2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

古活字探偵7

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖」7(「日本古書通信」7月号)を読みました。「異植字版とは何者か?2」と題し、前号に引き続き、同じ作品を同一活字を用いて組み直した版について、述べています。今号で例に挙げたのは、ある1面(1丁の片面)だ…

花火大会の日

身体が慣れたせいか、昨日は猛暑の夏も越せそうな気分になって、取り寄せを頼んでおいた本を受け取りに春日町の書店まで出かけました。4時過ぎ、未だ日は高い。ワンコインバスの停留所のあるカフェ(以前は甲冑刀剣の店だった)の女子店員が、目ざとく見つ…

物語の発生から顕現へ

竹内正彦さんの①『源氏物語の顕現』(2022 武蔵野書院)を読んでいます。全530頁の大著、1990年から2021年までの論文21篇が収められていますが、92年から07年までが脱けているのは②『源氏物語発生史論―明石一族物語の地平ー』(2015 新典社)にまとめた…

水戸便り・宇宙朝顔篇

水戸に住む38年前の教え子から、写メールが来ました。 水戸の街 茨城県庁25階から見た水戸の街だそうです。暑さでけぶっているようです。 宇宙帰還の朝顔 【約10年前に公益財団法人日本宇宙少年団に入りました。その時、東京本部から宇宙飛行士山崎直子…

朝廷儀礼

近藤好和さんの「『江家次第』にみる朝廷儀礼の式次第」(季刊「古代文化」)を読んでいます。古代学協会の機関誌への連載で、最近出たのは即位式(三)(2022/6)から大嘗会(一)~(三)(2022/9~23/3)の部分。碩学大江匡房の有職故実書『江家次第』(10…

山びこ学校

『山びこ学校』の教師として知られた無着成恭さんが96歳で亡くなった、という新聞報道を見て、16歳しか年上でなかったことに驚きました。子供の頃、いとこの誰かから譲られた『山びこ学校』(青銅社 1951)を何度も読み返しました。あの頃、本は父親が与…

コロナの見えなくなった街

今日は口腔ケアの予約日。猛暑37度の西日の街へ出るのは命がけだなと思いながら、大きな帽子にマスクを掛けて出かけました。気のせいかな、と思う程度に油蝉も鳴き始めました。そこここで電動キックスケーターを見かけます。若い男性が多いようですが、ヘ…

関西軍記物語研究会107

昨日の午後は、関西軍記物語研究会にリモートで参加しました。来場者数は分かりませんがリモート参加は前半20名弱、後半13名程度で、いつも通りの出足でしょうか。発表は①藪本勝治 さんの「『吾妻鏡』と『平家物語』の関係について」 ②山本洋さんの「戦…

第4回研究報告会打ち合わせ

午前中、明翔会事務局が第4回研究報告会のスタッフ会議をやるので、Zoomで顔を出さないかとお誘いがあり、出てみました。すでに3回打ち合わせを重ね、詳細な議事録ができているようです。今日は世話人数名と当日の研究報告者数名が参加、実務的な打ち合わ…

携帯用扇風機

一昨日、遠くでみんみん蝉の声を聞いたような気がしましたが、今朝はもう少し近くで鳴くのを聞きました。午前中に梅雨明け宣言が出ました。 あれほどみんなから夏風邪を引くな、とメールで念を押されていたのに、引いてしまいました。洟水が止まらない。ティ…

王家と宮家

松薗斉さんの『中世の王家と宮家 皇子たちの中世』(臨川書店 王朝時代の実像15)を読みました。小さな判で叢書の1冊だったので、一般向けかなと気軽にぱらぱらめくって、これは硬派の本だと驚き、懸命に読みました。専門外なので、日本史の方ではこうい…

梅雨明け前の猛暑日

なんて暑いんだ!脳みそが溶けそうだ、と書いてあった故堤精二先生の暑中葉書を、最近よく思い出します。学部時代に近世散文文学を習い、その後『国書総目録』作りのバイトでお世話になりましたが、ある年の葉書の1行が、一番深く残る思い出です。 梅雨明け…

性自認

ゆうちょ銀行で預金払い出し票を書こうとしたら、住所氏名・口座番号のほかに、男女欄がある。どうして自分の口座から出金するのに性別を訊かれなければならないんだろう。窓口で、今どきこんな欄があるなんて批判されるよ、と言ったら、任意ですから、と口…

玉ゆら20年

歌誌「玉ゆら」81号の巻頭に秋山佐和子さんが、大江健三郎の思い出を書いています。『折口信夫全集』が発刊された時、全巻購読予約者の中に大江健三郎と白洲正子の名を見て、編集部一同力づけられた、と後年、岡野弘彦氏が述懐していたそうですが、全集の…

福島の桃

昨日の朝日新聞に、福島の桃農家にやって来た中高年男性が、東大大学院農学部教授の名刺を出し、宮内庁から皇室用の桃の選定を頼まれたと言って、70kgの桃を受け取り、その後「皇室献上桃生産地」と大書した木札と、「美智子さまの」大福餅なるものを送…

