2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

衝撃の大晦日

例年通りのつもりで年越し蕎麦を食べに出かけたら、蕎麦屋はラーメン屋に改造中でした。学生時代から50年来行きつけだった蕎麦屋です。呆然としました。今年は年越し蕎麦は抜きか、と思いましたが、ちょっと脚を伸ばして、大通りのゆで太郎(この店もいつ…

小学生の時、給食で最大のご馳走は「鯨の竜田揚げ」でした。尤も今と違って、揚げ物はなかなか食卓に上らず、肉は勿論特別のご馳走でしたから、鯨肉が好きだったというわけではなく、臭味を消した竜田揚げなら子供の舌にも美味しかったのです。 我が家は九州…

ぎりぎり

やっと賀状を書き終わり、本日最終の集配にぎりぎり間に合うよう、投函しました(もし元日に間に合わなかったら、皆さま御免なさい)。暗くならないうちにと、慌てて注連縄を買いに出かけました。例年、薬師堂の前に小屋を建てて売るのです。街は人少なにな…

年越しの買い物

特定健診の結果を聞きに行きました。よく晴れて、風が冷たく、いかにも年の瀬らしい朝です。結果はほぼOK、腫瘍マーカーも異常なし。でも、ばりばり働き、きゅっと呑んで、明日もばりばり・・・という生活は、もう過去のものとなったようです。 本屋へ寄って…

無常の鐘声

軍記物語講座第2巻『無常の鐘声―平家物語』 松尾葦江編 花鳥社より2020年7月30日刊行予定 まえがき 佐倉由泰 平家物語の軌跡 松尾葦江 『平家物語』古態論と延慶本 佐伯真一 延慶本平家物語の伝来と流布―現存本遡及の試みー 久保勇 平家切から分かる…

俊成とその周辺

中村文さんの「藤原清輔が見ていたものー『奥義抄』後拾遺集歌注釈をめぐってー」(「武蔵野文学」66 特集「藤原俊成とその周辺」)を読みました。 藤原俊成と同時代に歌壇の指導者として活躍し、しかし実作者としては後代さほど高く評価されなかった藤原…

治世と文化

呉座勇一さんが「歴史家雑記」という新聞コラムで、次のようなことを書いていますー室町時代の政治を肯定できない戦前の歴史教育は、代わりに文化を賛美した。義政の時代の東山文化は、和室・和食・茶の湯・生け花など日本の生活文化の源流として特筆された…

保元物語伝本考

早川厚一さんの「ー書評ー原水民樹著『保元物語』系統・伝本考」(「名古屋大学国語国文学」111)を読みました。書評と言うより紹介が主ですが、660頁にも及ぶ大著のエッセンスを明示してくれています。 そこにも書かれているように、『『保元物語』系…

勉強会×2

午前中は、八重洲の会議室を借りて、早川厚一さん・谷口耕一さん・清水由美子さんの3人に来て頂き、「注釈をやってみてわかったこと」というタイトルで保元・平治物語の座談会をやりました。軍記物語講座第1巻『武者の世が始まる』(2019年刊行予定)…

日本語教育

出入国管理法改訂に関する政府の態度は、ひどいものだと言わざるを得ませんでした。移民政策はやらない、と言いながら人手不足解消のために、と急ぐ(矛盾しています)。法案の根拠となるはずのデータは不十分か不正確だし、具体策を訊かれると、なにもかも…

天空の街

源平盛衰記の共同研究の、乱版(みだればん)調査に便乗し、神田川を見下ろす静かな文庫で、終日版本をめくって過ごしました。乱版とは、1冊の本の中に整版(1枚の板に1頁分を彫って刷る)と古活字版(1字1字を木で作って並べ、1頁分を組んで刷る)と…

銀杏

行きつけの肉屋の女将から、銀杏を貰いました。早速10粒ばかり、フライパンで炒って、胡桃割り器(木製カップにねじ込みの棒がついているもの)に入れてみましたが、小さいのでなかなか難しい。ネットで調べたら、封筒に入れて電子レンジにかければいいと…

特定健診

区の特定健診を受けに出かけました。かかりつけ医は私より2歳年下なのですが、ぎっくり腰だとかで暫く休診していました。杖をつく姿を患者に見られないように歩いているのに、待合室のばあさんたちは一斉に身を乗り出して見ている。私は眼の隅で他人の表情…

エスカレーター

JRが、エスカレーターは歩かずに、というキャンペーンを始めたとのニュースを知って正直、今頃かよ、と思いました。稼働しているエスカレーターを歩いて昇降する人のために片側を空けておく、という慣行は、1970年代に大阪から始まったそうですが、当初…

砂丘の辣韮

スーパーの店頭にエシャロットが出ていました。よく洗って髭根を落とし、茎をほどよい長さに切って、嘗め味噌かマヨネーズをつけて囓ると、酒肴になります。マヨネーズに味噌か醤油を混ぜたり、一味や山葵を混ぜたりするとより肴らしくなる。強壮剤の風味な…

