2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

私的太平記研究史・後日談

ネット上で、故福田秀一さんの近代日記コレクションの整理が進行中であることを知りました。福田さんは大学院の大先輩。親切だが少々無神経なところもあって、目下の者としてはいささか距離を置きたい先輩でもありました。和歌と自照文学(日記・紀行・随筆…

フライパン

久しぶりの快晴、布団や洗濯物を干すことが出来て嬉しい。アナログ世代は、陽光に当てて干さないと、どうも安心出来ない気がするのです。都心のマンションなので、建設時に近隣住民から、見えるところに物を干すな、という条件をつけられた(彼らにとって何…

百錬抄

松薗斉さんの論文「『百錬抄』に見える中世人の歴史認識」(「日本歴史」2020/2)を読みました。勧修寺流藤原家を始め諸家の日記・記録類からの抄出によって年代記的に構成されている『百練抄』は、欠巻があるものの安和元(968)年ー正元元(1259)年の世…

武漢

武漢から始まった新しい感染症の拡散防止が大ごとになっています。人口1100万人の都市を封鎖するなんて、想像もつきません。20年位前、幼時に罹った脊椎カリエスの後遺症のために、股関節専門の整体治療士の世話になった時、これからの世界は感染症が…

春を待つ

若草山の山焼き 奈良にお住まいの高木浩明さんから、写真添付のメールが来ました。 [25日の若草山の山焼きの様子を、少し離れた平城宮跡から撮影しました。山焼きの前には花火が上がり、その後に山に火が放たれます。一度では焼き足りないので、27日に…

軍記・語り物研究会424

軍記・語り物研究会例会に出ました。久しぶりに早稲田大学へ入ってみたら、キャンパスは綺麗に整備されていて(しかし部外者にはまるでわかりにくい)、あの寅さんがたむろする学生に話しかけた辺りも、コンクリートで塗り固められていました。 参加者は二十…

慄然

昨日の朝刊(朝日 東京13版)を見て慄然としました。「「人生100年」の現実」という特集で、宗教学者や医学ジャーナリストが書いているのですが、その論の蕪雑さ、短絡性(生命に対する畏れがない)に、誇張でなくぞっとしたのです。約めて言えば、保険…

神楽坂

今成元昭さんの訃報に接しました。ちょうど平家物語の成立と日蓮遺文の関係について、『平家物語流伝考』(1971 風間書房)を読み返していたところだったので、衝撃でした。 今成さんはいささか暴れん坊の、論客でした。『方丈記』末尾の署名が長明でな…

源平盛衰記の出版と流布

研究集会「源平盛衰記の出版と流布」 来聴歓迎 日時 2020年2月23日(日)11:00~17:00(受付開始10:45)会 場 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー25階会議室B ※同所で源平盛衰記に関連する資料(個人蔵)の展観を行います。 無刊記整版源平…

年賀葉書始末

残った最後の切餅を、トムヤムクン仕立てで食べました。これが美味しい。市販のトムヤムクンスープに、焼いた切餅を入れ、刻んだ三つ葉(あれば小海老か干海老)を足します。豪華にしたければ茸類も少し入れます。温まります。 当選しているお年玉年賀葉書を…

黄・白・青の少年

ブレイディみかこ『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』(2019 新潮社)を読みました。この人の本を読むのは初めてなのですが、作家でもありルポライター、そして幾分ジャーナリストでもあるなと思いました。奨めてくれた友人によると、作品によ…

旅の代わりに

期限の迫った所用があって、丸ノ内へ出かけました。地下鉄に乗ったら、若いサラリーマンからすらりと席を譲られました。こういうことは、年に1回あるかないかです(譲ってくれるのは40~50代の女性か、たまに年配の男性。働き盛りの男性が譲ってくれることは…

鍋買いに

フライパンが壊れました。もう20年近く使っていたのですが、昨日、豚肉と菜の花と榎茸の炒め物を作って皿に移した後、突然じりじりと音を立てて柄が割れ、抜けたのです。いかにも、もう役目は終わった、と言わんばかりでした。テフロン加工が剥げ(テフロン…

追悼岩佐美代子

岩佐美代子さんの訃報を知りました。最近は学会でお会いすることもあまりありませんでしたが、17日に肺炎で亡くなったとのこと。ファンの多い方でしたので、ネット上には追慕の言が溢れています。 いつも和服で、盛装でなく普段にごく着慣れていらっしゃる雰…

健康管理

かかりつけ医に健診結果を聞きに行きました。2,3箇所いけない数値がありましたが、ここ数年ほぼ変化していないので、勝手に「よし」と考えることにしました。むせやすくなったと訴えたら、上を向いて口を閉じたまま(丹頂鶴のポーズ)、ウ~と声を出す(喉…

