2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

週刊文春

「週刊文春」を買いに行きました。一般誌を買う時は、我が家が定期購読している新聞とは対立している、文芸春秋社のものをなるべく買うことにしています、バランスを取るために。今回見たい記事は2つあって、他誌の特集した「食べてはいけない食品」記事へ…

語学力

聖徳大学短大部国語国文学会誌「文学研究」第29号所載の、辻英子さんの半生記「菩提樹の木陰で」を読みました。辻さんは説話の日中印比較文学的研究が専門で、80歳になった今も在外絵巻の調査・紹介を精力的に続けておられますが、1970年、ご主人の…

怒る西行

伊東玉美さんの「「怒る西行」説話の背景」(「西行学」第8号)を読みました。説話の主人公になることの多い西行ですが、『古今著聞集』494話や57話、『発心集』巻6ー5話、『今物語』42話など、現実と自らの抱くイメージとが食い違って憤慨する西…

古代史料

『古代史料を読む 平安王朝篇下』(同成社)を頂いたので、陸奥話記(佐倉由泰)、後三年記(野中哲照)、御堂関白記(近藤好和)、年中行事絵(遠藤珠紀)の項を読んでみました。本書は一〇世紀以降の諸史料の読解法を容易に身につけることができるよう編ま…

全釈

早川厚一さんから「『源平盛衰記』全釈十三」(「名古屋学院大学論集」54:2)と「源平闘諍録全釈七」(「同大研究年報」24)の抜刷を頂いたので、前者は『源平盛衰記(一)』(三弥井書店中世の文学 1991)、後者は『源平闘諍録全注釈(上)』(講…

平成30年度奨学生採択

平成30年度松尾金藏記念奨学基金の採択結果が出ました。6月中旬に選考委員会が開かれ、例年よりやや多めの応募者の中から、修士課程8名、博士課程4名が採択され、すでに推薦した大学宛てに、結果通知が発送されています。本基金は他の奨学金との併給は…

土岐善麿の新作能

岩城賢太郎さんの論文「喜多流「綾鼓」の成立と土岐善麿・喜多実協同の新作能創作―喜多流の戦後復興との関わりから-」(「武蔵野文学館紀要」第8号)を読みました。土岐善麿は戦後、ローマ字運動や国語審議会委員、仮名書きの多い口語短歌、そして新作能を…

今は未来だ

沖縄慰霊の日の式典中継を視ながら、毎年、平和の詩を読み上げる小中学生の姿に胸を衝かれます。今年は、術後の県知事のやつれた、しかしなお背筋の伸びた姿に粛然とし、まっすぐにこちらを見つめてくる中学3年生の迫力に気おされました。 学生時代には集会…

神話と現代

『「神話」を近現代に問う』(植朝子・南郷晃子・清川祥恵編 「アジア遊学」勉誠出版)を頂戴したので、まず平藤喜久子さんの「日本神話学の夜明け」、斎藤英喜さんの「近代神道・神話学・折口信夫」、藤巻和宏さんの「日本文学史の政治性」を読み、次いで植…

沙羅の木

森鴎外に「沙羅の木」という4行詩があります。短いけれど素敵な詩です。この沙羅の木は、平家物語序章の「娑羅双樹」とは全く別物です。庭木によく使われ、別名夏椿。花は椿そっくりですが、落葉樹で、椿とは葉が異なり、柔らかくて柔毛が生えています。一…

宇治川先陣について

大森北義さんの論文「『平家物語』の「宇治川」について」(「古典遺産」67号)を読みました。寿永3年1月、前年に平家を追い落として都入りした義仲軍を、頼朝の命を受けた義経率いる東国軍が討伐しようとして、宇治川をはさんで対戦する。その渡河作戦…

桜桃忌

今日は桜桃忌。勿論、さくらんぼを買って来て、仏壇に上げました。 「桜桃忌」というタイトルの歌が複数あるのですね。1曲はさだまさし風のフォーク、もう1曲は何と演歌。尤も、幼年時代に新内の「蘭蝶」を聞いて恍惚とした、という太宰のことゆえ、演歌も…

羊、鋼、そして森

宮下奈都『羊と鋼の森』を読みました。久しぶりに、文学に救われた気がしました。先々週、難しい事業を支えてくれるはずの人物に脚を引っ張られたりして、私もかなり参っていたからです。いい仕事に惚れて、それを助けたくて、自分自身も行く手に道がひらく―…

平家語りQ&A

6/10の芸能史研究会シンポジウムでの基調講演「平家物語諸本の展開と平家語り」について、メールで質問が寄せられましたので、応答の要点を紹介しておきます。 Q1:①配付資料の「年表」について確認したいことがあります。「1320年以後、『源平盛…

説話文学会

久々に、仏教資料一色番組でなかったので、説話文学会に出てみました。「判官物研究の展望」というタイトルのシンポジウムです。まずは最近入手したという「義経一代記図屏風」を紹介した小林健二さんが、『義経記』とは別に九郎判官の逸話を語る判官物の系…

君の名は?