乱世を語りつぐ

軍記物語講座第4巻『乱世を語りつぐ』((曽我物語・義経記・室町軍記) 松尾葦江編 2020年5月 花鳥社刊 まえがき 山上登志美 室町という時代 坂井孝一 『曽我物語』真名本の女性たち ―〝女語り〟の物語は女性をいかに語ったか- 小井土守敏 『曾我物語…

雪のひとひら

ポール・ギャリコ(矢川澄子訳)『雪のひとひら』(新潮文庫 初訳1975)を読みました。本屋で見かけた時、煮詰まりそうな仕事の予定があったので、合間にクリスマス気分で読むにはいいかも、と思って買って置いたのです。若い頃、読みたいなと思いながら…

桃山の茶陶

思い立って根津美術館へ、「新・桃山の茶陶」を観に行きました。ずっと机にしがみついていると、身体も精神も硬くなってしまって、どんどん劣化していきそうだからです。陽ざしは温かいが風が冷たい。館内は欧州人のカップル、和服姿のおばさまたち(茶道関…

年の瀬

先週あたりから、街は師走の風景になりました。公孫樹の黄葉も遅かったのに、どこが変わったのかと訊かれても困るのですが、物を運ぶ人や取引先を訪ねる人の表情が、年の瀬らしくなったのです。 雨上がりには、濡れた落葉で足が滑るから、と商店街の人たちが…

健康管理

現代は、患者がある程度勉強して、持病についての知識を持たねばならぬ時代になったようです。医者任せにしたければ、大勢の家族が集団で、患者の救命を希う圧力をかけること。そうでもしないと、この病状にはこれ、といったスタンプ的治療を当てはめられ、…

人はどれだけの

何だかもやもやしています―たとえ1円の給与でもここへ来た、と啖呵を切った紳士の映像を見ながら。ほんとにそうなら、給与は要らないよ、とかそんなに高くなくてもいい、とか言ってもよかったはず。報酬額を呈示された時、少なくとも、わるくない、と感じは…

紅葉狩り

郵便局へ行くついでに長泉寺の境内へ寄りました。例年、春に桜を楽しませて貰うので、六地蔵の御前に、我が家で育てた菊の鉢を置いたのです。咲いていなかったら交換しなくては、と見に行ったのですが、ちゃんと咲いていました(この菊はもともと、山門の下…

軍記物語講座

軍記物語講座 刊行の辞 振り返れば軍記文学研究叢書(汲古書院)が刊行されてから、そろそろ20年が経とうとしています。この間に軍記物語研究も大きく変化し、新たな視野がひらけたと共に、研究対象が拡散し、文学本来の課題は見えにくくなってしまった、…

看護師の涙

先日、東大の臨床死生学の講演会で、患者に死なれた医療関係者の心のケア、という話題が出たとき、会場の空気がぐっと迫るのを感じました。当事者、経験者が多かったのでしょう。同じ頃、TVドキュメントで、救急病院の24時間を追う番組がありました。担当…

字余り

朝刊の川柳欄の1句に、今ぴったり、と大いに共感しましたーあちこちへ討ち入りしたき師走かな。 全くです!消費増税は、あれやこれや姑息なサービスをつけて骨抜きになる。まるで竹鋸で首を切るようなやり方です。どうしても必要なら必要額だけ上げて、その…

赤髪の看護師

一度会ったきりで、忘れられない人があるものです。都立定時制高校の教諭だった頃(40年前)のこと。その高校は男子生徒の半数は自衛隊員で、女子生徒の大半は准看護師(昼は病院などで看護業務を務め、定時制4年間で必要な単位を揃えれば正看護師になれ…

臨床宗教師

東大の臨床死生学・倫理学研究会の公開講演を聴きに行きました。飛騨千光寺住職・臨床宗教師の肩書を持つ大下大円氏の講演「臨床宗教師の人材育成とその活動」です。東大構内はもう暗くなっていましたが、正門から入ると、植え込みの段差がなくなるくらい、…

デパ地下

必要があって、渋谷の大学図書館で終日、日本史関係の本を読みました。中世の各時代の内乱史です。閲覧室はしんとしていてうれしい。途中でカフェへ降り、待ち合わせた人と、今進んでいるプロジェクトの打ち合わせもしました。 5時半はもう真っ暗です。ヒカ…

源平の人々に出会う旅 第23回「信州佐久・猫間」

寿永2年(1183)、入京した義仲は京都の守護を命じられますが、京中の狼藉は収まりません。『平家物語』は、狼藉を義仲軍のみの所為であるかのように記し、義仲の田舎者振りを嘲笑する”猫間”や”牛車”のエピソードを載せます。事実を誇張したのか、『今昔物語…

紛争地の看護師

白井優子さんの『紛争地の看護師』(小学館)を読みました。すごいーとしか言いようのない、その後にはしばらく絶句が続く読後感です。理由は、ひとつには著者の覚悟と行動力への共感と驚嘆ですが、もうひとつは、いまこの瞬間にも世界で起こっている(自分…