新発見の源氏物語

高木浩明さんからメールが来ました。高木さんは書誌学に大志を抱き、目下、古活字版悉皆調査に邁進している人です。 [去年の10月9日に、重要文化財に指定されている源氏物語写本と僚巻の「若紫」巻が新たに発見されて、報道各社によって大々的に取り上げられ…

スノードロップ

クリスマスフラワーに使った山帰来の枝を、桜の木にくくりつけておいたことは前に書きましたが、期待していた雀はやって来ず、だんだん乾物になってきたので取り外そうかと考えていたら、今朝、ベランダに大きな糞が落ちていました。やって来たのは鵯です。…

滅茶苦茶

最近、程度の甚だしいことを表現するのに、「めちゃめちゃ」という語が頻用されています。以前から、「めっちゃ」という強調法は若い人たちが使っていましたが(関西系の人に多いようでした)、最近は「めちゃめちゃ美味しい」とか、「めちゃくちゃ嬉しい」…

特集太平記

年刊誌「アナホリッシュ国文学」第8号(特集太平記 2019/11)を読みました。本誌は雑誌「国文学 解釈と教材の研究」の廃刊を受けて、2012年12月に創刊、本号の広告を出したまま5年近く休刊していたのですが、この度編集長が交代して再出発し…

会誌終刊号

日本女子大学大学院の会発行「会誌」36号(2019/10)が、吉崎敬子さんから送られてきました。1979(昭和54)年から40年間、院生と卒業生たちが自発的に出し続けてきた学術誌も、当事者たちの手で幕を引くことになったそうです(時世柄、お…

米国からの年賀状

Vyjayanthi Selinger さんから年賀メールが来ました。彼女は印度出身ですが、米国で日本文学を学び、現在はボードウィン大学教授。2児の母でもあります。専門は源平盛衰記(彼女自身が選んだのです。2017年には家族全員で滞日しました)。少し長いので…

果物尽し

「桃栗3年柿8年」という諺には未だ続きがありまして、と切り出した総理が年頭挨拶で、「柚子は9年ですから私は9年間の使命を全うします」、さらに果物尽しを続けた後「林檎ニコニコ25年」と結んだ、と報道されました。ん?柚子は大馬鹿11年じゃなかったっけ…

肥大

昨夜、レバノンからの記者会見中継を視ました。機関銃のように喋りまくる英語とフランス語とに、同時通訳の能力がついて行っていないようでしたが、強く印象づけられたのは、その人の顔が変わっていたことでした(以前はギャングのボスかスパイのような眼光…

七草粥

先日、スーパーで、「七草粥の素フリーズドライ」という商品が山積みされているのを見つけました。なるほどこれは便利、白粥に振りかけて混ぜればいいわけだ、と手に取ってつくづく眺め、買おうかどうしようかと迷いましたが、待てよ、微塵切りになっていて…

声明と平家琵琶

薦田治子さんから、「声明と平家琵琶 六道輪廻の世界」公演のご案内を頂きました。薦田さんは、今や肉声からの伝承が困難になった平家語りを、楽譜や録音を通して伝承し、現代の検校が語れない句も復元しようというプロジェクトを、文化庁その他の後援も得て…

聴耳頭巾

リルケの薔薇を剪りました。四季咲きの紅薔薇ですが、毎年12月後半に咲く花を、薔薇を愛し、その棘による傷が原因で亡くなった詩人リルケの命日に因んで、我が家ではこう呼んでいます。正月の花がそろそろ草臥れてきたので、卓上に挿し替えました。 去年の…

源平の人々に出会う旅 第36回「紀州・高野山」

元暦元年(1184)3月、平家一門のいる屋島から脱出して紀州へ入った維盛主従は、ある人物を訪ねるために高野山へ向かいます。 【高野山 根本大塔】 高野山は、平家にゆかりの深い地です。若き日の清盛が安芸守の時に、高野山大塔の修復を命じられます。この…

主導権移譲

穏やかな三が日でした、と書きたいところですが、風邪を引いてしまいました。在職中はだいたい毎冬1回大風邪を引きましたが、たいてい授業が終わって年間業務の最後くらいに(つまり要領よく)倒れました。定年後はそういうメリハリがなくなったせいか、あ…

居るのはつらいよ

東畑開人さんの『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院 2019)を読みました。臨床心理学の博士号を取ったものの、セラピーの仕事を望んでなかなか就職口のなかった著者が、沖縄に「好条件」の求人を見つけ、そこで体験した4年間を…

葛城

東京は静かな正月です。福茶から始まってお屠蘇から雑煮まで一通り、仏壇とサシで祝いました。年賀状を60枚以上書き足し、ウィーンフィル新年コンサートと辻井伸行のショパンのピアノ協奏曲を聴いて、例年通りの元旦です。 山中玲子さんからは、メールで新…