2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧
東京の梅雨明け宣言が出た日から、蝉の声が蝉らしくなりました。それまでは口ごもりながらでしたが、油蝉もみんみん蝉も、それと分かるように鳴き始めました。しかし蝉時雨ではなく1匹ずつ。この界隈も続々家が建て替えられ、敷地一杯にコンクリートの箱が…
新聞の投書欄が最近、ときどき10代の意見特集をします。なるほどなあと思う時もありますが、苦笑することもなくはありません。編集部までがその短慮に同調しているような場合は、困ったもんだと思いつつも読み過ごします。 小学校で、手が変形するという理…
軍記物語講座『平和の世は来るか―太平記』の初校が始まりました。力作揃いの1冊です。25年前、「太平記の意志」という論文を出した時、仲間から、随分肩に力が入ってますね、と言われました。それも当然、当時の太平記研究は、諸本が多くて大変だとするバ…
菱沼一憲さんの論文「「大天狗」頼朝書状からみる政治の舞台裏―文治元年の諸国地頭制度・廟堂改革をめぐって―」(國學院大学栃木短期大学「日本文化研究」4号)を読みました。 文治元年(1185)12月に頼朝が全国に守護地頭設置を許可され、この制度が…
「日本文学研究ジャーナル」10号を取り寄せて読みました。「中世説話の環境・時代と思潮」と題する特集です。目次には、「西安の玄奘三蔵学会に想う」小峰和明、「見えない仏」本井牧子、「源隆国晩年の対外観と仏教」荒木浩、「熊谷惣領家と直実説話の継…
8月末の軍記・語り物研究会は、紀伊田辺で開催されるとのことで、参加可能かどうかをリサーチしました。2日目の研究発表の1番目から聴こうとすると、どうしても前日に出かけなければならないことが分かりました。 紀伊半島は、学部最後の春休み、友人と一…
太平記を書写し、その本を保存し、伝えて来た人たちーその多くはかなりの知識人層だったと思われますが、記録や資料に現れてこない名前も多い。多様な分野の資料を博捜する指向を見せる近年の国文学研究でも、分野を超えた情報交換が自由自在とは言えません…
本井牧子さんの「見えない仏―仏像の霊験を語る話型ー」(「日本文学研究ジャーナル」10号)を読みました。「日文協日本文学」7月号に立木宏哉さんが書いていた、絵巻が神仏の顔を明確に描くか否かの問題と繋がっていて、興味深く読むことができました。本…
参議院選挙が終わり、どの党も結果を都合よく解釈した談話を出しています。しかし、憲法改正の議論を進めよというのが民意だ、という談話には、それ違うだろ、と言いたい。まず、記録的な低投票率で決まった勝敗が、大きな変化を望む民意だとは思えません。…
原田敦史さんの「平重衡」(日文協「日本文学」68:7)を読みました。以仁王の乱に荷担した南都を攻めて、東大寺・興福寺を炎上させる結果を招いてしまった重衡(命を下した清盛はその報いを受けて熱病死する)。心ならずもとはいえ、仏像・経典・僧侶を…
軍記・語り物研究会第422回例会に出ました。会場は駿河台の明治大学。久しぶりでお茶の水駅から歩くと、両側の楽器店にはギターがずらりと吊されていて、売ってしまった若い頃の愛器が思い出され、胸が疼きます。 発表は2本。梅田径さんの「近世末期索引…
朝日新聞日曜版に、「サザエさんをさがして」という連載があります。かつて同紙に連載されていた長谷川町子の4コマ漫画の中から選んできた1本をもとに、記者が書く時世評なのですが、今日の「肌の色への偏見 無批判に取り込んだ日本」には、どうしても反論…
論集『明日へ翔ぶ 5』(風間書房 2020/3刊行予定)の準備が進んでいます。今日は口絵を選び、出版記念会とその前日に予定されている第3回研究報告会について、版元の編集者と打ち合わせました。 出版記念会は2020年3月15日、研究報告会はその…
選挙戦もあと3日。駅前や宣伝カーの演説を聞いていると、何だかカネをくれる(くれた)話ばっかりのような気がしてきて、有権者としての自尊心が傷つきます。ある党は好景気になった、雇用も税収も保険料納入額も増えた増えた、と言う。賃金も上げる、教育…
和歌文学大系38『続古今和歌集』(明治書院)が出ました。藤川功和・山本啓介・木村尚志・久保田淳の方々による校注本です。まず解説を読み、それから木村さんの担当した箇所の訳注を拾って読んでいきました。 最近の歌集の注釈を読みながら、本歌だけでな…
