2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

s字理論T字理論

私たちの世代では定年まで勤める女性は少数派だったので、勤めおおせる女性のタイプをひそかに観察し、その結果3つの類型がある、という仮説に達しました。①女王タイプ ②童女タイプ ③お母さんタイプの3つです。男性の中に1人だけの女性、という場合にはだ…

死すべき定め

アトゥール・ガワンデ『死すべき定め』(原井宏明訳 みすず書房 2016)を読みました。著者は1965年生まれ、医者の両親を持つインド出身の外科医で、ハーバード大学医学部の教授でもあります。本書の原題はBeing Mortalーつまり人間は必ず死ぬものな…

民族文化の会

(諏訪春雄主宰)民族文化の会 平成29年度12月例会 日時:12月24日(日)14:00(13:30開場) 会場:黛ホール(港区赤坂3-10-3黛ビル4階 地下鉄赤坂見附10番出口から 徒歩2分) 参加費:(茶菓代)¥1000 第一部 講演「源平…

慰霊祭

学部時代の母校の同窓会が主催する慰霊祭に、初めて出ました。卒業生の中には戦争未亡人や単身で亡くなる人も多いため、年1度、同窓会館で、母校の教官や卒業生の物故者を送る会が行われるのです。太平記研究の鈴木登美恵さんが昨年8月に亡くなったので、…

物語の必然性

友人から借りた2冊目のカズオ・イシグロ作品『わたしを離さないで』を読みました。読了後、しばらく考え込んでしまいました。この小説に、主人公たちが臓器提供のためのクローン人間として生まれ育てられたという設定は、果たして必須のものだろうか?morta…

硝子のハイヒール

今回の選挙報道で、「ガラスの天井」という言葉を使った人が複数いました。1人は巴里でインタビューに答えた人、ほかにもべそを掻きながらそう言った落選女性議員がいました。違うだろ!私は憤慨しています。 「ガラスの天井」という語は、ある程度女性の社…

やまぼうし

新しくなった児童公園に、区がヤマボウシの木を植えました。樹下に赤い実が落ちているので拾ってみると、外観は茘枝のようですが、ぶかぶかした果皮の中にねっとりした黄金色の果肉が入っている。食べられるかも、とひらめき、1個持って帰ってネットで調べ…

木の葉髪

俳句に「木の葉髪」という季語があります。今頃から初冬にかけて、夏に傷んだ毛髪が生え替わるのか、抜毛が多くなります。木の葉も落ちる季節なのでそう言うらしい。 高校時代、いかにも文学少女(年齢的にはおばさんですが)ふうの国語教師が、授業中に生徒…

花散里

塚原明弘さんの「「葎の門」の「らうたげならむ人」―光源氏と花散里―」(「國學院雑誌」10月号)という論文を読みました。最近の源氏物語研究に詳しいわけではないので、門外漢の感想ですが、たいへん面白く読みました。雨夜の品定め以来、「葎の門の」「…

投票

土砂降りの雨の中、衆院選の投票に行きました。選挙の日は街が何となく浮き浮きしているものですが、今日は冷たい雨に冷やされて、ただ人影の多い日曜日というだけ。 投票所は近くの小学校です。以前は児童の作品が展示してあったり教具が積んであったりして…

平曲

橋本敏江さんを偲ぶ会(自由学園明日館)に出ました。古い木造の洋館で、橋本さんの弟子鈴木孝庸さんと孫弟子荒井さんとのツレ平家で「木曾最期」を聴きました。音響がよくて、琵琶もよく歌い、お2人の声もよく伸びて、いい語りでした。私は橋本さんとの二…

日本古典文学学術賞

国文学研究資料館賛助会主催の「日本古典文学学術賞」授賞式に出ました。今年から財団法人日本古典文学会主催でなく国文学研究資料館賛助会が引き受けて、名前も変わりました。会場は立川(遠い~)。受賞者の1人が軍記物語を研究している渡瀬淳子さんだっ…

紅いコガネムシ

今年の東京は一気に寒さがやってきて、晴れた空にもはや木枯の気配があります。もともと、秋に西の地域から東京へ戻ってくると、ああ東京は陸奥に近いんだ、と実感させられますが、今年は殊にその感が強い。 昨夜から観葉植物を室内に入れておいたのは正解で…

英吉利文学

友人に借りてカズオ・イシグロの『日の名残り』を読みました。昨日、病院の待合室で2時間、今日は仕事を放って2時間。小説を一気に読了したのは久しぶりのこと、充実した満腹感が残りました。ストーリー・テリングの巧さと、文学ならではの隔靴掻痒感を伴…

益子参考館新収蔵特別展

新収蔵特別展 益子参考館内濱田庄司館(栃木県芳賀郡益子町益子3388) 2018年7月8日まで(月曜休館・祝日は翌火曜休館) 9:30~17:00 お問い合わせは0285-72-5300まで。