國學院雑誌1394号

「國學院雑誌」6月号で、現代民俗論が専門の飯倉義之さんが、「SNS炎上と「文明開化の民話」」と題するコラムを書いています。回転寿司店で非衛生な悪ふざけをした若者の投稿動画が炎上し、犯人たちは口を揃えて、仲間にうけるつもりでやっただけ、という意…

古記録入門

高橋秀樹さんの『古記録入門 増補改訂版』(吉川弘文館)を読みました。帯に「もう古記録はこわくない!」とあって、怖いのは私だけじゃないんだ、と苦笑して開いてみると、日本中世史・中世文学を専攻する修士課程の院生が対象、とあります。はしがきによれ…

虹の彼方

極彩色ファッションで幼児言葉で喋り、やはり極彩色の妻と共に活躍していたタレントが亡くなりました。沖縄出身で、彼の家族の系譜はまさに日本の一時代を体現していましたし、息子の誕生後離婚、しかし家族として暮らすという、未来を先取りしたような生き…

豪雨

九州北部に大雨が降って、梅雨が明ける。それが例年の夏の始まりだと思っていたのですが、近年の豪雨はそんな季節感を通り越して各地に恐怖をもたらしています。昨日あたりから日本海側へと豪雨が移動したようです。 阿蘇山や霧島の火山灰が堆積してできた九…

香害

先週末から異臭に悩まされています。駆虫剤のような厭な刺激臭で、目に沁みる。年末年始にもあったし、初度は昨年でした。近辺で新築・修繕工事が絶えないので、屋根の防水用塗料か何かかと思っていましたが、どうやらベランダの外からだけでなく、室内の排…

JFK

あの日、霧が深くて足先も見えない朝でした。たしか大学祭の準備で早めに家を出て、いつもとは違う坂を降りながら、桜の若木が両側に植えられたことを知りました。その日初めての衛星中継が成功し、最初に米国から送られてきた映像はあまりに衝撃的で、「Oh …

川越便り・軽井沢行楽篇

川越の友人から車で軽井沢へ行ってきた、と写メールが来ました。 鉄道文化むら 【松井田で高速道路を降りて、一般国道で碓氷峠をゆっくり登りました。下の道を行くと時間はかかるけれども、いろいろなものに気付くので、それも悪くない。横川の釜めしやの前…

中世和歌の情景

君嶋亜紀さんの『中世和歌の情景 新古今集と新葉集』(塙書房)を読みました。大著。南朝和歌関連年表、和歌索引とも全546頁。しかし大著たる所以は分量でなく、和歌文学論でありつつ一時代の歴史を語り、政治と人間の関係を照らし出していることです。序…

分散が原則

個人情報保護委員会が動き出せば、安全装置がぎりぎり効くことになるのでしょうか。マイナーカード問題の根底には、仕事のイロハを幾つも取り違えてきたお粗末が重なり、しかも当事者たちにその認識が見られません。国会の委員会中継で他人事のような大臣の…

第4回研究報告会参加方法

明翔会主催の第4回研究報告会と論集『明日へ翔ぶ 6』の出版記念会を下記の通り開催します。会員外の方も来聴歓迎いたします。 令和5年9月9日(土) 13:00~15:00 9月10日(日) 10:00~15:00 国際善隣協会5階会議室(東京都港区新橋1-5-5)及びZoomリ…

七夕前夜

恒例の七夕古書大入札会の図録が来ました。この会は近代文学が中心なので、開くとまず、近代文学の初版本がずらりと並んでいます。表紙の美しさ、デザインの洗練度に思わず見惚れました。殊に泉鏡花、永井荷風、与謝野晶子、北原白秋らの本は耽美的で、本を…

阿波国便り・ソーラーパネル篇

徳島の原水さんから、散歩途上の嘱目写真が来ました。 カサブランカ これは壮観。最近は百合の花の蘂を捥ぎ取ってしまう習慣が広まり、切り花は仕方がないとしても、植栽の百合が空っぽの口をだらんと開いているのを見るのは悲しいのですが、さすが徳島です…

古典的公共圏

前田雅之さんの『古典と日本人ー「古典的公共圏」の栄光と没落』(光文社新書 2022)を読みました。私は断続的に読んだので、頂戴してから時間が経ってしまいましたが、一気呵成に読める、威勢のいい本です。著者の博識、饒舌、衒学が十二分に発揮され、時に…

源平の人々に出会う旅 第78回「鎌倉市・永福寺」

文治5年(1189)閏4月、奥州に逃れていた義経は、藤原泰衡の裏切りによって討たれます。同7月、頼朝は泰衡を征伐するために奥州へ出発し、ついに奥州藤原氏を攻め滅ぼしました。(『吾妻鏡』) 【永福寺跡】 同12月9日には、永福寺の事始めがありました。永…

保元物語の為朝後日譚

説話文学会大会2日目、私は阿部亮太さんの発表「『保元物語』源為朝像の再検討ーその二面性と鬼島渡り記事の成立背景ー」だけをオンラインで視聴しました。50名前後のオンライン参加者があったようなので、来場者も加えれば、朝1としてはまずまずの出足…