2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

梶の葉

岐阜の中西達治さんから、梶の葉の写真と共に巣ごもり通信が届きました。 [今年の暑さは格別、特に8月中旬の10日間は、「私の灰色の脳細胞」もとろけるような猛暑、全く頭が働かず、熱中症、猛暑日、熱帯夜という言葉におどされてぼーっとしている内に日…

こんな夜に

現役の教師時代には、尾崎豊や忌野清志郎の歌にはまったく共感を持ちませんでした。甘ったれの悪ガキがわめいている、くらいの印象だったのです(そもそも校舎じゅうの窓硝子を壊されたり、授業を逃げて屋上でトランジスタラジオを聴いていたりされては、困…

コロナ後を生きる

村上陽一郎編『コロナ後の世界を生きる―私たちの提言』(岩波新書)を、友人から借りて読みました。24人もの様々な分野の(岩波文化圏の)人たちが、書名通りのテーマで書いた短文を集めた1冊。本書は7月17日に発売されていますが、本来こういう内容は…

無花果

今夏は青果が高い。野菜も果物も手を出す前に考えてしまいます。無花果も結構な値段ですが、名古屋では安くてよく買いました。三河安城が産地だそうで、それまでは無花果なんて裏庭で生っているもので、店で買う物ではない、と思っていたのですが。東京では…

釣銭の渡し方

コロナの街には、目に見えない鬱屈が溜まり始めているようです。釣銭がトレイからこぼれ落ちるような渡し方をした店員が、注意した老人を投げ飛ばし、意識不明の大怪我をさせた、というニュースが流れて、怖いなあと思いました。ツイッターのコメントは様々…

変奏する知の世界

森田貴之・小山順子・蔦清行編『日本人と中国故事―変奏する知の世界』( 勉誠出版 2018)という本が出ています。必要があって取り寄せたのですが、忙しさに紛れ、暫くツンドクのままでした。京大院生たちの『蒙求』輪読会をベースにした2016~18年…

美ら海

先島諸島をカヤック探検家が廻るTV番組を視ました。宮古島や石垣島へは行ったことがあるのですが、海から行ったことは勿論ありません。西表島の密林の中の滝は島とは思えぬ別世界。殊に海と砂と珊瑚礁の美しさは、終日見ていても飽きないと思いました。 コロ…

平家語り研究会公演

平家語りの継承に尽力している薦田治子さんから、メールが来ました。 [新型コロナウィルスのために、世界は一変してしまいましたが、このたび「平家物語の世界 その4」として、演奏会を開催することになりました。今回は、『平家物語』の戦さの音楽表現に…

砂漠

3週間近く続いた猛暑、我が家は風通し抜群なので、昼間は冷房を入れずにしのぎ、夕方買い物から帰って湯浴みをしたら、冷房のスイッチを入れるのですが、35度を超えると気息奄々。ともかく生存のみを目的に過ごそうと決めました。 ある朝メールチェックの…

平氏が語る源平争乱

永井晋さんの『平氏が語る源平争乱』(吉川弘文館 2019)を読みました。広告で書名を見た時から、そういう視点の歴史を読みたかった、と思っていたので、期待して読みました。結果を一口で言うと、『平家物語』諸本の記事の隙間がよく分かった、という満…

大東急記念文庫蔵古活字版

高木浩明さんの「大東急記念文庫蔵古活字版悉皆調査目録」(国文学資料館「調査研究報告」40)という報告が出ました。高木さんは各地の文庫で古活字版悉皆調査を続けてきましたが、今回は3年に亘る、274点(漢籍・国書・仏書)の書誌調査記録です。 大…

島唄

終戦記念日の前後、NHKTVで宮沢和史のインタビューを視ました(偶々視たのですが、沖縄支局のアナとのリモートだったので、旧いVTRの再放送ではないと思います)。大ヒットした「島唄」は、ひめゆりの塔を訪れた際の衝撃がもとで作った、しかし沖縄生まれで…

フード・ロス

大食や激辛を競うTV番組は、視ていて落ち着きません。だんだん腹が立ってきます。もう日本では、飢えとか空腹という体験は、遠くなったというのでしょうか。戦時中はもとより戦後しばらくは、日本人も飢えに苦しんだのです。先年、父は「あの頃は、いちどお…

太平記読みと語り物

最近、学会誌上で、太平記を「読む」こと、「太平記読み」、太平記が初期から語り物であったとする説等々が混同されているふしがあるように思える言説に接し、私が理解している「太平記読み」とは違うな、と不安になり、この分野の専門家である今井正之助さ…

注釈・考証・読解の方法

白石良夫さんの『注釈・考証・読解の方法ー国語国文学的思考』(文学通信 2019)を読みました。天動説は滅びないーまえがきにかえて、第1部古典注釈を考えるーある誤脱の歴史、第2部武家説話の読み方ー室鳩巣の和文、第3部伝説考証の読み方ー『公益俗説弁…