昨年、区役所が道路脇に置いてある住民の鉢植えを片端から撤去しました。肉屋の前のガードレールに寄せてぎっしり置いてあった鉢は、近所のアパート住まいの女性のものだったそうで、「貰って下さい」という札が出ました。我が家では、匂い菫と擬宝珠の小さ…

そんなつもり

このところ、「そんなつもりじゃなかった」「そんな気持ちはまったく無い」という言訳にうんざりする局面が、遠近ともに多い気がします。じゃどんなつもりだったのか言ってみろ、と問い詰めたくなる、もしくは問い返すのもうんざり、という例も少なくありま…

絹と鉄

丸の内の日本工業倶楽部の1室で開かれた会議に出ました。お濠を見下ろす一角です。工業倶楽部のファサードには男女一対の像が乗っています。女性は絹織物を、男性は鉄工業を象徴し、丸の内を見下ろしています。日本の工業は絹と鉄が支えるのだという意味ら…

郷土資料の文学

野本瑠美さんの「崇徳院と和歌」(「国語と国文学」2月号)、「手銭家所蔵資料の研究と古典講座」(『地域とつながる人文学の挑戦』島根大学法文学部研究センター)を読みました。特に後者は、私自身の経験と重なる点やそれ以後の学問の変化と引き比べなが…

久しぶりの京都

芸能史研究会のシンポジウム「〈平家語り〉の展開と継承」に参加するため、昨日、久しぶりに京都へ行きました。梅雨空に台風接近という悪天候でしたが、新幹線の車窓から富士山がシルエットのように見えました。基調講演(『平家物語』諸本の展開と〈平家語…

写本の形態

佐々木孝浩さんの「平安時代物語作品の形態について―鎌倉・南北朝期の写本・古筆切を中心として-」(「斯道文庫論集」52)を読みました。佐々木さんはこのところ、本のかたちとその内容や格付との関係を追究しています。 平安時代の仮名散文作品について…

心敬の句表現

伊藤伸江さんから送られてきた「心敬の句表現―「青し」の系譜からー」(「日文協日本文学」 2017/7)を読みました。伊藤さんは、心敬が文明2年(1470)に自作の連歌と和歌に自注を付けた『芝草句内岩橋』を、このところずっと、先輩の奥田勲さん…

取り戻せるものならば

5歳の子が「もうおねがい ゆるして」とノートに書き続けて亡くなった、という新聞記事は涙なくしては読めません。未だ間に合うものならば、三途の川の手前まで追いかけて行って抱きとめたい。連れ戻したい。何より可哀想なのは、自分がいけない子と思い込ま…

戦後近松研究史の一側面

先輩の原道生さんから抜刷を頂きました。「戦後近松研究史の一側面(その4)―「近松の会」を中心に-」(「近松研究所紀要」28)という連載です。いわゆる歴史社会学派の旗手の1人だった広末保の軌跡をたどり、その点検と再評価を試みるもの。 鳥取大学…

泣くな女だろ

学会や会議が続き、普段とは異なるエネルギー消費で、ほとほと疲れました。定年後は、徐々にオーラを消していくことを心がけています。老人として街になじむには、現役時代、とっさに発揮できるよう用意していたオーラは邪魔だからです。が、オーラを失いす…

源平の人々に出会う旅 第17回「越前・火打合戦」

頼朝と和睦をした義仲は北陸道を目指します。都では平維盛・通盛らが義仲討伐のため大軍を率いて北陸に向かいます。 【湯尾峠】 『源平盛衰記』には、義仲が越前に派遣した仁科・林・富樫らの軍勢は「柚尾ノ峠(湯尾峠)」に布陣し、燧ヶ城を築いたとありま…

中世文学会

中世文学会2日目に出て、研究発表4本を聴きました。近年は資料紹介に類する発表が多く、仏教・説話・中世どの学会も同じような題目が並び、義務感を掻き立ててやっと出かけるような按配でしたが、今日は、中世文学に向き合おうとする姿勢が明確な発表が多…

琵琶

国立小劇場へ「日本音楽の流れⅡー琵琶ー」を聴きに行きました。今井検校の「竹生嶋」が目当てです。国立劇場へは何年ぶりでしょうか。席に着いて、プログラムを開いて、愕然。今井検校は休演、VTRで解説するとのこと。何があったのか分かりませんが、HPでで…

アマリリス

あちこちの軒先でアマリリスが咲いています。子供の頃、庭に造った円形花壇の真ん中に球根を植え、初めて咲いた時は家族中で喜びました。梅雨の晴れ間にぽっかり咲く、大きな花。野生の草花や和風庭園とは全く違う雰囲気の花でした。 当時は、オルゴールの「…