日々雑録 明翔会

父祖の地

福岡の藤立紘輝さんから寒中見舞の葉書が来ました。年末にこのブログで、彼の論文を紹介しましたが、年末年始は太宰府天満宮で御奉仕するのが恒例になっていて連絡できなかったので、という文面でした。藤立さんは皇學館大学を出て、福岡大学の修士課程在籍…

日野政資

藤立紘輝さんの論文「日野政資考」(「皇學館論叢」56:3)を読みました。私は専門外でもあり、この時代には詳しくもなく、また従来、日野政資のまとまった伝記はなかったようなので、本論文の内容のいちいちの当否についてはここで判断は出来ません。し…

口頭発表の前に

前回も今回も、私は研究報告会の講評で「プレゼンテーションの能力向上を意識してください」と言いましたので、口頭発表のスキルについて、ごく初歩的なことを書いてみます。学部の演習段階で習うことかもしれませんが、役に立てば幸いです。 基本的に、原稿…

ヴィラ=ロボス

木許裕介さんの『ヴィラ=ロボス ブラジルの大地に歌わせるために』(春秋社)を取り寄せて読んでいます。ヴィラ・ロボスは、アルベニスやロドリーゴと並んで興味のあった名なので、新聞の書評欄で本書を見つけ、著者の名前に見覚えがあるなあ、と思っていた…

福祉をひらく

ディーセントワーク・ラボの中尾文香さんと小野寺悠子さんに来て貰って、ミナト君の祖母の姉である私の友人を交えた4人で、茶菓を囲んで話をしました。ディーセントワーク・ラボは障碍者が自分の生活を支える職業に就けるよう、障碍者やその家族、企業、行…

恍惚50周年

明翔会の山本栄美子さんから、2月28日発売「週刊朝日」の記事に引用された、とそのコピーが送られてきました。「出版50年 有吉佐和子『恍惚の人』の真実」と題する記事です。高度成長期の昭和47(1972)年、小説『恍惚の人』が出版された時は、文芸批…

花山院と実資

手嶋大侑さんの「花山院と藤原実資」(「民衆史研究」104号)という論文を読みました。藤原実資は花山院の別当であったこと、その就任は長保元(999)年7月12日以降29日以前で、花山院の死去まで務めたことを、小右記などを用いて推定しています。両者…

明日へ向かって翔ぶ

明翔会世話役の小野寺悠子さんが、生後8ヶ月の第2子を連れて、第4回研究報告会の打ち合わせに来ました。明翔会は公益信託松尾金藏記念奨学基金の受給者による同窓会です。これまでに3回、自発的な企画・運営による研究報告会を開催してきました。論集『明…

藤原伊通の除目書

手嶋大侑さんの論文「宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵『除目申文之抄』と藤原伊通の除目書『九抄』」(「古文書研究」94号 2022/12)を読みました。手嶋さんは日本中世史が専門、論集『明日へ翔ぶ 4』(風間書房 2017/3)には、「年官制度の展開」を書いてい…

リモートのコミュニケーション

中尾文香さんと社会福祉学の片山優美子さん、グラフィックデザイナーの岩田直樹さんとが『思いやりオンラインコミュニケーション リモートワーク時代を乗り切る』(風間書房 2021)というブックレットを出しています。NPO法人ディーセントワーク・ラボ編、全…

猫ケ洞通り

名古屋の手嶋大侑さんから、新居移転のお知らせメールが来ました。新住所を見ると猫ケ洞通りになっています。32年前名古屋に赴任した時、最初は本山の1DKアパートに住みました。知らない土地で人事異動の時季に急に探しても、不動産屋は見るからに不親切…

室町期の治罰綸旨・院宣

藤立紘輝さんの論文「室町期における治罰綸旨・院宣」(「七隈史学」24号)を読みました。藤立さんは令和3年度に福岡大学大学院修士課程に入学し、本基金の奨学生に採択されました。中世後期日本史が専門です。 治罰綸旨(院宣)とは、朝敵とされた人物や…

和辻哲郎の仏教哲学

山本栄美子さんの論文「和辻哲郎による『法華経』の考察」(「思想史研究」29)を読みました。山本さんは生命倫理学が専門で、2006年度、東京大学の宗教学宗教史学博士課程在学中に、本基金の奨学生になりました。2019年度に東大で博士号を取得し、現在は…

中国南北朝時代

会田大輔さんの『南北朝時代ー五胡十六国から隋の統一までー』(中公新書 2021)を読みました。会田さんは中国南北朝隋唐時代の政治と文学の歴史が専門で、平成16年度、明治大学修士課程在学中に本基金の奨学生になり、『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点― …

