーゴと並んで興味のあった名なので、新聞の書評欄で本書を見つけ、著者の名前に見覚えがあるなあ、と思っていた…

信濃便り・盆休篇

長野の友人から、気がつけばお盆支度の時期、市場は花で一杯、とメールが来ました。 盆花 かつては盆花は山へ摘みに行くものでした。戦後、先祖伝来の山林を手放す時にも、盆花用の草地だけは残したという人もあり、畑地の隅には、どこでも夏の花が数株植え…

来聴歓迎・第4回研究報告会

9月9日・10日に開かれる研究報告会では、オンライン、会場(国際善隣会館)参加ともに会員外の参加や質疑応答を歓迎しています。報告要旨は6月20日付本ブログやhttps://meisyokai.wixsite.com/2013に掲載。お問い合わせはmeisyokai@gmail.comまで(未…

覚悟

昨日はフィリピンのミンダナオで戦病死した叔父の命日でした。終戦まであと6日だったのです。我が家へ届いたのは空の骨箱でしたが、戦後何年も経ってから、菊の紋を描いた小さな盃が下賜されました。出征する前日、未だ子供だった甥(私には従兄)を自転車…

豊後便り・南阿蘇鉄道篇

別府では暑さも堪えられないほどではない、と友人から写メールが来ました。 南阿蘇鉄道 熊本大地震で不通になっていた南阿蘇鉄道が全線復旧したので、乗ってみたとのこと。大地震の爪痕と復興を確かめる旅になったようです。 夕焼に染まる阿蘇五岳 【人気の…

平治の乱の謎

桃崎有一郎さんの『平治の乱の謎を解くー頼朝が暴いた「完全犯罪」ー』(文春新書)を買ってきて読みました。面白かったので一気に読みました。 平治の乱には謎が多い。当時の日記類も何故かその部分が欠けていて、それは偶然ではない(記録を残してはまずい…

これからだ

午後、若手研究者と長門本平家物語の伝本研究について、あれこれ情報を交換しました。最近世に出た三田本長門本(赤間神宮現蔵)のことや、国文研のDBに出ている相愛大学蔵長門本のこと、過去の研究に関連する資料の新発見、従来の伝本研究で欠けていた視点…

紫蘇色

毎日の天気予報で見る日本地図は赤や紫に染まり、まるで紫蘇漬のようです。最高気温が体温を超える日は、座っていても頭髪の中から汗が流れ落ちる。 我が家は東向きの寝室なので早起きすることにして窓を開け、湯を沸かして寝茣蓙と椅子の背を拭きます。昨晩…

源平の人々に出会う旅 第79回「福岡県・木の丸殿」

寿永2年(1183年)7月25日に都落ちした平家は九州の太宰府に逃れ、安徳天皇は地元の武士原田種直の宿所に入ります。覚一本『平家物語』は、「内裏は山のなかなれば、かの木の丸殿もかくやとおぼえて」かえって優雅な風情であると記しています。 【朝倉木丸殿…

過而不改

他人の意地に振り回されて、多数の人が損害を被らされる話が続いていて、やりきれません。デジタル大臣と前中央銀行総裁がその最たるものですが、ほかにも関西万博の件もあり、某国大統領の特別軍事作戦も同様です。万博の方は、この際、プレハブ造り(技術…

将棋の日本史

永井晋さんの『将棋の日本史 日本将棋はどのように生まれたのか』(山川出版社)という本を読みました。永井さんは金沢文庫の学芸員を永く勤め、院政期から鎌倉初期日本史が専門です。初めタイトルを見た時、藤井聡太の人気にあやかったブーム本かと思いまし…

異次元の暑い夏

昨晩は久しぶりに冷房を入れず、窓を開けて寝ました。昼頃、1時間以上も雷鳴が轟き、激しい雨が降って、街が冷えたせいか、夜風が冷たかったからです。 どうも昭和世代は、冷房を入れる、殊に就寝中に入れるのに抵抗感があり、老夫婦が睡眠中に熱中死、とい…