2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

入梅前

屋内では雨が降り出してもなかなか分かりません。以前のように、路面が濡れると車のタイヤ音が変わることも少なくなりました。「お天気体感中継」なんて番組があるのもそのせいでしょう。数日前からムスカリの球根を掘り上げて干しているので、絶えず窓外を…

責了

3年越しの校正をようやく責了にしました。一昨年末の講演録をもとにした本です。当初「文学研究に未来はあるか」という題だったため、私は真正直に受け止めて平家物語研究の課題を整理して書き、そのまま留まってはいられないので、あちこちで続編、そのさ…

ゲ抜き

我が家のスパティフィラムが2輪、花首を伸ばしてきました。この花の名前がなかなか覚えられません。和名は笹団扇だそうで、これはまたあまりに直接的でつまらないし、やむなく「麵会議のゲ抜き」、と覚えることにしました。794平安、と同じ記憶法です。…

和歌文学会大会

和歌文学会第64回大会第一日目日程(予定) 2018年10月6日(土) 於國學院大学渋谷校舎2号館 14:00 開会挨拶:針本正行 14:10 講演:辻勝美 (休憩) 15:20 講演:豊島秀範 16:20 講演:松尾葦江 『平家物語』の表現―叙事に泣…

わかりやすさ

一世を風靡した「ヤングマン」は、つまらない歌だと思っていました。わかりやす過ぎるからです。歌手もそれほど巧くない。むしろTVドラマ「寺内貫太郎一家」の中で、「雨の日は煙草が美味しいのよ」と呟く年増の出戻り女性(演じたのはたしか太地喜和子だっ…

運動会の日

昨日の夕方のスーパーはちょっと様子が違いました。30~40代の女性たちがうろうろ、中には外国人もおり、夫が一緒の人もいます。通常、この時間帯にこの年代の女性たちは、目当ての棚が決まっていて、ささっと買い物を済ませるのですが、狭いスーパーの…

食卓の演出

かかりつけの医者がぎっくり腰になって入院しました。胃腸の具合や血流のことを相談する所存で行ったのに、当分診察はできないとのこと。とりあえず、「お大事に」と言って帰ってきました。2歳くらい年下の家父長型の医者だったのですが、新たにかかりつけ…

統計学

若い頃非常勤先で知り合った、専門や出身大学の異なる方々との、講師室の休憩時間の談話は、いま思うと貴重でした。もうどこでお会いしたか忘れてしまいましたが、大きな私大(法学部が有名)の統計学の先生と知り合いになったことがあります。全国を吹き荒…

緑の親指

梅雨空を思わせるような天候です。梔子の蕾が膨らんで来ました。年々樹が古くなって鉢が小さすぎるのは分かっているのですが、これ以上大きな鉢にすると、私の手で動かせなくなるので我慢させています。それゆえ、劣悪な環境下で蕾をつけてくれるのは嬉しい…

一杯の珈琲から

毎朝、一通り家事が終わると、珈琲から仕事を始めるのが習慣でした。仏壇にも上げます。親の世代は、珈琲が青春の思い出につながっているのか、特別な思いがあるようでした。生前、カップに珈琲を注ぐと、「もっともっと!喫茶店のはけちくさくて我慢できな…

ドレスコード

父が生きていた頃は、毎年、彼の誕生日(1月)と父の日(6月)に、ネクタイを贈るのが習慣でした。冬にはウールのカジュアル、夏には麻の単衣物とか、時にはちょっと変わった色をとか、選ぶ方は変化をつけようとするのですが、仕事社会にはそれなりのルー…

談笑力

近所のマンション建て替え工事が進み、敷地の境界ぎりぎりまで造った外郭ができあがって、空地がないため、諸々の作業を我が家の窓下の駐車場でやるようになりました。工事関係者の10時、昼、3時の休憩には円坐を組んでの談笑がうるさい。座中には必ず、…

桜の実の熟する時

朝、長泉寺へ山桜を見に出かけました。そろそろ実が熟する時かと思ったのです。春先の花の時季には毎朝見に行くのですが、葉桜の間は全く寄りつかず、実がなるのかどうかも知らずにいました。葉隠れに赤や黒の熟した実が点々と見えます。戦時中に若木を植え…

『新猿楽記』に見る下級貴族たち

『下級貴族たちの王朝時代―『新猿楽記』に見るさまざまな生き方』(繁田信一 新典社)を取り寄せて読みました。私が知りたかった琵琶法師を含む芸能者のことは、詳しくは触れられていませんでしたが、買ってよかった(¥1620)と思いました。 文字が大き…

応募書類

このところ、申請書類や応募書類を見る機会が続きました。何とも理解出来ないのは、引用文献名の注記方法など、独善的な記載が多いことです。企画や趣旨を説明する大事な文章を、過去のものから抜粋してそのままコピペしたのでしょうか。 例えば、「大谷20…

