2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

神無月

めまぐるしい10月でした。月の初めにはバスタオルをお腹に乗せて寝ていたのに、2日ごとくらいに季節が進み、タオルケットへ、綿毛布(この語は矛盾そのものなのですが、製品名がそうなっているので)へ・・・綿毛布と毛の毛布を重ねるようになり、そして…

オルゴール

何かのついでに読んだ記録から、自分の半生で経験したことの意味や位置づけが判って、ああそうだったのか!という感慨を味わうことが、屡々あるようになりました。先日も、1967年朝日新聞掲載の「サザエさん」に、「美しく青きドナウ」のメロディを鳴ら…

中世文学会2023秋(2)

中世文学会2日目。午後の発表をオンラインで視聴しました。①間枝遼太郎「諏訪社の田村麻呂伝説」 ②小森一輝「近代国語読本における源義経伝承の受容」 ③野中哲照「覚一本の“練成”とは何か」の3本です。 ①は諏訪社中世の縁起に見られる高丸討伐譚は従来の説…

中世文学会2023秋(1)

中世文学会初日、オンラインで講演を視聴しました。①妹尾好信「「中世王朝物語」は文学史用語たり得るか」 ②村尾誠一「新古今時代に関してやり残したこと三題」です。 ①は『中世王朝物語全集』22巻(笠間書院)がまもなく完結することに因み、平安末期から…

秋色の木曽路(3)

塩尻のシンさんカエさんのお宅での3日目。愛犬レノン(ダックスフントの6歳)にすっかり懐かれました。dog yearと言って犬の年齢は人間の8倍に当たるのだそうで、昨春会った時から彼には12年経っていることになるわけですが、マスク姿を見ただけでちぎ…

秋色の木曽路(2)

24日は好天、かつては尾張と信濃の境だった桜沢をトンネルで抜けると木曽路です。シンさんの知人木曽路ウオークガイド会の柳川さんの案内で、義仲伝承を中心に薮原ー八沢を巡りました。宮ノ越にある義仲館は、2年前にリニューアルした際に現代のアーティ…

秋色の木曽路(1)

信濃便りの友人の弟さん夫婦(仮にシンさんカエさんとしておきましょう)から、秋の木曽路はいいですよ、とお誘いを頂き、2泊3日で出かけました。長野駅で友人と落ち合って、特急「しなの」で塩尻へ。愛犬レノンの熱烈な歓迎を受けました。野菜や果樹が一…

古活字探偵10

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖10」(「日本古書通信」10月号)を読みました。「古活字版の校正 その2」と題して、駿河版(徳川家康が元和初年に銅の活字を用いて摺らせた活字版)に携わった植字工二兵衛が関わった『三体詩素隠抄』の、表紙裏打ちに…

川越便り・庭園管理篇

川越の友人から、夏の間留守にしていたら庭一面雑草になり、薔薇も何株か枯れた、というメールが来たので、過酷すぎる、と言ってやったら、こんな返信が来ました。 磁給自水 【最低限のケアはしています。写真のように、ペットボトルに給水用の紐を連結して…

愚管抄古筆切

児島啓祐さんの論文「『愚管抄』の本文表記と装幀ー古筆切の検討を通じた中世の享受に関する一考察ー」(「國學院雑誌」8月号)を読みました。中世の文学、歴史、思想の研究に不可欠の資料である愚管抄を読むには、日本古典大系本によるのがここ半世紀の通…

信濃便り・クラス会篇

長野の友人から写メールが来ました。 秋の卓上に 【地元の国民宿舎で開かれた中学の同級会に出席しました。参加者は15名。宴席には手製の煮物や漬物を持参する、地方ならではの光景でしたが、自宅で育てた千日紅の花をドライフラワーにして、参加者の人数分…

尾張・三河の中世

名古屋の松島周一さんから、抜刷が送られてきました。①「応仁の乱前後の斯波家と尾張守護代ー織田敏広から織田敏定へー」(「歴史研究」68号 2022) ②永正年間の戸田氏と今川氏」(「愛知県公文書館研究紀要」創刊号)の2篇です。全くの門外ながら15世紀…

木犀の街

朝から雲一つない快晴、詩人が「神様が宝石箱をひっくり返したような」と歌った、美しい季節です。ようやく木犀の香りが漂う街へ、出かけました。用務先は区役所、コインバスに乗る所存で、念のためウェブで時刻表を調べたら、運転手不足で便を半分に減らし…

羆の尊厳

子供の頃、大島正満の『動物物語』を愛読しましたが、冒頭に北海道の熊の話がありました。夜、団欒中の屯田兵一家の小屋の壁を破って、羆が侵入する話です。その後熊は捕らえられ、学生たちの解剖教材となるのですが、昼休みにその肉を失敬して食べた彼らは…

