2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

春の楽しみ方

スーパーで、小さな蕗の薹を安売りしているのを見つけました。山形産だそうで、親指の頭くらいの大きさ、このくらいの方が料理しやすいと思って買うことにしました。半分は、その日味噌汁に入れました。けっこう苦いのですが、春先は、この苦みが身体に効く…

源平盛衰記全釈

早川厚一さんが主宰する「源平盛衰記全釈」の連載14回目(「名古屋学院大学論集人文・自然科学篇」55巻2号)の抜刷を頂いたので、『源平盛衰記(一)』(三弥井書店 1991 久保田淳加注)をチェックしました。 早川グループの作業は、研究会方式では…

流布本保元平治物語

小井土守敏・滝沢みか編『流布本保元物語平治物語』(武蔵野書院)という本が出ました。小井土さんの所蔵する貞享2年版絵入保元物語平治物語を翻刻、略注を付け、滝沢さんが解説を書いて、講読用テキストとして出したものです。 底本の挿絵写真も綺麗に入っ…

長泉寺の山桜

朝刊を取りに行ったついでに、長泉寺の桜を見に行きました。何やら境内に人が集まっている。近づいてみたら、何と満開の山桜の上部半分が無くなっています。梯子を架けて伐採している作業員たちと男性1人と、それからおばさん2人がいて、庫裡にもおばさん…

武士のものがたり展

午前中、花を持って青山霊園へ出かけました。通りの店舗も、霊園の中も毎年変わります。新しい店ができ、集合墓ができ、木々が伐られてあかるくなっていました。通路にある古木の桜が土中の根からも花芽を出し、まるで地面からいきなり桜の花が咲いているよ…

延慶本全注釈

延慶本注釈の会編『延慶本平家物語全注釈』(汲古書院)が完結しました。1996年4月から、輪読会方式で作った注釈稿を、佐伯真一さんが中心になってまとめたものです。実に23年に亘って行われた集団作業で、参加した人たちは、入れ替わりがあるものの…

池袋

池袋へ用足しに出かけました。花見の下見を兼ねて、わざと春日通りをバスで行くことにしました。未だ3分咲きです。古木は思い切り枝を詰めてあることが多く、かつての並木は寂しくなって、思いがけない場所に若木が花をつけているのを見つけたりしました。…

アスリートたち

このところ立て続けに、すごいアスリートたちを観ました。子供の頃病弱だったので、スポーツは出来ないし興味もなく、お天気屋の多い体育教師とはいつも反りが合わず、スポーツには殆ど憎悪を抱いていたのですが、純粋に観客となってからは、それなりの感懐…

待ちわびて

九段の桜が咲き、東京の開花宣言が出てから、毎朝、長泉寺へ咲き具合を見に行きます。山桜、染井吉野、八重桜と3本ある桜の咲き具合です。今は辛夷と木瓜が満開、老木の山桜が1分咲き。先代住職の奥さんの話では、終戦の焼け跡にあったのは若木の山桜だけ…

おきゅうと

福岡の従姉から、おきゅうとが来ました。おきゅうとは、エゴという紅藻で作った、博多のソウルフードと言われる食品です。知らない人に説明するのはなかなか難しいのですが、ところてんの透明でない、やや重いものを想像して貰うと近いでしょう。きしめんの…

ムスカリの受難

葡萄ムスカリが花房をもたげています。蕾が見え始めてからもなかなか伸びないのに、ある時点までくると一気に青紫の花房を捧げて、自己主張します。 もともと小学校の塀の下に植えてあった球根が、霜でむき出しになったり、野蒜と間違えて抜き捨てられたりし…

渋谷の夜

昼過ぎに大学図書館へ出かけ、気になっていた本をあれこれ拾い読みしました。手に取ったのは―『徒然草への途』(荒木浩 勉誠出版 2017)、『徒然草の17世紀―近世文芸思潮の形成―』(川平敏文 岩波書店 2015)、深澤徹「慈円『愚管抄』」(岩波講座…

東横線沿線

東横線沿線の用事を3つ、果たすために出かけました。久しぶりに日比谷線に乗ったのですが、50年前に通勤で利用した駅のたたずまいは殆ど変わっておらず、道案内に六本木ヒルズが付け加わっただけ、という感じでした。しかし駅の外は大きく変わり、中目黒…

フリージア

父の命日が近くなったので、花屋に白と紫のフリージアの取り寄せを頼みました。彼の好きな花だったのです。葬儀の時、祭壇用に特注したところ、白と紫、それに差し色の紅がとてもよかったので、毎年探して供えることにしています。ところが近年、花屋に出る…

説話研究を拓く

論集『説話研究を拓く―説話文学と歴史史料の間に』(思文閣出版)を読みました。本書は、国際日本文化研究センターの倉本一宏さんが主宰して、2015~2018年度に16回に亘って開かれた研究会での成果を編んだもののようです。1説話と歴史史料 2説…

