2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中古日本治乱記

今井正之助さんの「『理尽鈔』と『中古日本治乱記』『後太平記』ー『太平記秘伝理尽鈔』研究』補遺稿3ー」(「愛教大大学院国語研究」25)という論文を読みました。長くて記号が多くてしかも容易に漢字変換できない題名は、今井さん畢生の大著『『太平記…

日記の家

松薗斉さんの『日記に魅入られた人々』(臨川書店 ¥2800)を読みました。楽しくてすいすい読める本、通勤車中などの読書にお薦めします。中世から近世初期の漢文日記・宮中の女房日記8種を取り上げて、その記主・時代・各日記の性格を描き出した本です…

枇杷の実

かつて、店で売られる枇杷は一種の高級果物でした。季節が短くて傷みやすく、高価だったのです。坪田譲治に、巨大な枇杷の実に誘惑されて、一口囓ると口の中が甘い汁で一杯になり、また一口囓ると・・・という幻想的な童話があり、読むだけで涎が出そうでし…

源平闘諍録

早川厚一さんの「源平闘諍録全釈一二」(「名古屋学院大学論集」言語・文化篇28:2)を読みました。源平闘諍録の巻一上「仁安三年戊子三月二十日・・・」から王昭君説話の終わりまで、講談社学術文庫本『源平闘諍録』でいうと上巻p145~159の注釈…

怪我の高名

先週末、煉瓦の舗道で躓き転倒して、したたかに膝を打ちました。皮下出血が見えなかったのでそのまま歩いて帰り、週明けに医者にかかったら、関節内に出血が溜まっている、靱帯損傷全治3週間と言われました。家の中では花魁のように外八文字で歩いています…

鬼瓦

樋口一葉が通ったという風呂屋「菊水湯」は3年前に廃業、代替わりの後継者がいなかったらしい。銭湯の経営はけっこう重労働なのでしょう。跡地には低層ながらマンションが建ち、屋根の鬼瓦だけが塀際に飾ってあります。お向かいの菊坂には一葉が通った質屋…

気になる語

若い世代の提出書類を読んでいて、気になる言葉があります。ひもとくーどういう意味で使いたいのか?やたらに目立つのです。辞書を引くと、蕾がほころぶ、とか、子供用の着物から大人の帯を締めるようになる、等々の意味も出て来ますが、元来は書物を開いて…

天南星

植物図鑑でのみ、または文学作品でのみ知っていた植物の実物に出会った時の感動は、忘れがたいものです。ああ、これがあの・・か、としばし佇んで想いを廻らせます。 中学校の塀際に見慣れない草の花が咲くのを3年前に発見、その後気をつけて見てきましたが…

旧同僚

夕方、とつぜん電話がかかってきて、鳥取で同僚だった菅原、と名乗られました。一瞬、間を置いて、思い出しました。三十数年前、助教授同士で研究室が指し向かいだった国語教育の菅原稔さんです。その後鳴門教育大、岡山大と異動して定年になった由(時折噂…

平曲の「木曾最期」

鈴木孝庸さんの「平曲「木曾最期」の<語り>―演誦の場から―」(新潟大学「人文科学研究」140号)を読みました。鈴木さん自身が平曲を語る立場から、「木曾最期」の曲節に特殊な傾向が見られることに気づき、詞章の内容との関係を考察した論文です。 平曲…

さらば青春

高校生から大学生時代に弾いていたギターを売りました。クラシックギターの先生に、一生使える物をと見立てて貰った1本です(当時の大学出初任給の、3分の1くらいの値でした)。54年前の製作者の名前も入っていたのですが、買い取り業者からは、ばらし…

薔薇仕事

ベランダの鉢植えの薔薇が開き始めました。還暦になった年に従妹からお祝いに貰った鉢です。毎年5月に大輪の赤い花を、夏には小さな濃いピンクの花を、そして冬に入る前にも赤い花をつけます。専門家は冬の蕾は剪り落としてしまうようですが、薔薇を愛し、そ…

保育者養成史

永井優美さんから自己紹介の原稿が来ました。原稿は履歴書みたいに書いてあるので、読者にわかりやすいよう、以下、一部書き直して掲載します。 永井(旧姓田中)さんは東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 (博士課程)在学中に松尾金蔵記念奨学基金を受…

長門切からわかること

國學院雑誌5月号が出ました。拙稿「長門切からわかること―平家物語成立論・諸本論の新展開―」が出ています。昨年7月に投稿するはずだったのですが、諸般の事情で今月号になりました。 新出の長門切(「敦盛最期」2葉、「宇治合戦」2葉、「横田河原合戦」…