コロナな日々の危惧

「さきの大戦」前夜のドキュメントや現代史のコメントを読みながら、岐路での選択ひとつひとつの局面を想像すると、ああこれがもし職場での会議だったら、自分も黙過してしまったかもしれない、と思うことが多々ありました。組織の中での自分の立場、利害、…

仏印進駐

ヘリがうるさく上空を旋回しています。まもなく戦没者追悼式が始まるからでしょう。ツンドクの山の中から、伊藤桂一『鎮南関をめざしてー北部仏印進駐戦』(光人社 NF文庫 2018)を引っ張り出してきて、読みました。伊藤桂一は、兵卒の目線で淡々と叙述する…

お伽草子超入門

伊藤愼吾編『お伽草子超入門』(勉誠出版)という本が出ました。あとがきによれば、中世後半から近世を通じて豊𩜙な物語世界を擁していたお伽草子について、近代以降は軽視され、現代知識人の間でも無理解がまかり通っていることを憂えて、ひろくこのジャン…

信濃便り・盆花篇

長野の友人から、メールが来ました。[今日はお花市でした。以前なら、12日の夕方から夜にかけて、個人商店の店先にお盆用の花々が並べられ、綿あめなどのちょっとした屋台まで出て、子供たちにとっては嬉しいイベントでした。 昨今は農家が自家栽培の花をス…

遅れた夏

旧盆になっても今年は、東京の人口が減らないようです。例年なら正月と旧盆の数日、都内が空いて、空も青くなり、ああ東京は、これくらいが本来のキャパシティなんだな、と住み心地を満喫するのですが。 尤も今年は梅雨明けが遅く、梅雨が明けたらすぐ旧盆、…

上洛の記千年

和田律子・福家俊幸編『更級日記 上洛の記千年ー東国からの視座』(武蔵野書院)という本が出ました。2020年は、『更級日記』の作者菅原孝標女が、父の任国であった上総から上洛した寛仁4年(1020)からちょうど千年に当たるのだそうで、その記念事業として…

國學院雑誌1359

「國學院雑誌」7月号(通巻1359号)が出ました。赤井益久さんの「唐代伝奇小説における変虎譚の諸相ー中島敦「山月記」に及ぶー」は20頁に及ぶ長大な論文ですが、『太平広記』巻426~433「虎」部門の80話の中から10話を取り上げ、変虎譚(虎が人と化す、また…

新生活様式

新しい生活様式を迫られたのは、コロナよりもレジ袋有料化でした。スーパーへはエコバッグと大きな手提げを二重にして持参し、ほぼ解決しましたが、コンビニでは不都合が多い。持ち帰る途中で濡れる物、蓋が弱い物もあるので、レジで無料の薄いポリ袋を要求…

現代史

日本史の錦織勤さんからメールで、『無常の鐘声』(花鳥社)の読後感が送られてきました。本書には歴史学の論文を入れられなかったので、歴史学視点の感想は貴重です。 【昨日、『無常の鐘声』が届き、「平家物語の軌跡」を拝読しました。面白いと思ったのは…

ホタルブクロ

川越の友人から、ホタルブクロの写真が送られてきました。メールには[私の庭作りは、狭い庭をなるべく自然に近い状態にしたいと思っています。あまり日当たりがよくないので、半日影で適応できる山野草が中心になりました。女房が茶道をやっているので、茶…

ヨードチンキ

うがい薬でコロナ予防ができるかのような記者会見の後、買い占めとネット転売の話題でひとしきり賑やかでした。当の製薬会社の広報担当者が、そんな効果を予期してはいない、と首をかしげている、という報道もありました。 問題のうがい薬は、ヨウ素を含んで…

源頼朝と鎌倉

坂井孝一さんからメールが来て、今夜のBS-ETV「英雄たちの選択」に出ます、とのことだったので、初めて視聴しました。井上章一、磯田道史、それに坂井さんはそれぞれ別のスタジオからリモートで、関幸雄さんはオンラインの参加でした。アナウンサーの反応が…

中世文学65号

中世文学会の機関誌「中世文学」65号が出ました。2019年度の大会シンポジウム「中世の仏教と芸能」、講演2本、論文3本が載っています。 私が最も眼を開かれたのは、佐藤弘夫さんの「彼岸への階梯ー「陸奥国骨寺村絵図」のコスモロジーー」でした。最…

源平の人々に出会う旅 第43回「落人伝説・安徳天皇」

元暦2年(1185)3月24日、平家一門と供に壇の浦に沈んだ安徳天皇ですが、実は密かに落ち延びた、などの伝説が日本各地に点在しています。 【水天宮】 久留米市にある水天宮は、全国にある水天宮の総本山で、天之御中主神・安徳天皇・平徳子・二位尼時子を祭…

湊川合戦図屏風

伊藤悦子さんの論文「『湊川合戦図屏風』についてー粉本の視点から読み解くー」(「古典遺産」69号)を読みました。『太平記』巻16の湊川合戦を俯瞰的に描く、個人蔵・和歌山博物館寄託『湊川合戦図屏風』を取り上げ、粉本によったと思われる図様を手が…