2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

信濃便り・御開帳篇

長野の友人から小さな小包が来ました。中味は善光寺御開帳記念の七味唐辛子、桑の実ジャム、それに杏の実が2個。今年はコロナで1年延期された御開帳が昨日終了、今日が前立本尊の遷座式で、老舗の唐辛子屋には行列が出来ていたそうです。 【今回の御開帳お…

美濃国便り・明治13年篇

岐阜の中西達治さんから、「安積開拓計画(士族授産)と斯文学会創設(儒学再興)―明治13年の秋月胤永」(「金城学院大学論集(人文科学編)18:2)の抜刷が送られてきました。中西さんはこのところずっと、戊辰戦争後、一時美濃の高須に蟄居した秋月悌…

川越便り・絶滅危惧種篇

川越の友人が、これは珍しいだろう、と送ってきた写真です。 ワタナベソウ 四国・九州にのみ自生し、絶滅危惧種に指定している県が多いらしい。珍しい名前は、発見者の名前をつけたのだそうです。渋くていかにも茶花向き、ユキノシタ科。ウェブで見ると、花…

夕霧の恋

植木朝子さんの論文をまとめ読みしました。①「猿楽的世界の魅力―夕霧の恋の喜劇性」(『源氏物語を開く』2021/3 武蔵野書院)、②「能「羊をめぐる一考察―羊のイメージに注目して―」(「同志社国文学」92 2020)、③「『梁塵秘抄』法華経二十八品歌と釈教歌…

梅の実で耐暑

もう梅雨明け?夏至が過ぎたばかりだというのに、猛暑日がやってきました。「梅雨明け十日」といって、梅雨が明けてからの10日間が最も暑く感じるのだそうです。実際、東京は旧盆を過ぎると日が短くなり、夜は涼風を感じるようになって、江戸は東北の入り…

覆水盆に還らず

尼崎の住民個人情報記憶媒体紛失騒動は、あまりにお粗末で、報道にインタビューされた住民は、「還ってきてよかったけど、住民としてはゆかいではないね」と控えめなコメントをしていました。しかしこれは、業者の個人的不始末として笑って済ませてはいけな…

恐いを知って

昨日は沖縄慰霊の日。今年は梅雨が明け、広島出身の総理も参列して県主催の追悼式が行われました。総理を見つめる県知事の眼光は、(前知事もそうでしたが)鋭い鏃のようで、さもありなんと思いました。摩文仁の丘の平和の礎の映像も流れ、刻まれた親族の名…

都々逸

2週間ぶりにエノキさんがやって来ました。先週は私がオンライン会議だったので、休んで貰ったのです。梅雨空が重く、家の中は昼間でも灯りをつけないと真っ暗。雷雨が来そうな気配です。エノキさんは先週、仕事帰りに雷雨に遭い、激しい降りで1歩も進めな…

風に吹かれて

ロシアのジャーナリストが、受賞したノーベル平和賞のメダルを競売にかけ、売り上げの約140億円をユニセフに寄付したと報じられました。自らの新聞社は休刊を強いられながらも、母国のウクライナ侵攻を悲しく、恥ずかしいと語り、せめて出来ることをと思…

果物遍歴

小玉西瓜を買ってみました。開発されたのは昭和34年だそうで、東海道新幹線が開通したのが昭和39年、商品名の「こだま」はそれに因んだのだと思っていましたが、ある時「小玉」だと悟ってちょっと落胆しました。西瓜を井戸で冷やして大家族でかぶりつく…

川越便り・スマホ篇

川越の友人から、スマホに換えたので試験送信、と写メールが来ました。 クガイソウ 愛妻が友人たちはみなライン連絡なので、とスマホに乗換えを決意、夫名義の契約になっているからと巻き込まれたのだそうです。目下、夫婦で肩を並べてドコモのスマホ教室に…

犬王

古川日出男『平家物語犬王の巻』(河出書房新社 2017)を読みました。初版を買ったままツンドクになっていたのですが、アニメ『平家物語』が評判になり、今後の若い読者には多かれ少なかれ「古川平家」の影響が残るかも、と考えて読んでみました。 読後感を…

山城便り・蕗苗篇

京都郊外で庭に菜園を作って暮らす錦織勤さんから、メールが来ました。 【我が家の畑は、5月の中旬にニンニクを収穫し(今年は肥料を十分にやらなかったせいか、小さめ、少なめでした)、後には例年通り、サツマイモとトマトを植えました。ずっとフキが欲し…

七夕の短冊

知床遊覧船が沈没したらしい、という報道を最初に見た時、ぎょっとしました。まさか観光船が無謀な出航をしたとは考えつかず、北の海で原因不明の沈没、と聞いて頭をかすめたのは、国籍不明の潜水艦と接触したのでは、という不吉な想像でした。ロシアも遭難…

隣家の猫

美容院へ行く途中、通称落第横町の入り口で、小さな生き物がちょろちょろと走りました。巣立ちの子雀かな、いや小雨の中を鳥が地上にいるのはおかしい、と思ってよく見たら、鼠でした。最近この界隈では、昼日中に鼠が道を横切るのに出会うことがあります。…

