2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ともに読む古典

古文を教える現場教師、ちょっと背伸びしたい高校生、孫が何を教わっているか知りたい祖父母、そして、かつて古文は苦手だった大人のあなたへ! 3月18日刊行予定。 松尾葦江編『ともに読む古典 中世文学編』(笠間書院) A5判・並製・カバー装・336頁 ISB…

雅楽・声明(しょうみょう)

上野学園大学日本音楽史研究所から、レクチャーコンサートの御案内を頂きました。唐楽(解説はスティーヴ・ネルソンさん)と真言宗豊山派の声明(解説は新井弘順さん)の2部構成。3月22日の夜、会場は上野学園石橋メモリアルホール、入場料¥2500だ…

帝都

久しぶりに上京した友人と新丸ビルで待ち合わせして、ゆっくりランチを摂りました。高層ビルの隙間から皇居の櫓が見えます。明後日の東京マラソンのゴールが、今年からこの辺になったとの噂をしながら、オールドスタイルの洋食を味わいました。 初めて皇居前…

春の野菜で一献

タラの芽が安くスーパーに出ていたので、つい買ってしまいました。天麩羅が一番美味しいようですが、今どきのタラの芽は栽培なのでアクが少なく、料理法が広くなっています。洗って根元の堅い部分を削いだら縦二つ割り、刻んだベーコン少しと、柔らかくする…

傾聴

大学図書館で新着図書を漁り読みしているうちに、「浅草寺仏教文化講座」60号(非売品)に載っている、金田諦應さんの傾聴移動喫茶レポートが眼に留まりました。東北大震災の後、軽自動車で喫茶店を開き、人々の話を聴くボランティア活動をした僧侶の体験…

分かりやすいということ

国文学の本が売れない、版元は今や危機に瀕している、分かりやすく売れる本でなければ出せない、と言われ続けています。「売れる」かどうかはともかく、「分かりやすい」本とはどんなものなのでしょうか。ですますで書く、表紙やイラストにマンガをつかう、…

なぜ57577愛

必要があって、錦仁編『日本人はなぜ、57577の歌を愛してきたのか』(笠間書院 2016。書名が長すぎる!ご無礼して略させていただきます)を取り寄せて読みました。和歌をもっと身近に、というキャンペーンの一環として企画され、研究者10人と実作者4…

金平糖

そろそろ雛飾りの用意をする時期になりました。手狭の我が家では大内塗の親王雛だけを飾り、定番の桃の花のほかにロゼワインの小瓶(白酒の代わり)、金平糖(雛あられの代わり)を並べます。ギリシャ土産の蛤1対(紫の染料を採る貝だそうです)はオプショ…

つくも神

区役所が未使用食器の回収をする日なので、何箱か持って行き、小さな石鹸を貰って帰りました。家具・器物類の整理をした日は何故か眠れません。殊に陶磁器には不思議な存在感があって、家に古くからあった品を手放す時は、人との永訣のような疲労感が残りま…

パンを買いに

パンを買いに行きました。パン屋と本屋と花屋は、いい店のある町に住みたい。そう思っています。幸い、隣町まで行けば美味しいパン屋があるので、1週間分のパンを買って冷凍します。仏蘭西人の友人が言うには、「昨日のパンは、日本で言えば冷や御飯のよう…

染付

所用の後、根津美術館へ寄って「染付誕生400年」展を見てきました。主に江戸前期の肥前の焼物です。寛文延宝頃、整版本や奈良絵本の出た時代の文化が、自分の中でぼんやりとかたちを取り始めました。若い頃は染付のよさが分からず、漬物皿くらいに思って…

剣の名

「国語と国文学」3月号が出ました。昨年5月4日に亡くなった三角洋一さんの追悼記事が載っています。愛妻美冬さんの文章に心を打たれました。「ひとつひとつの作品と時代を丁寧に考察して、その間のつながりを明らかにしていくというのが」、彼による物語…

虚像を剥ぐ

曽我良成さんの新著『物語がつくった驕れる平家』を読みました。平家物語は永く日本人の中世史観に影響してきて、我々は今なおいくつもの思い込みに囲い込まれている、との指摘は重要なものです。貴族の漢文日記を読み解きながら、「平家に非ずんば人に非ず…

赤い実

バスで街を走ると、街路樹の水木の実がなくなったことに気づきます。鳥たちが食べたのでしょう。鳥の眼には赤色が最もよく見える、という話を聞いたことがありますが本当でしょうか。彼等にも好みがあるらしくて、南天・千両・ピラカンサスと、順を追って無…

紀元節

鳥取は三十数年ぶりの大雪のようです。知人から玄関先が雪山になった写真が送られてきました。 雪の降る特異日というのがあるのかどうか、気象学上のことは知りませんが、12月14日(赤穂浪士討ち入りの日)、同24日(クリスマスイヴ)、1月15日(セ…

もう一つの平家伝説

平家物語に登場する人物には、何故か故郷や配流先で農業に貢献したという話が伝わっていることが少なくありません。平家側とは限らず、以仁王の乱で奮戦した信連(長谷部信連)も、配流先の伯耆国(鳥取県)日野では地元の農業振興に関わったと伝えられてい…

祇王寺

祇王寺は桜の樹高が高すぎて、庭の苔に散り敷いた落花を楽しむ寺です。近くの瀧口寺では、丸窓の障子に映った花の影を楽しむのだと案内された記憶があります。人少なの時間に独占的に味わいたい情趣ですが・・・ 徒然草には「散りしをれたる庭」(137段)…

源平の人々に出会う旅 第2回「京都・祇王寺」

【祇王寺】 都に祇王・祇女という白拍子の名手がいました。清盛は祇王を寵愛していましたが、ある時、仏御前という名手が現れ、祇王の取りなしで清盛に舞を披露しますが、清盛は仏御前に心を移し祇王を屋敷から追い出してしまいます。最終的に祇王は出家し、…

イノベーション

劇的に進歩したものを野菜・果物類で挙げるならば、菠薐草と金柑だと思います。子供の頃の記憶とはまるで別物のよう!殊に「縮み菠薐草」の名前で店に出ているものはアクがなく、新しければそのままサラダにできる。かつて親から「好き嫌い言うな」と叱られ…

太平記の論

和田琢磨さんの論文「乱世を彩る独断―『太平記』の天皇たち-」(『東洋通信』53:6)を読みました。太平記は序文に、名君と良臣によって国は保たれる、という、これから語る物語の枠組を示しているにも拘わらず、登場する天皇はすべて、臣下の意見を聞き…

実生の桜

冬の間に桜の枝皮を煮出すと桜色の色素がとれるという話を染色の専門家が書いていました。もう、木は準備万端なのでしょうか。我が家の鉢には1・5mくらいの桜の木が植わっています。歩道柵の釣り鉢に芽生えた桜が不憫で、こっそり雛菊の苗と植え替えたの…

高畠華宵の月

寒さは厳しくても日脚が延び、残照から黄昏にかけての空に、早春への期待を感じます。遅くなった買い物に出ると、宵の明星と三日月が藍色の空に鋭く金線を象眼していて、私はこういう三日月を、ひそかに「高畠華宵の月」と呼ぶことにしています。子供の頃、…

文系大学院生の奨学金

平成29年度の公益信託松尾金藏記念奨学基金の公募が始まりました。今回から、ウェブ上で募集要項を見たり応募書類の様式を入手したりすることができるようになりました。大学推薦ですので、応募を希望する学生の方は、4月から所属する大学院事務室に御相…