2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

保元平治合戦図屏風

川合康さんの「仁和寺所蔵『保元・平治合戦図屏風』をめぐる二、三の論点―神泉苑本との比較から―」(2020~23年度科研費報告書『戦国軍記・合戦図の史料学的研究』課題番号20H00031)を読みました。この科研の報告会は京都で行われていて、聴きに行きたいなあ…

越前だより・文化祭篇

週末から3日間文化祭だった、と福井高専の大谷貞德さんからメールが来ました。 レッサーパンダのロボット 【学生に誘われてお化け屋敷にも入りました。小さい子は出てくるなり何人も大泣き。作った学生にとっては励みになったことと思います(私は全然驚か…

貢ぐ

五輪の開会式などで行進しながら、貴賓に向かって顔を挙げ、胸に手を当てる仕草は見る者を感動に誘います。リズムある集団行動と昂揚に満ちた若さのせいでしょうか。 カーキ色の集団が一斉に向けた顔、顔、顔。軍帽の下には、一昔前の日本の農村で見かけたよ…

励みになります

『長門本平家物語の新研究』(花鳥社)を上梓してから3週間、献本した方々からメールや書簡で感想を頂き、励まされています。中でも嬉しいのは、御自身の研究と関わらせて寸感をお知らせくださることです。 【現在、幕末出雲の歌書の貸借について調べている…

投票の後

衆議院選挙と最高裁裁判官審査の投票をした後、長野の友人とお茶の水で待ち合わせしました。彼女は未だ都に住民登録を残したままなので、わざわざ上京したのです。両人ともかかりつけの大学病院の前で待ち合わせしたのですが、生憎今日は防災訓練で立ち入り…

中世文学会2024秋

中世文学会1日目を視聴しました。早くから申し込んでおいたのに、学会からは何も連絡がありません。申し込みがオフィシャルメール指定だったことを思い出しましたが、普段使っていないのでGメールの開け方を忘れていて、ようやく入場したところへ電話ー受話…

國學院大學国文学会

11月16(土),17(日)日の2日間、渋谷の國學院大學で同大学の国文学会が開催されます。16日の午後には、能狂言が専門の岩崎雅彦さん、御伽草子が専門の徳田和夫さんの講演があります。学会員でなくとも、事前申し込みがなくても来聴歓迎。 詳細はこ…

誑惑の法師

蔦尾和宏さんの「『宇治拾遺物語』第133話序説―「狂惑の法師」か、退転の聖かー」(「専修国文」115号)という論文を読みました。宇治拾遺物語第133話というのは、祇陀林寺で百日懺法をした後桂川に入水往生をすると宣伝して人々の賛仰を集め、しかし…

川越便り・向島篇

川越の友人から、夫婦で向島へ行ってきた、と写メールが来ました。 向島百花園の藤袴 百花園は昔、あの近くの高校の定時制に出講していた時、昼間に行ったことがありますが、狭いけどよく工夫されていて、たしか紅白の萩のアーチがあったような。 紀伊上臈杜…

國學院雑誌1410号

「國學院雑誌」10月号に載っている北村規子さんの「津波の語り―木が表象するものー」という論文を読みました。國學院文学部には伝承文芸という専攻があり、彼女はその院生で、2023年3月の日本口承文芸学会での発表を基にしているらしい。前半は東アジア民…

別姓

夫婦別姓を推進するか否かを、ジェンダー問題に進歩的かどうかの物差しにするような論調には、苦笑します。というのは、つい数十年前まで、適齢期をちょっと過ぎた女性にとって、姓が変わっていないことは一種の社会的引け目だったからです。同窓会名簿に(…

今宵平家を聴く

平家正節編纂250年記念三都連続巻通し平曲会の第1回に出かけました。会場は上野奏楽堂、日本で最初の音楽ホールだそうで、上野公園の一角にある木造建築ですが、小さいながらパイプオルガンもある、レトロなホールでした。 私は冒頭講演を引き受けていた…

最新通信技術

粗っぽい強盗犯罪が頻発しています。闇バイトなるものに応募する若者が後を絶たないことに、暗然とします。郊外の住宅を襲って被害者を殺すほどの罪を犯し、一生を棒に振って得られる悪銭がどれほどのものか。数日きつい労働をして稼いだ方がずっといいと考…

古活字探偵22

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖22」(「日本古書通信」1143号)を読みました。今回は「浜男か浜雄か」と題して、戸川浜男とその部下新宮春三の本道楽について書いています。戸川浜男は戦前、東洋棉花という大阪の商事会社の重役で、戦時中は北京の食糧…

ゆうちょの理屈

振り込みによる支払いが必要な用があって、ゆうちょ銀行本局の窓口で振替用紙を出したら、本人を証明するものが要ると言う。健康保険証を出したら、顔写真つきでないと駄目だと言う。マイナンバーカードを要求しているらしい。なければ住民票などを添えろと…

