2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

女三の宮

原田敦史さんの論文「女三の宮の和歌」(「共立女子大学文芸学部紀要」67集)を読みました。「慰む」という語の解釈をめぐって、『源氏物語』の読みについて述べています。光源氏の晩年、若い正妻女三の宮と青年柏木との密通・妊娠事件は、まさしく若き日…

コロナの街・part20

昨日の午後、薄日が射してきたので、バスに乗って大塚駅前まで出かけました。近所のスーパーが旬の野菜まで手が回らなくなったらしく、食卓に彩りが乏しくなったのと、そろそろ大塚バラロードの咲き具合が気になったからです。 薔薇は咲き始めていました。様…

川越便り・爛漫篇

川越の友人の庭はいま、春爛漫らしい。写真が来ました。 桜草・海老根蘭・丹頂草・十二単衣 丹頂草は葉の形からイワヤツデとも呼ばれ、最近、栽培されているのをよく見かけるようになりました。ユキノシタの仲間で、中国から朝鮮半島の低山地帯が原産地。庭…

ワクチン

区から「新型コロナウイルスワクチン接種券在中」と朱書した郵便が届きました。早速「お知らせ」を読んでみました。早い時期に作ったチラシなのか、①接種可能な時期を確認する②接種会場を探す③予約してワクチンを受ける、という見出しが立っています。この郵…

川越便り・春の花園篇

川越の友人から、庭の花々はいま春いっぱいです、とのメールが来ました。 海老根蘭 海老根蘭は趣味としては奥が深いらしく、蒐集し始めたらのめり込むものらしい。33年前、横浜の青葉台では未だ山林が残っていて、珍しい山野草もごくふつうに自生していま…

関西軍記の会第100回

午前中はマンション管理組合の総会、緊急事態宣言のため借りていた会議室が使えなくなったとかで、マンション内の回廊で開かれました。入居当初は、中堅の社会人であるはずの世代から呆れるような発言が続発して憂鬱だったのですが、人間関係は落ち着いてき…

オンラインのはしご

平常時なら学会シーズン、今日明日、オンラインの学会が重なりました。やむなくはしご。午前中は東大の国語国文学会、岡本光加里さんの発表「風の色の和歌」を聴きました。定家の『新古今集』1336番歌を、「身にしむ色の秋風」に焦点を当てて考察、共有しが…

戸籍制度

ここ数年、私の中でずっとくすぶっている疑問、違和感があります。夫婦別姓、同性婚などの新制度が人権問題として要求され、認められるにつれて、現在の日本の戸籍制度のあちこちが綻び、根本的に時代に合わなくなっていることが黙過され、ますます綻びが大…

信濃便り・竹の花篇

長野の友人から、メールが来ました。【松代町内にある武家屋敷「旧横田家住宅」の見物に出かけました。『富岡日記』の著者、和田英の実家です。横田家は、江戸時代には真田藩の郡奉行を務めた家ですが、明治以降は大審院院長などを輩出しています。 旧横田邸…

豊後便り・天南星篇

別府で悠々老後を楽しむ友人から、天気が好いのでフェリーで宇和島へ行った、というメールが来ました。山野草好きなので、武蔵鐙と踊り子草の写真添付でした。 武蔵鐙 【宇和島城は小さいけれど奇麗なお城でした。土塁に「武蔵鐙」の大きな株がたくさんあり…

歌集『鉛筆』

菅野節子さんの歌集『鉛筆』(喜怒哀楽書房)を読みました。菅野さんとは全く面識がありません。あとがきによれば1950年生、歌誌「玉ゆら」の同人で、高校教諭を離職後、塾講師などを勤め、近年は、歌人三ヶ島葭子の娘倉方みなみに興味を持って論じているそ…

女院と芸能

辻浩和さんの「院政期の女性と文化・芸能」(京都女子大学宗教・文化研究所「研究紀要」34号)を読みました。講演録でしょうか、手短かに、分かりやすく述べています。 帝王としての院には諸道を実践、興隆することが期待されており、すると臣下は各人の芸を…

花の便り・その2

辻英子さんから、60年間共に暮らしている君子蘭です、というメールが来ました(写真の容量が大きいので少し削りました)。なるほど大きな、見事な株です。 辻家の君子蘭 かつて伊豆大島へ観光旅行に行ったら、君子蘭の1年目の苗がお土産に配られました。3年…

マニュアル勤務

福岡の親戚が亡くなって明日が通夜、との知らせが来ました。慌てて弔電を打とうとしましたが、115は今は24時間営業ではないらしい。翌朝、営業開始時間から電話をかけ続けました。まず「コロナ対策のためオペレーターはマスク着用で対応しております(えっ、…

平曲平家物語問答

鈴木孝庸さんが藤田郁子さんの疑問に答えた「平曲平家物語問答」(「人文科学研究」148輯)を読みました。鈴木さんは、譜本を見て習う津軽系の平家語り(盲人が口移しに習う当道系の平家語りに対して、晴眼者がアマチュアとして語ることが可能な平家語り)を…