インフルエンザワクチン

一昨日の夕方、インフルエンザワクチンを打ち、その夜は注射痕が発赤して痒かった程度だったので、これで済んだ、と区から来た文書一式を捨ててしまったのですが、翌日、ちょうど24時間後くらいに、腰の辺りがむずむずして蕁麻疹の気配。肝機能はよかった…

ディベート

インフルエンザの予防接種と、血液検査の結果を聞きに出かけました。開成高校から偏差値70の医大を出た医師です。やはりコレステロール値が高いと言う。すでに抗コレステロール剤の処方箋を出されているのですが、去年処方通りに服用したら、LDLが一気に17…

川越便り・御隠居遠足篇

川越から写メールが届きました。 【今年初めての秋日和に浮かれて隠居の秋の遠足、車で群馬県に出かけました。今が盛りだという中之条ガーデンズのバラ園を見に。秋は四季咲きのバラしか咲かないので、花のない樹が多く、寂しい隙間をコスモス、ダリア、日日…

光村コレクション

よく晴れた1日。午前中は渋谷の大学図書館に出かけ、新着雑誌の論文に目を通しました。渋谷駅周辺は風景が変わり、斬新な高層ビルの隙間に見慣れた看板や小規模ビルが埋もれています。予め目次を検索しておいた数種の雑誌から読み始めました。静かな数時間…

処方箋

およそ半年ぶりにかかりつけの医院に行きました。医師が抗コレステロール剤をどうしても飲ませたがるので、量を減らして服用しているうちに、猛暑で昼間出歩けない3ヶ月。区の健診やインフルエンザワクチン接種のこともあって重い腰を上げたのです。いつも…

研究者の老い

同業者の言動を見ながら、ああ、あの人は老いた、と思う瞬間に2つの場合があります、必ずしも年齢とは関係なく。第1に研究動向を人の名前で言うようになったとき、第2に用語をあれこれ規定したがるようになったとき。 かつて畏敬の念を以て眺めていた先輩…

説話文学研究57

あまりにぎっしりコンテンツが詰め込まれていたため、ツンドク期間が長くなった「説話文学研究」57号(2022/9)を読了。シンポジウム①「『曽我物語』と説話」、②「戦争はいかに語られるか」、③「西域・中国からの水脈ー仏典と翻訳・俗講」を中心に、自分の…

見当たり捜査

新聞で「見当たり捜査」という、見慣れない語を見つけました。防犯カメラやAIが発達したこの時代に、記憶した容疑者の顔を群集の中から見つけ出す、アナログの権化のような捜査方法が今もあり、その専門家もいるのだそうです。警視庁捜査共助課という部署の…

阿波国便り・園瀬川篇

徳島の原水さんから写メールが来ました。愛犬さくらの散歩コースでしょうか。 河川工事後の園瀬川 【あっという間に秋の気配になりました。近くに園瀬川という川が流れているのですが、久しぶりに行って見ると、堤防の左岸がコンクリートになっていました。…

新歌舞伎座

新しくなった歌舞伎座に初めて行きました。大学院時代の友人大島貴子さんが誘ってくれたのです。歌舞伎座に来るのは、何十年ぶり!建物が新しくなってから、気にしてはいたものの、コロナ禍もあってなかなかチャンスがありませんでした。東銀座駅地下1階は…

源平の人々に出会う旅 第81回「尾道市・義仲遺児と覚明」

木曽義仲の嫡子清水冠者の名は、覚一本『平家物語』は義重としますが、一般的には『吾妻鏡』の義高で呼ばれることが多いです。長門本『平家物語』では、弟が3人、妹が1人おり、次男の幼名を力寿とします。日本各地には力寿と義仲遺臣らの落人伝説が点在し、…

秋を推す

ようやくムスカリの球根を植えました。暑くてそういう気分にならなかったのと、夏の間だけの心算で平鉢に植えておいたヒポエステス(ソバカスソウ)2株の始末に迷っていたからです。春の終わり、球根を掘り上げた後に相応しい苗が見つからず、とりあえず、…

古活字探偵9

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖9」(「日本古書通信」9月号)を読みました。今回は「古活字版の校正」という題で、印刷後に誤植が見つかったり、何らかの理由で部分的修整をしたかったりした場合に、物理的に改訂の手が加えられた例について述べて…

2冊目の俊成伝

同じ著者、同じ版元から出された2冊の藤原俊成伝①久保田淳『藤原俊成伝 中世和歌の先導者』(吉川弘文館 2020) ②同『藤原俊成』(人物叢書 2023)を読みました。①(年譜、参考文献、索引共500頁弱)についてはすでにこのブログに書きましたが、②は叢書…