水戸便り・薬師祭篇

水戸在住の教え子から、慰問袋が届きました。どうやら土日に、自治医大に入った1人娘の学園祭を見に行ったらしい。クッキーや乾物やクリアファイルと共に、「薬師祭」の可愛いパンフレットと、『マンガで分かる!東の飛鳥「下野市」の歴史』という小冊子が…

西尾実の国語教育論

松崎正治さんの『西尾実国語教育論の生成と展開』(渓水社)を読んでいます。全588頁、第1部近代国語教育史研究 第2部補論西尾実国語教育論の探求の2部構成で、1は1989年に神戸大学に提出した博士論文、2はその後2016年までに書いた、関連する分野の…

似た者同士

明日は衆議院選公示日、あちこちにポスター掲示板が立ちました。政党の宣伝カーが走り回り、すでに選挙戦は始まっています。知人と、与党第1党党首と野党第1党党首はそっくりだね、という話で一致しました。顔のパーツは全て違うのに何故か、兄弟じゃない…

平和賞

ノーベル平和賞が日本の原水爆被害者協議会(被団協)に授与されるとのニュースは、いまこの時機に、ということが大きな要素です。核を脅しに使う権力者、平然と核施設攻撃を説く大統領選候補者、そしてなし崩しに非核三原則を骨抜きにしていこうとしている…

草の名前

新聞の投書欄に、子供の頃、母親が「クワンソウ」のオレンジ色の花を甘酢漬にしたり、天麩羅にして食べさせ、嫁いでからはその茎を入れた豚鍋が姑の得意料理だった、という話が出ていました。沖縄特産らしい。はて?オレンジ色の花?ーウェブ検索すると、「…

守るのは

久しぶりに晴れたので、気分が前を向きました。洗濯物もふんわりと、温かく乾く。今年は秋晴れが殆どなかった気がします。遅い彼岸花が終わり、木犀は未だ香ってきません。ベランダでは、今頃ランタナが枝先一杯に蕾をつけ、日々草がもりもり咲いています。 …

株分けしました

このブログに月1回、「源平の人々に出会う旅」を連載していた伊藤悦子さんが、自分のブログを起ち上げました。 「卯の花をかざして」https://otiayu.hatenablog.com タイトルの典拠は、芭蕉の「奥の細道」に随行した曽良の句です。古人の心意気をひそかに自…

越前だより・漆の里篇

福井高専の大谷貞德さんから、うるしの里に行ってきたとメールが来ました。後期に谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」を教えるので、予習の一環として漆器の勉強に行ったらしい。 うるしの里入り口 【鯖江市に河和田町というところがあります。そこは漆器で有名で、継…

コロナな日々 42nd stage

時計屋にストップウオッチの電池入れ替えに行きました。20日に予定されている講演のタイムを計測するためです。以前TV出演していた頃に買った、細かなビスで蓋を留めてあって自分では電池が入れ替えできない型なのですが、もう「街の時計屋」が少なくなっ…

目をそらさずに

昨夜、Nスペの「正義はどこに」というドキュメントを視ました。視ながら次第に自分の顔がゆがんでいくのが、自分でも分かりました。酷すぎる。戦場とはこんなものだ、では片付けられない人間性への陵辱、狂気に近づく復讐心。 4万の死者数をどう思うかとの…

山城便り・信楽陶器市篇

伏見の錦織さんから、信楽の陶器市へ行ってきた、と写メールが来ました。 信楽の陶器市 【セラミック・アート・マーケット信楽というイベントに行ってきました。広い場所に窯元がたくさん店開きしていて、楽しい催しです。毎年開催されていますが、一昨年、…

戦後処理

しみじみと雨の降る土曜日。濡れた草木のちょっと甘い香りが空中に充満しています。3年越しのプロジェクトが終了したので、この間に溜まった紙類を始末しました。花鳥社から『長門本平家物語の新研究』が出たからです。ソフトカバー、全248頁、小型なの…

那須家の平家物語

山田孝雄の『平家物語考』は、近代平家物語研究の原点ともいえる大著ですが、その長門本の項に、「那須家所蔵平家物語目録」には「長門本 12冊<10行真片仮名無題目>先浜田侯所持」とある、と記載されています。また「那須家所蔵平家物語目録に載せたる…

夜着に困る

エノキさんと天気予報が中らないね、という話をしました。晴雨の予想が半日以上ずれたり、気温の予想も3度以上違ったりします。10月になっても真夏日と平年並み気温の日がくるくる入れ替わる。寝茣蓙と硝子食器はしまいましたが、タオルケットは未だしま…

言葉、言葉、言葉

AIの能力がいろいろ取り沙汰されています。中には誇大な期待や恐怖もあるのでは、と思うこともあります。過去の膨大なデータから未来を予測し、自動的に対応する(行動を示唆、もしくは実行する)ということですが、ではそのデータとは何か。後藤正文さんと…