知床の岬

学部生時代の夏休みは、リュックを背負って(安宿泊続きで)日本中を旅しました。カニ族などという語が流行るちょっと前、戦後の復興が一段落して、未だ列島改造論に破壊されない山河があった、1960年代半ばでした。その後の院生時代の訪書旅行も含め、ほぼ…

量り売りの詐術

梅雨の晴れ間を縫って大塚駅前の商店街へ出かけました。今年はあちこちの南天の花の付きがいい。この冬は楽しめそうです。南天にも生り年があるらしい。 目的は、花屋で日々草の苗を買うことです。以前は色とりどりの日々草で夏の庭を埋め尽くしたのですが、…

体験的電子事情・インタ―ホン篇

マンションの総会で、インターホンの故障が多いという話が出ました。オートロックなのですが、コロナ禍で宅配が増えたせいか、システムが作動しなかった例が度々あるというのです。寿命は20年なのだそうで、築18年目だからそろそろ交換が必要か、と検討…

朝廷儀礼の式次第

近藤好和さんの「『江家次第』にみる朝廷儀礼の式次第(1)~(4)」(季刊「古代文化」73:1~4 2021/6,9,12,2022/3)を読みました。皇位継承の儀礼の一部始終を追って連載で解説しています。(1)(2)は譲位、(3)(4)は即位式の準備完了まで…

梅雨寒

梅雨寒という語がありますが、今年は何故かうす寒い日が多いようです。トシのせいかな、と思って人と話してみると、そうそう、と言われるので安心します。毛布をクリーニングに出したのに夜が寒くて、もう一度羽根布団を出したりしました。 梅を漬けました。…

空蝉

今年の大河ドラマは大人気のようで、以前の「平清盛」とは全く違うようです。脚本のテンポが速いこと、現代の流行を無駄になぞらないこと、それでいてあちこちで古典由来の「常識」をひっくり返していること、歌舞伎俳優と個性的な新劇俳優とを混ぜて起用し…

コロナな日々 27th stage

家事代行のエノキさんが1ヶ月入院したので、週替わりで4人の人がやって来ました。うち2人はお婆さん。コロナで家事代行の需要は増えているのにスタッフは減り、忙しいのだそうです。新規採用の高齢者には研修は殆どなく、オンラインで注意事項を聞いたく…

たたき起こす

激怒しました。昨日の朝刊(朝日6月7日付14版1面)には、日銀総裁が講演で、家計の値上げ許容度が高まってきていると発言したと報道されていました。根拠は「なじみの店で10%値上げがあったら他店に移る」というアンケート回答が、この4月には大き…

阿波国便り・国分寺篇

徳島の原水さんから、耐震補強工事が済んだ国分寺へ行ってみたとメールが来ました。 阿波国分寺 【国分寺は、以前は崩れ落ちそうな感じで伽藍内部が古色を帯び、今まで巡った徳島の寺院では一番のお気に入りでした。ところが昨年改修され、綺麗にはなりまし…

本屋の棚

先日、新聞で荒井祐樹さんのコラム「生きていく言葉」を読みました。「置き場に困る「いい本」を」という見出しで、ある精神科病院のアトリエについて取材した本を出したところ、知人の出版関係者から「本屋が置き場に困るでしょうね」と言われた話を書いて…

列伝体妖怪学前史

伊藤愼吾・氷厘亭氷泉編『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版 2021/11)を読みました。伊藤さんの仕事もいよいよ実を結び始めたなあ、というのが率直な第一印象です。本書の内容は、広義の「妖怪」に関する広義の「研究」史、そういう仕事をした23名の人々の略…

花屋をさがす

ここへ引っ越して18年、老舗の花屋が代替わりし、いくつもの花屋が出来ては潰れました。ここ数年行きつけだった花屋も、コロナで経営が難しいところへ店舗の賃料が高すぎる、というので出店を止め、電話注文だけの商売をすると言って撤退しました。配達は…

源平の人々に出会う旅 第65回「北本市・蒲冠者範頼伝説」

源氏軍の大手の大将軍として平家軍と戦った蒲冠者範頼は、搦め手の大将軍である弟義経の活躍に押されて目立たない人物です。また、兼好法師の『徒然草』に「蒲冠者のことはよくは知らざりけるにや、多くのことどもをしるしもらせり」とあるように、『平家物…

米国からの訪客

米国のボードイン大学教授ワイジャンティ・セリンジャーさんが、40日間の留学のため来日、我が家を来訪しました。春に来る予定だったが、家族全員がコロナに罹り、遅れたとのこと。切望していた留学がやっと叶って、図書館の中を歩いているだけで嬉しさが…

信濃の旅(3)

29日は友人とその弟夫妻に車で、諏訪大社へ連れて行って貰いました(これも旅の目的の1つ)。今年は御柱の年、コロナで1年遅らせた善光寺の御開帳と重なって、観光客が増えるはずでしたが、想定よりは少なかったらしい。諏訪湖の水面は穏やかでした。 諏…