戦国武将逸話集

大津雄一さんと田口寛さん共著の『戦国武将逸話集』(1910~1918 全4冊 勉誠出版)が完結しました。岩波文庫の『常山紀談』を底本に、現代語訳し、解説(1~3は大津さん、4は田口さん)をつけています。『常山紀談』は岡山藩士湯浅常山(170…

薄暑の一日

今年は季節の移りゆきがちぐはぐです。桜前線があまりに足早で、春が楽しめませんでした。寒い日暑い日がくるくる変わり、全体に2週間ほど早く移っていくものと、追いついていかないものとがある。久留米躑躅は例年通りです。今朝は、伸びすぎた椿の枝をざ…

白いカーネーション

国語学の故進藤咲子さんの御遺族(長女の川上彰子さん)から、お手紙が来ました。没後1周年に、母校でもあり勤務校でもあった東京女子大学の「丸山真男記念比較思想研究センター報告」13号に掲載された、追悼文2本が同封されていました。 故進藤さんとは…

名古屋の伝承文化研究センター

名古屋の林和利さんから葉書が来ました。今春、定年退職したのを機に、伝承文化研究センターを開設した、とのことです。東海能楽研究会・雲形本研究会・逍遥フォーラム・荻野検校顕彰会・万作を観る会・笑い文化研究会などの運営と活動を行い、広く芸能の研…

カオトム

東京駅へ、6月の京都行の切符を買いに行きました。ぶじ購入。駅ナカが増えたなあときょろきょろしながら、小さなタイ料理の店へ入って、胃腸にやさしいものをと、タイ雑炊(カオトム)を注文しました。辛いかなと心配しましたが、鶏挽肉のだしが利いていて…

宙船

11年前、特急で1時間かかる所に住んでいる人の終末を見守りました。いろいろむつかしい事情があって、その上入院した病院の態度がひどく、つらい見守りでした。できればここから逃げ出したいと思う気持ちと、何とかして事態を好転させられないかと願う気…

一枝のドラマ

路傍のプランターに植えっぱなしの蔓薔薇が咲き始めました。買い物帰りにちょうどプランターの持ち主に遭ったので、蕾が3個と花が1輪ついた、20cmくらいの枝を1本、剪って貰いました。挿し木して育ててみる心算です。よく似合う笠間焼の一輪挿しがあ…

下関

下関の宮田尚さんから葉書が来ました。宮田さんとは、鳥取に勤めていた頃、国文学研究資料館の中国地方担当文献調査員として御一緒して以来のおつきあいです。この仕事は夏の暑い盛りに、不毛で厖大な書誌調査(人によって、調査対象によって、また資料館側…

思想史と平曲保存

鈴木啓孝さんの「伝統芸能者の「遺言」にみる国民文化―平曲家・館山漸之進の「情願書」を素材に―」(東北大学「文芸研究」183号 2017)を読みました。鈴木さんは明治20年代の日本ナショナリズムの興隆について、津軽藩を中心に研究し、自ら思想史的…

源平の人々に出会う旅 第16回「長野県・清水冠者」

『平家物語』には、寿永2年(1183)3月頃、従兄弟である頼朝と義仲の間に不和が生じ、頼朝は軍勢を率いて信濃へ向かったとあります。 【善光寺(長野市)】 諸本によって内容が異なりますが、覚一本では頼朝は善光寺に入り、今井兼平と交渉します。参道入口…

薔薇の一日

素馨花の刈り込みに午前中一杯かかってしまいました。去年忙しかったので、蔓が伸び放題、枯葉や枯れ枝が溜まって花付きが悪くなったのです。給水公苑の薔薇が綺麗だよ、と道行く人が話していたのを聞き、午後になって出かけました。日差しは暑いが風が強い…

黄金週間

柏餅を買いに扇屋へ出かけました。街は親子連れやカップルがぶらぶらしていますが、空いています。正月三が日や黄金週間の東京を歩くと、ああ、人間が住む場所はこのくらいの人口密度でいい、と実感しますが、つかのまです。 この通りでは、いつもならルオー…

中世の戦乱と文学

松林靖明さん(1942-2016)の遺稿集『中世の戦乱と文学』(和泉書院)が出ました。松林さんは承久記や後期軍記の研究に邁進される一方、甲南女子大学の学長も務め、一昨年4月に現役のまま亡くなりました。母校の後輩も育て、後期軍記の共同研究チ…

拳々服膺

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…

もぐら叩き

四十数年前に勤めていた定時制高校の教頭は、旧帝大の農学部出で、思想的にはかなり紳士でしたが、すれ違いざま女性事務職員のお尻をひょいと撫でたりしました(挨拶代わりの所存らしい)。さらに20年くらい前は、若い医師が看護婦に同じ「挨拶」をするの…