李章姫さんの「天正本『太平記』の記事構成と霊剣」(「法政大学大学院紀要」82号)と、「天正本『太平記』巻27「諸卿意見被下綸旨事」における漢楚合戦記事をめぐって」(「日本文学誌要」95号 2017/3)を読みました。 太平記の諸本は平家物語…
軍記物語講座第1巻・第4巻に掲載する年表の、3回目の作成打ち合わせをしました。会場には、作成者の1人加美甲多さんが勤務する、跡見女子大学文京キャンパスの1室を借りて貰いました。私にとっては、高校生時代から60年近く桜の咲く校門の前を通りな…
夏の野菜は生で食べるものが多く、つい手間を省いてしまいますが、簡単に炒めるだけで目先が変わって美味しくなることがあります。先日、パセリの束が安く出ていたので買ってきました。まず水に漬けて活きを取り戻し、小房に分けて、ちりめんじゃこと塩で炒…
先々週のことです。午前10:30(詐欺電や勧誘電話のゴールデンタイム)、電話が鳴りました。いつもは留守電にしてあるのですが、ちょうど空調交換や本の編集で電話連絡の多い時だったので、うっかり出てしまいました。こちらが名乗ると、「◯◯のOでえす…
佐々木孝浩さんが、早稲田大学図書館蔵の18冊本長門本平家物語(巻1・2欠)について、フェイスブックで言及していると教えられ、ご本人に問い合わせました。 「ちょっと必要があって早稲田の平家の画像を眺めていたんですけど、題簽が小さくて、各冊末尾…
遠方から友人が上京したので、久しぶりにお喋りし、夜は近所の蕎麦屋兼呑み屋で呑みました。友人は30年前の教え子と昼食会をした帰りだそうで、私と話す間にも、彼女たちから繰り返し、楽しかったねメールが届いていました。 私との話は専ら、老老介護の体…
ほおずきを作れる子はもう少数派でしょうか。子供の頃、夏にはほおずきを作って鳴らしました。祖母に教わった作り方です。 赤い、提灯のような萼を天辺から8つくらいに裂き、折り返しててるてる坊主のような格好にします。片手で足の方を持ち、片手で頭のつ…
大学入試共通試験の新制度実施が迫ってきているのに、問題が続出しています。受験生はさぞはらはらしていることでしょう。英語の「聞く・話す」試験は、今まで試験会場校の負担がたいへんでしたが、民間組織に丸投げ、というのもどうかと思います。 国語や数…
靴を履く機会が減ったら、なぜか外反母趾がひどくなり、痛くて眠れない夜もあるので、鼻緒のある履き物を履くことにして、30年前のビーチサンダルを探し出しました。ゴムとタオル地でできた、古典的なビーチサンダルです。 鳥取に赴任してすぐ、砂地を歩く…
一昨年の暮から昨秋にかけて、老舗の国文学出版社を「卒業」した編集者たちが、小さな2つの出版社を起ち上げました。その1つ、文学通信は当初はひとり出版社で出発しましたが、今は3人体制となり、すでに16冊の新刊を出しています。昨日の朝日新聞読書…
楊梅ジュースを分けた御礼に、手作りの杏ジャムを貰いました。とろりとして、ほどほどの酸味が美味しい。何よりも色が美しいので、朝のヨーグルトに混ぜると目が覚めます。甘み控えめの表示で選んでも、大量生産品のジャムと手作りではなぜか甘みが違い、手…
公益信託松尾金藏記念奨学基金(事務局は三菱UFJ信託銀行リテール受託業務部)の令和元年度奨学生採択が決まりました。今年度は、博士課程6名、修士課程4名が採択されました。以下は課程別に分けた(専攻)・研究テーマの一覧です。 DC: (人文公共学) …
憲法改正を議論する党か、議論もしない党かを選ぶ選挙だ、と公言している党首がいます。今度の選挙は参議院定例の改選。そんなことが争点だと思っている選挙民はあまりいないでしょう。そもそも憲法改正が必要だと思っている人、殊にあの党首の提案する改正…
寿永3年(1184)1月20日、義仲討死後の巴の動向は『平家物語』諸本によって異なります。『源平盛衰記』では、信濃に戻った後、鎌倉に呼び出されますが、和田義盛と結ばれて朝比奈三郎を産み、和田合戦の後は、越中石黒(福光町)を頼って尼となり、91歳まで生…
森正人さんの『龍蛇と菩薩 伝承文学論』(和泉書院)という本が出ました。ほぼ同時に『国文学こぼれ種』(和泉書院 非売品)という記念出版もあり、後者はハードカバーなのに対し、前者はソフトカバーで持ちやすく、親しみやすいつくりになっています。森さ…