コロナの街・part 27

食生活に変化がなくなってきたので、後楽園前の大手スーパーに出かけました。週末は混むと予測して、今日出かけたのですが、ユニクロも成城石井も、若いカップルで混雑していました。ステイホームなのか、平日の午後、街へ出歩ける所帯持ちがこんなにいるん…

小栗判官の癒やし

人間文化研究機構主催のオンライン・シンポジウム「フロントの知を楽しもう―女院と小栗判官のおはなし」を視聴しました。河合佐知子さんが「女院って何?」、粂汐里さんが「湯の峰温泉と小栗判官」と題して話題提供、進行役の光平有希さんを交え、合計1時間…

大政奉還後の延岡藩

古林直基さんの「大政奉還後における延岡藩の政治行動―「公議」意識と「條理」の観点を中心として―」(「明治維新研究」19号)という論文を読みました。研究ノートという欄に載っていますが、分量も内容も、他雑誌ならば論文として扱われるものでしょう。…

体験的電子事情・明翔会篇

3月20,21日の明翔会第3回研究報告会は、Zoomのオンラインで行われました。両日とも午後の3時間、出入りはあるものの30人規模。オンラインによる会議や学会は何度か経験しましたが、次第に使い勝手がよくなり、こちらの慣れもあってか内容に集中し…

癒やしとしての音楽

光平有希さんの『「いやし」としての音楽ー江戸期・明治期の日本音楽療法思想史ー』(臨川書店 日文研叢書 2018)を読みました。音楽療法という医療の一環については、私は十数年前に知ったばかりです。精神医学やその応用(ストレスにより発症する病気…

国家神道

木村悠之介さんの「明治後期における神道改革の潮流とその行方―教派神道と『日本主義』から「国家神道」へー」(「神道文化」31号)と、「1896年における「国家神道」の用例―道生館『闇夜の灯』の神宮教批判とその反響を通して―」(「神道宗教」253…

庄園経営

手嶋大侑さんの論文「高子内親王家の庄園経営」(「日本歴史」7月号)を読みました。高子内親王は仁明天皇の皇女で、賀茂齋院を勤め、貞観8(866)年に亡くなりましたが、筑前国席田郡に庄園を所有し、その庄園をめぐって観世音寺と紛争があり、それに…

研究報告会準備

炎天下、明翔会事務局を引き受けてくれている小野寺さんが、赤ちゃんを連れて、来春の研究報告会のうち合わせにやってきました。義妹の嫁ぎ先へ挨拶に行って、スウェーデンから帰国したばかりだそうです。8ヶ月のリンちゃんは、好奇心の塊。はいはいでどこ…

学位取得

名古屋市立大学大学院研究員の手嶋大侑さんから、抜刷2篇と共に、学位を取得した旨の手紙が来ました。「平安時代における中央貴族と地方社会に関する研究」という論文で、名古屋市立大学から博士号を授与されたとのことです。 手嶋さんは『明日へ翔ぶ―人文…

皇室と茶の湯

依田徹さんの『皇室と茶の湯』(淡交社)を読みました。月刊茶道誌『淡交』の連載をまとめたものです。12の章を立てて、中世・近世・近代の茶事、殊に近代の宮家や政界・軍人が関わった時期のことを記述しています。 史料の上で最初に唐の茶(団茶)を服し…

開かれた対話

東大臨床倫理学の公開講座「治癒に寄与する「倫理」―オープンダイアローグの可能性―」を聞きに行きました。明翔会の山本栄美子さんや大学院後輩の林さんが受付にいました。講師は筑波大学の斎藤環教授で、学生や医療・介護現場の人たちで法文2号館の大教室…

平成30年度奨学基金

公益信託松尾金藏記念奨学基金の来年度事業に必要な資金準備がととのいました。来年2月に入りましたら、応募要領その他が三菱UFJ信託銀行のHPに掲載されます。 本基金に応募するには大学推薦が必要です。来年度から人文科学系の修士課程・博士課程に進…

奨学基金平成29年度選考

ここ15年来関わっている(選考委員ではありませんが)奨学基金の、今年度選考が終わりました。これから採択者には在籍する大学経由で通知が行き、本人の意志を確認した上で決定します。選考では修士課程4名・博士課程6名の計10名が採択されました。こ…

出版記念会

『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点ー 4』が出ましたので、東京ステーションホテルで出版記念会が行われました。さまざまな分野の新進研究者や博物館学芸員・高校教諭・会社員・公務員、起業家もいて、会場は20代30代のパワーで満杯でした。来賓の小長啓…

文系大学院生の奨学金

平成29年度の公益信託松尾金藏記念奨学基金の公募が始まりました。今回から、ウェブ上で募集要項を見たり応募書類の様式を入手したりすることができるようになりました。大学推薦ですので、応募を希望する学生の方は、4月から所属する大学院事務室に御相…