2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

神皇正統記の運命

昨年6月、突然、平泉隆房氏からメールを貰いました。神皇正統記の共同研究を始めたい、とのお話でした。私が國學院大學大学院開設60周年記念出版の影印『神皇正統記 職原抄』(朝倉書店 2014)の解題を書いたことがあったからのようです。神皇正統記の研…

列島縦断

台風10号はこれまでにないほどの強い台風、速度が遅いので影響が長引き、進路の予測が難しい、早めに準備をと繰り返し呼びかけられるので、我が家では週明けから吊り鉢を降ろし、洗濯物は室内に干し、準備をして待つこと4日。いつもの台風が近づく気配と…

越前だより・静嘉堂訪書篇

今夏、訪書旅行で各地を飛び回っている大谷貞德さんから、世田谷区の静嘉堂文庫で長門本平家物語の調査を始めた、とのメールが来ました。 静嘉堂の敷地内 静嘉堂文庫は岩崎弥太郎・小弥太父子の山荘用地に1924年に建てられたので、緑地の中に埋もれるよ…

古活字探偵20

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖20」(「日本古書通信」1141号)を読みました。今回は「部分異植字・再説」と題し、阿部亮太さんの論文「『保元物語』『平治物語』に見る古活字版刊行事業の一端」(2024/3)を取り上げて、➀保元物語と平治物語は同じ…

越前だより・天理訪書篇

福井高専の大谷貞德さんが、天理へ調査に行った時の写真を送ってきました。貴重な蔵書を多く抱える天理大学の図書館は、文献調査の聖地とでも言えるところです。 天理大学図書館 私も院生時代に長門本平家物語の調査で、また30年前に八坂本平家物語の共同…

巻通し平曲会

平家正節編纂250年記念 巻通平曲会(其の一 東京開催) 10月20日(日) 18:00~20:15(開場17:30) 東京・上野 旧東京音楽学校奏楽堂(JR上野駅公園口から徒歩10分) 講演:松尾葦江「いま平家を聴くということ」 平曲:福島真佐子…

伊香保便り・満月篇

伊香保の別荘に滞在中の辻英子さんから、豪雨見舞いのメールが来ました。 ほんとに、TVでは地下鉄のエスカレーターを滝のように雨水が流れ落ちる映像が出て、つくづく定年後でよかった、と思ったりしたのですが、武蔵野は広い。23区内のどこかで豪雨でも、…

立候補

米国民主党大会の大統領候補受諾演説を、TVで視ました。まず応援演説が芸達者揃いで、まるで芸能大会のような賑やかさだったのに驚きました。スポーツコーチのノリや、演説の途中から歌い出す人や・・・ミシェル・オバマの間の巧さにも舌を巻きました。そし…

山城便り・出雲の虹篇

定年後、伏見に移住した錦織勤さんから、里帰りした、と写メールが来ました。 【出雲に行ってきました。高校の同期たちが地元で勉強会をやっていて、お前も何か喋れ、と言われ、山陰の文化発展と海上交通の歴史について話してきました。 着いた日は、ちょう…

越前だより・石水博物館篇

福井高専の大谷貞德さんから、津の石水博物館へ行ってきた、とメールが来ました。 石水博物館 伊勢の豪商川喜多半泥子が建てた博物館です。伊勢の豪商と国学者たちの間で長門本平家物語が貸借、書写、校訂されていたらしいことがだんだん分かってきました。…

阿野全成

高橋一樹さんの「鎌倉幕府の成立と阿野全成ー伊豆山旧蔵の全成発給文書をめぐってー」(「軍記と語り物」60号)を取り寄せて読みました。昨年8月29日の軍記・語り物研究会で報告されたものです。その際にも興味深く視聴したのですが、活字になってから…

クラフトビール

夕方、近くの文庫で調査をしたから、とグレイプケーキの手土産を持って人が訪ねてきました。ほんとの用は、私がずっと抱えていて刊行されない注釈書を何とかさせろ、という仲間の声を代表した訪問だったようです。PC上に作ってある「注釈シート」を見せて、…

太平記新考

小秋元段さんの『太平記新考』(汲古書院)を読みました。2006年から21年までに発表した(例外に1999年発表の研究史の一部がある)、論考13本と研究史をまとめた全438頁。1古態の探求 2神田本の検証 3作品とその周辺 4伝本の考察 5研究…

越前だより・安宅関篇

福井高専の大谷貞德さんから、石川県立図書館へ調べ物に行ったついでに、北陸合戦の跡を訪ねてきた、と写メールが来ました。 実盛塚 幼い義仲を木曽の中原兼遠に預け、平重盛の孫六代の側に息子2人を付け、自らは老兵と侮られたくないと白髪を染めて出陣し…

やもめ用野菜生活

友人から、独り暮らしは野菜が不足がちになる、というメールが来たので、不精者の野菜生活について書いてみます。1日350g(生でなく調理後の重さ)の野菜を摂るのは結構たいへん、という方は参考にしてください。 1日2食ながら、午過ぎに何か1品、口…