本文撮影

村上學さんのエッセイ「国文学研究が肉体労働であったころ」を読みました。 https://kachosha.com/gunki2019031501/ 村上さんは年齢的には大先輩なのですが、いくつもの仕事(企み)を御一緒しました。この分野には伝説的なバイタリティの持ち主が2人いて、…

自動詞

3月14日は、アメリカではパイの日だそうです(円周率に引っかけて)。それで昨日の朝日新聞朝刊に、「パイの日に考える数学」と題するコラムが載り、「正多角形の外周は三角関数を使うと求まる。」という一文があって、引っかかりました。「求める」は他…

震災体験・後日篇

2011年の新学期が始まりました。節電で、地下鉄の車中からは駅名表示が読めないほど照明が落とされ、エスカレーターは停止しました(何故か議事堂前駅だけは動いていました)。大口需要者には節電割り当てが来て、大学は校舎を1棟閉め、教室をやりくり…

震災体験・緊急対応篇

東北大地震の日、春休み中でしたが大学構内には、800人ほどの学生がいました。地域指定の避難所は隣の大学だったのですが、不安を感じた近所の住民がとりあえず訪ねて来るのを受け入れました。防災備蓄の乾パンと飲料水を提供したのはよかったのですが、…

震災体験・翌日篇

2011年3月12日の朝、地下鉄を降りて歩いていたら、春日通りの向こう側から、呼び止められました。前日、印刷物を納入するはずだった業者は、我が家の下に荷を積んだワゴン車を止めて夜を明かしたのだそうです。帰社するには多摩川を渡らなければなら…

震災体験・当日篇

2011年3月11日の午後2時過ぎ、私は渋谷校舎の半地下の会議室にいました。その日は、年度最後の大学院の教授会でした。会議途中で、遠くから近づいてくるような轟音の後、地震がやってきました。とっさに、あっ、これは遠いけど大きいな、と思いまし…

オリーブオイル

朝食のバターをやめて、オリーブオイルに変えました。1日2匙のエクストラバージンオリーブオイルが健康にいい、としきりに言われていますが、とうていそんな量の油を舐めることはできないので、パンにつけることにしたのです。 初めてレストランで小皿に入…

徒然草の誕生

中野貴文さんの『徒然草の誕生―中世文学表現史序説』(岩波書店)を読みました。久々に「文学とは何か」を意識した正統派の、しかも(片仮名用語をむやみに振りかけてぎらぎらさせるような)背伸びをしていない評論を読んだ気がします。 本書は、序章「随筆…

千の星

このブログを始めてから、約2年と2ヶ月が経ちました。当初は2年限定の心算でしたが、もう少し、無理のない範囲で続けるかな、と考えるようになりました。 この間、コメントを書いたり、星をつけてお励まし下さった方々に御礼を申し上げます。星の数は、昨…

出題

在職時代、いわゆる「読書」は殆ど出来ない日々が永く続きました。仕事に必要なものを読むだけで手一杯だったのです。しかし、そんな生活の中で、夏休みには、専門外の新刊書を漁る時期がありました。入試には、大抵のところで国語が必修です。日本文学の教…

湯島をめぐる会話

昨日、税務署の順番待ち行列で、見ず知らずが交わした会話―私の前に2人のおばさん、後ろに1人のおばさん、その後ろにおじさん(女性たちは60代、男性は70代と見受けました)。いずれも自営業らしく、男性はもと煙草屋で、スキーが趣味、と自己開示し、…

ちゃんと使ってよね

税務署へ確定申告に出かけました。今年は(収入が少なく)単純なのですが、例年、手書きの申告書の検算をして貰ってから、提出することにしているのです。もう40年来の習慣です。自分にとっては抽象的な数字ばかりですから、途中で数字を間違えると最後ま…

二代の雛

雛人形を仕舞いました。大小いろいろな人形の中から、今年は2組選んで飾ったのですが、もうそんなに永く飾れないのだから、来年からは手間を惜しまずに出してやろうと思いました。 紙と土と、竹や藁で作った山陰地方の流し雛もあります。もともと祓の人形(…

転換する文法

吉田永弘さんの『転換する日本語文法』(和泉書院)という本が出ました。本人は30代で単著を出す計画だったようですが、学内ではやくから、若いけどしっかりしている、という評判が立ってしまって、校務に逐われ、ようやく実現したようです。それゆえ、今…

源平の人々に出会う旅 第26回「小田原市・範頼義経上洛」

寿永2年(1183)11月、義仲と後白河法皇の対立が悪化し、法住寺合戦が起こります。圧勝した義仲は法皇を幽閉、藤原基房と共に除目を行い、征夷大将軍(史実は征東大将軍)となります。しかし、この時には範頼・義経が率いる東国の軍勢が迫っていました。 【曽…