組織の能力

このところ、親の家を整理しているので、異なる業種の人たち、チームや組織の仕事ぶりをウオッチングする機会が多い。経験則ですが、顧客に要求することの多い組織は必ずと言っていいほどミスをする。有名な企業であっても個人がいい加減な対応をするところ…

いま欲しい平家物語論とは

「リポート笠間」62号ができあがり、まもなく発送されます。国文学関係の学会会場でも配布されますが、はやく読みたい方は直接笠間書院へご注文下さい。 特集1は「いま全力で取り組むべきことは何か」、特集2は「デジタル化で未来をどう創るか」ですが、…

もより会

学部時代の母校の同窓会文京区支部の集まりがあったので、出てみました。昨年から始まったもより会(同窓会の中の地区ごとの会)です。昨年は十数人だったので、テミルのお菓子を30粒持参して宣伝しようとしたら、今年は40人以上の出席で、足りませんで…

遠雷

大塚駅近くの都電沿線の薔薇を観に行きました。商店街が植え始めたのがもとで、今では有名になり、5月24日までを「薔薇まつり」期間と謳っています。学生時代、この辺のアパートに住んでいたのですが、もう、どこなのかが全く判らないほど、町は変わって…

信濃土産

一昨日長野の農産物直売所から送った宅配便が届きました。旅行に出ると、地元で開発した商品や農産物を買ってみるのが習慣です。今回買ったのは―玉葱のジャム(果たして美味しいのか?期待と不安)、洋梨ジャム、ネクタリンのジャム。林檎とワインのドレッシ…

みすずかる

1泊2日で、30年来の旧友の故郷を訪ねました。みすずかる信濃の松代です。林檎の花を見たい、と頼んで連れて行って貰いました。蕾の外側はぽっと紅色を帯び、開いた花は純白です。山の斜面一面が林檎畑で白くかすんで見え、雪国の春は遅い桜や花桃や水木…

西尾実とフィヒテ

松崎正治さんの「西尾実の国語教育思想における言語観ーフィヒテの言語哲学を媒介としてー」(「同志社女子大学学術教育年報」67)を読みました。日本の国語教育の父ともいえる西尾実の言語生活論の発想源を、1920年代後半から1945年頃までの彼の…

薔薇とオジサン

給水公苑に薔薇を観に行きました。水道局が配水池の上に蓋をして薔薇を植えた公園です。今が真っ盛り、さまざまな種類の薔薇が咲き、空気はその香りで満たされていました。ベンチの端に座って、(日曜版なので)新聞を2時間近くかかって読みました。平日に…

ジャスミン

我が家の素馨花もそろそろ終わりのようです。2週間くらいの間、部屋に流れ込む芳香を楽しませて貰いました。弟が亡くなる前、小さな枝を剪って持って行き、ペットボトルに挿して置いてきたところ、当直の看護師さんが「病室に入るとたんに、いい香りがして…

緑陰

このところ連日、実家の片付けをしたり形見分けの発送をしたりしたので、心身共に疲労困憊。久しぶりに大学構内の大楠の下で、ゆっくり朝刊を読みました。幹は三抱えもあろうという老楠です。すっぽりと若緑色の傘の下に入って、頭上から降ってくる鳥の声や…

奈良絵本「新曲」

山本陽子さんの「奈良絵本『新曲』挿絵の制作過程を考えるー明星大学本と諸本および『源氏小鏡』を比較してー」(「明星大学研究紀要」25)を読みました。奈良絵本とは、近世初期に京都で作られた手書きの絵入り本のことです。「新曲」は太平記中の一挿話…

鴉を飼う

4月21日の本欄「鴉」を読んだ多ヶ谷有子さんから、メールを頂きました。心温まる内容ですので、ご紹介することにしました。 かつては烏は苦手な鳥でした。ところが、35年以上前でしょうか。生物の先生をしている主人のところに、生徒たちが瀕死の烏を連れ…

源平の人々に出会う旅 第5回「木津川・以仁王の最期」

三井寺を脱出した高倉宮以仁王は南都へ向かいます。途中、平等院で、追ってきた平家軍と激戦になり、三井寺法師が活躍(橋合戦)しますが、平家方の足利又太郎が馬筏で宇治川を渡り、源氏軍は総崩れとなります。頼政父子は自害、以仁王は南都を目指します。…

牡丹

鳥取と島根の間に中海という汽水湖があり、その中に大根島という小さな島があります。牡丹苗の産地で有名で、全国に出荷していますが、かつては女性の行商が主戦力でした。32年前、鳥取に赴任が決まってすぐ、NHKのTVドキュメント(「新日本紀行」だ…