四苦

旧友と病院で落ち合って食事をしました。私は午前中眼科を受診、彼女は午後から昨秋受けた大手術の1年後健診で、同じ病院へやって来たのです。話題は介護のこと、健康のこと、フレイルと健保政策の関係や良医の条件、そして期日前投票や林檎の収穫作業など…

この道やゆく人なしに

ちょっと視点を変えると展望ががらりと変わって見えてくる場合があります。例えば、組織やコミュニティで(時には家族の中でも)、あの人がいるおかげで、とか、あの人がいなかったら何もできない、と衆目一致しているようなときに、ひょいと立ち止まって別…

竹富島の猫

観光客が餌をやるので猫が増え、注意書が出ている観光地があります。美しいビーチで有名な、竹富島のコンドイ浜もそうでした。浜辺のテーブルに弁当を置いた途端、仔猫が卓上に飛び上がり、当然の如く突進して来たので、頭をひっぱたいたら、いっちょまえに…

益子

益子参考館へ行きました。亡父の愛玩していた濱田庄司の作品を受け入れて戴き、新収蔵展をして下さっているとのことで見に行ったのです。濱田庄司壮年の作品は、意外にも館の収蔵品が少なかったとのことで、喜んで頂き、丁寧に陳列して頂いていて安堵しまし…

下絵か模本か

山本陽子さんの「京都市立芸術大学所蔵「平家物語絵巻」粉本について」(「説話文学研究」52)を読みました。従来、絵巻制作のための下絵とされてきた京都市芸大蔵「平家物語絵巻」が、じつは下絵でなく、静嘉堂美術館・京博などに分蔵される白描の平家物…

濱田友緒作陶展

益子焼の濱田友緒さんの作陶展を見に行きました。伝統的な柿釉の重量感のある膚にモダンな赤や白の指打掛が明るく能動的です。藍鉄塩釉の若さと渋さの折り合った落ち着きも新鮮で、思わずマグカップを1つ買ってしまいました。濱田友緒さんは濱田庄司の孫に…

商品開発

名古屋には「二人静」という銘菓があります。三盆白で作った小さな紅白のお菓子で、箱には源氏物語を思わせる男女の絵が描かれています。名古屋に勤めていた時、中古文学専門の先輩が亡くなりました。『国書総目録』を作るアルバイトで御一緒したので、御供…

柚子100%

隣町まで冬のパジャマを買いに出かけました。ついでに区役所のエコポストへ、もう似合わなくなった夏物を投げ入れ、大手スーパーの食品売り場に寄って柚子100%の小瓶を探しましたが、置いてないということでした。去年はブームでしたが、一時の流行だっ…

ブルージーンズ

30代で働く女性を見ていると、触れば縁で手が切れるような、トランプカードを連想することがあります。できるけど、あぶない、怖い、取り扱いには注意。 30代で都立の定時制高校(勿論、生徒は服装自由です)に勤めていた頃、白墨の粉を浴びるので、ソフ…

「悠久」151号は軍記物語特集です

「悠久」151号(特集・軍記物語) 刊行されました。 ご注文は(株)おうふう(03-3295-8771)まで。 <口絵>絵で楽しむ平家物語 解説:絵で楽しむ軍記物語 松尾葦江 諸本論から文学史へ―多様性の時代の代表文学― 松尾葦江 『将門記』と板東…

茗荷

丸々太った茗荷が店に出ています。この頃はほぼ年中売っているようですが、やはり晩夏から秋にかけてのものでしょう。縦に2つ割りにし、細く刻んで酢水にさらしておくと2,3日は保ちます。そのまま鰹節醤油で、またはシラス、貝割れ、胡瓜もみなどと混ぜ…

秋植え球根

葡萄ムスカリの球根を植えました。植えっ放しのものはもうとっくに芽を出していたのですが、ペチュニャが咲き終わらないので鉢が空かず、待たせてあったのです。さて来年は幾株が咲くでしょうか。 区役所が、街路樹の下に住民が植えたり鉢を置いたりしている…

尊敬用法の「る・らる」

吉田永弘さんの「尊敬用法の「る・らる」の位置づけ」(「國學院雑誌」9月号)を読みました。「公尊敬」とか「主催」とか、見慣れぬ用語が続出して、緊張しながら読みましたが、吉田さんはいつも、メリハリをつけて要点をつかむのが巧い人。その主張の骨子…

谷崎源氏の改訂過程

大津直子さんを中心に行われている、新訳谷崎源氏の草稿をテクストデータ化する共同研究の報告を読みました(「國學院大學紀要」55)。科研費若手研究B「『旧訳』を中心とした谷崎源氏テクストに関する基礎的研究―翻訳文学としての再検討―」(課題番号26…

源平の人々に出会う旅 第10回「東京下町・頼朝再起②」

『源平闘諍録』や『源平盛衰記』によると、頼朝は八幡(市川市)から太井(江戸川)・澄田(隅田川)を渡り、滝野川(北区)に布陣します。頼朝が太井川を渡った場所は、現在の市川市~松戸市付近と考えられます。『更級日記』に記された「まつさとの渡り」…