中世歌合集

和歌文学大系の『中世歌合集』(明治書院)を頂いたので、読書として読みました。著者は久保田淳、谷知子、田仲洋己、吉野朋美、堀川貴司、早乙女肇志ほか計9名、収められているのは、平家歌壇(最近はこの語には実体がないとして使われなくなりましたが)…

和平交渉

ニューヨーク・タイムズ(NYT)が、ロシアとウクライナの和平協議の一部始終を報じた記事を朝日新聞が2回に亘って連載しました(8/11,8/15朝刊)。ロシアの侵攻が始まった数日後、2022年2月28日にポーランドの協力を得てウクライナ政府高官…

タイミング

今日もねっとり暑い。午前中の読書を切り上げて、午のニュースを視ようとTVのスイッチを入れたら、総理の記者会見が放映中でした。え、何の会見?大きな事件があったわけではないらしい。現内閣の実績を数え上げているので、ああ総裁選の立候補表明か、と流…

盆休の街

郵便振替で送金する用があって出かけました。今日も最高気温36度の予報、朝からガンガンの晴天です。片日陰のあるうちにと、そそくさと家を出たのですが、すでに路面は真白に照り返し、老眼には眩しい。今日は資源ゴミ回収の日なので、町内会の高齢者たち…

越前だより・鶴岡訪書篇

福井高専の大谷貞徳さんから、訪書旅行で鶴岡へ行ってきた、とメールが来ました。 致道館の門 【鶴岡市郷土資料館へ行って来ました。致道館旧蔵の長門本を調査するためです。 前日入りして、旧致道館を見学しました。市のHPによると、藩校の建物が残っている…

戦争遺跡を3Dで

何気なく朝刊の東京欄を広げたら、「戦後80年へ」という連載記事に「地下壕3Dで疑似体験」という見出しがついていました。あれ、聞いたことのある話だな、と思って読むと、明翔会の鈴木慎也さんが、勤務先の東京高専でやっているプロジェクトでした。この…

読経と唱導

柴佳世乃さんの『仏教儀礼の音曲とことば 中世の<声>を聴く』(法蔵館)を読んでいます。柴さんはすでに『読経道の研究』(風間書房 2004)という著書を出していますが、それから20年目、生活者としても、教育・研究者としても、生涯で最も核となる…

生活習慣病

診療報酬改定について、新聞紙上に2日連載記事が載りました。生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)について、生活習慣病管理料2という新たな制度ができ、月1回療養計画を指導、受けた患者は署名をすることになり、医師の報酬が引き上げられたという…

民の祈り

明日は長崎被爆の日。イスラエルを式典に招待しなかったことは、侵略国ロシアと同列に扱ったことになる、と抗議して欧米6国とEUの大使が式典に欠席すると通告してきた、と報道されました。イスラエルは先に攻撃したのではない、防戦したのだという論理らし…

選挙権

第2野党の代表の1人が、「零歳児にも選挙権を」と言い出していることを報道で知りました。また例のわるい冗談、と思ったら、真面目に論じる(賛同する)人がいると知って2度仰天。つまりは子供を沢山持つ(または17歳以下の人間を多数管理している)人…

強がるためのこまめ水

あちこちの友人知人と、暑い、暑い、と言い合っているのですが、駒沢にお住まいの辻英子さんから、久しぶりにメールが来ました。 【かつて体験したことのない現象ですが、いつも6月末には咲く山の家の菩提樹が開花せずつぼみのまま落ち、落葉掻きは例年11…

阿波国便り・地球生存権篇

徳島の原水さんから、愛犬さくらの写真が送られてきました。犬めくりカレンダーに応募するので、季節ごとの写真を撮っているらしい。毎年、犬猫柄のカレンダーがどっと出ますが、そうやって作られているので、種が尽きないんだ、と知りました。 渚のヨギー …

稲は大丈夫か

梅雨入り前から始まった猛暑は一向に衰えません。毎晩TVの週間予報を見て、明日1日我慢すれば少し楽になる、と思って寝るのですが、翌朝の朝刊には無情にも明後日も猛暑日、との予報が出る。唯一の希望は少しずつ日が短くなってきたことですが、その代わり…

一瞬の梅子

10日分の生活費を出しに銀行へ行ったら、ATMから渋沢栄一が揃って出てきました。造幣局御自慢のホログラムが派手派手しい。気がついてみると、旧札にも左隅に小さく楕円形のホログラムがあったのですが、意外に紙幣をしみじみ眺める機会はないものです。 …

平家物語評判書

森田貴之・樋口千紘・畠中愛美編著『平家物語評判書集成』(汲古書院)という本を取り寄せました。評判書というのは、ある人物・作品・事象などについて、あれこれ批評を加える形で自説を述べる、中世後期から近世にかけて愛好された著作、とでも言ったらい…