豊後の春

豊後国で老後を楽しんでいる友人から、津久見の河津桜の写真を送ってきたので、土地の説明をつけて欲しいと言ったところ、よく知らないという。しかし遠い記憶の底にある地名だなと思って調べたら、紀州蜜柑の原木がある所でした。 津久見の河津桜 昭和41年…

リノベーション

親の家を売ってから4年近く経ちました(本ブログ「空蝉の家」)。築50年目で売ったのですが、マンションとしては走りの時期に建てられたため、30年目に内装を新しくした時、コンクリートの箱の中に木造家屋を建てたようなつくりになっている、と業者がこぼし…

後醍醐天皇の面影

君嶋亜紀さんの「後醍醐天皇の面影ー南北朝期の五撰集からー」(「大妻国文」52号)を読みました。最初に『風雅集』中の後醍醐天皇の「治まれる跡をぞしたふ」(1806)歌と光厳院の「治まらぬ世のための身ぞ」(1807)歌とを取り上げ、両者が並置されている…

コロナな日々 13th stage

政府・知事会のコロナ対応は、まるで裏目裏目を狙ったかのようです。感染者数を抑え込めないまま緊急事態宣言を解き、蔓延防止「措置」に切り替え、送迎会シーズン、行楽シーズンになだれ込んでしまった。詰めが甘く、最終責任を負う覚悟がない。まず感染拡…

桜づくし・川越便り篇

桜前線は東京から離れつつありますが、未だ種類によっては八重桜や枝垂桜が楽しめるようです。川越の友人が送りつけてきた桜アルバムから抽出してみました。 大山崎山荘美術館からの遠景 【大山崎山荘は、山崎の駅から天王山の坂道を登って15分か20分ぐら…

フェリス百人一首

フェリス女学院大学文学部日本語日本文学科編『フェリス百人一首』を読みました。本書はフェリス女学院創立150周年記念事業として、日本語日本文学科の谷知子さん・島村輝さんが中心になって企画・編集したもの。和歌・短歌の魅力を現代に、そして未来へと伝…

文弥節

鳥越文蔵さんの訃報に接しました。昭和47年の夏、私は大学院生でしたが、学部時代の同級生から、早稲田大学の鳥越先生が佐渡の文弥節調査に行くが、ツアーの人数が足りないので同行しないか、と誘われました。武井協三さんや内山美樹子さんも一緒でした。 文…

花の便り

辻英子さんから、伊香保の別邸の菩提樹の根元に咲いた花です、とメール添付で写真が送られてきました。 Scilla sibirica ウィーン産だとのことで、さすが国際人の辻家です。一見して、小さいヒヤシンスかと思いましたが、よく見ると違うらしい。シラー・シベ…

浪費

千葉県知事の引き継ぎも無事済んだらしく、怪しげな「政見」放送は、とりあえずは過去の笑い話になったようです。しかしあれを視た時に、おふざけが過ぎる、と思った人は少なくなかったのではないでしょうか。職務とはいえ、「公職選挙法によって」候補者の…

虫の日本文学史

植木朝子さんの『虫たちの日本中世史ー『梁塵秘抄』からの風景ー』(ミネルヴァ書房)を読みました。植木さんは多作な人です。これまでにも歌謡を中心とした楽しい本を、何冊も出してきました。本書は340頁弱、版元の宣伝誌に、2016~20年の3年半連載したエ…

桜づくし・信濃便り篇

今年は伝通院の枝垂桜は観に行かれませんでした。枝垂桜には染井吉野よりも前に咲くものと、遅れて咲くものがあるようです。長野の友人からは早咲きの枝垂桜の写真が来ていました。一重・八重、色にも種類があるらしい。 象山神社の枝垂桜 赤門脇にある八重…

第63巻第14号

1日に「週刊文春」4月8日号を買いました。発売日の午後でしたが、残りは2冊。エグい内容がウリのオジサン向け週刊誌とは思えない、ライトブルー地に春色のチューリップの花束、という表紙です。友人も「ワクチン敗戦」記事を読むために買ったという。私は別…

源平の人々に出会う旅 第51回「京都・灌頂巻」

『平家物語』の諸本は、読み本系と語り本系に分類できますが、語り本系はさらに「灌頂巻」の有無によって一方系と八坂系に分類されます。一方系には巻12の後に、建礼門院徳子の後日談をまとめた「灌頂巻」があります。 【長楽寺】 壇の浦合戦後、建礼門院は…

嵯峨本前史

小秋元段さんの「嵯峨本とその前史の一相貌」(法政大学文学部紀要82号 2020/9)を読みました。近世初期に、嵯峨で角倉素庵が関わって開版された、美装本の古活字版があり、嵯峨本もしくは光悦本と呼ばれています(実際には光悦は関与していなかった…

連翹

長野の友人から、空家の塀から身を乗り出すように連翹が咲いていました、とメールが来ました。連翹は枝が見えなくなるほど密集して花をつけるので、目立ちます。 連翹 いかにも漢方薬として中国から渡来した植物らしい名前ですが、子供の頃聴いたラジオドラ…