2019-01-01から1年間の記事一覧

室礼

いよいよ大晦日。掃除の途中で、室礼を整えました。床の間代わりの本棚の上(未だ室内には、研究室から持ち帰った段ボールが積んだままなのですが)には、名古屋で買った、紺木綿に笛を咥えた鬼を染め出した幢を敷きました(名古屋では、節句にこういう幢を…

12月30日

扇屋へ鏡餅を受け取りに行きました。スーパーで売っている鏡餅には余計な装飾がついていて、例年買っていた飾りなしの鏡餅がないのです。和菓子屋ならあるかなと訊いてみたら、注文品になるという。一番小さい1寸を2組注文しておきました。一瞬、小さすぎ…

体温計

大学院同期で、耳が遠くなったので学会へは出ない、と随分前から公言している人がいて、言い訳だろう、と思っていましたが、先日、インフルエンザの予防注射に行った時、看護師から体温計が鳴ったことを指摘されて自分には聞こえなかったのだと知り、衝撃を…

コットンボール

先日、丸ノ内のキッテで忘年会をした時、水引で編んだ球体を吊したクリスマスツリーを見ました(このブログにも写真を載せました)が、40代の知人にその話をしたら、それはコットンボールと言って、いま流行の手芸だと教えられました。風船に糸や紐を巻き…

歳末2019

どんどん押し詰まって、気づけば今年はあと4日。行事は簡素化する、と居直りながらもお屠蘇散は買った、鉢の花は植え替えた、年賀状は出した、と数えつつ、締め切りの近い原稿になかなか取りかかれずにいます。今年は未だ鏡餅が手に入りません。スーパーで…

国営賭博場

統合型リゾート施設、と言うと温泉など健康的な休憩所のように聞こえますが、要するに公営賭博場。その開設に熱心だった代議士が贈収賄で逮捕された、というニュースで大騒ぎになっています。そもそも観光資源の多い日本が、どうして賭博場なんかで観光立国…

西洋文学の目でも

中世英文学がご専門の多ヶ谷有子さんから、日本の軍記物語研究について、メールを頂きました。最近、「グウィネヴィアと建礼門院―贖罪と後世の弔い―」という論文を発表されたばかりです(『アーサ-王伝説研究―中世から現代まで―』中央大学出版部)。アーサ…

吾妻鏡の文書利用

高橋秀樹さんの「『吾妻鏡』の文書利用についてー頼経将軍記を中心に―」(「國學院雑誌」 12月)を読みました。『吾妻鏡』研究の2つのポイントは諸本研究と原史料研究であったとした上で、承久元(1219)年~寛元元(1244)年の頼経将軍記におけ…

「剣巻」の密教的転換

高尾祐太さんの「『平家物語』「剣巻」の密教的転換―風水龍王をめぐって―」(「国語と国文学」 2020/1)を読みました。「剣巻」とは、壇浦合戦で三種神器の宝剣が喪われた記事に関連して『平家物語』中の1章段として語られ、それに源家に伝わる宝剣の…

ノロウィルス

ノロウィルスが日本でひろく認知されたのは、それほど古いことではありません。たしか19年ほど前、地方で大きな学会が開かれた時(会期中、寒い曇天が続いていました)のこと。私は授業があったので、3日目のバス旅行は参加せずに帰りましたが、後で聞くと、…

師走の一服

春日町の本屋まで、取り寄せておいた本を受け取りに出かけました。春日町は再開発工事が進み、巨大なビルが次々できつつあります。寒い師走の土曜日、街は混んでいました。 この夏3kg太ったので(胃腸のために、1日3食を実践したのがいけなかった)穿けな…

第3回明翔会研究報告会

明翔会(公益信託松尾金藏記念奨学基金同窓会) 第3回研究報告会 2020年3月14日に予定されていた研究報告会は、今般のCOVID2019の感染拡大防止のため、2021年3月20,21日、オンライン開催に変更されました。 プログラム: 1 〈ボルデスホル…

流布本で読む

雑誌「武蔵野文学」67号の特集「流布本で読む軍記物語」(12月 小井土守敏編)を読みました。ここ30年近く、古態本追求一色の観がある軍記物語研究に一石を投じた、とでも言える1冊。8本の論文(将門記・保元平治物語・平家物語・曽我物語・義経記・太平記・…

年の瀬2019

量だけでなく困惑も抱えてしまった年の瀬、隙間を縫ってちょっとずつ年越しの用意をしています。散髪に行き、歯医者に行き、手帖とカレンダーは買い揃えました。年賀状は刷り上がってきましたが、宛名書きは未だ手つかず。そう言えば今年は、郵便局員が寒風…

日光線

仕事上のことで落胆、困惑、模索が続いて鬱屈しているところへ、あちこちの知人から届くメールの、書き添えられた言葉に励まされます。平勢隆郎さんからは、年金問題でストの続く巴里から帰ってきた、と巴里便りの続編が来ました。忙しく活躍している後輩か…

空のなごり

10代の頃、夕日が落ちて、暗くなる前の空が好きでした。残照が西空を染め、星が1つ2つ見え、見る見る茜色が緑色に、濃い藍色になっていく。細い三日月が懸かることもあり、遠い電柱のシルエットが浮かぶこともあります。殊に早春と晩秋は格別でした。黎明も…

クリスマスデコレーション

終日、図書館に籠もって、ひたすら写本をめくりました。善本かどうか、古い本かどうかよりも、書写の跡、筆遣いに眼を凝らして、どういう所存でこの本を写していたのかを知ろうとしました。およそ6時間半、世界で何が起こっているかも忘れるような一日でし…

忘年会2019

長野の友人が今年最後の上京だというので、丸ノ内で忘年会をすることにしました。キッテで待ち合わせ。去年は巨大な樅の木を白くコーティングしていましたが、今年は水引で編んだ大小さまざまな球体の中にLEDを入れ、ツリー型に吊した飾り付けでした。 水引…

軍記物語講座第1巻の中扉に、軍記物語関係資料の写真をあしらうことになりました。編集者が大学図書館で写真撮影させて貰うというので、立ち会いに行きました。常陸宮邸の塀越しに山茶花が咲き、彼方此方の紅葉が綺麗です。現職時代は眺める余裕がなかった…

とか

午後2時半に電話が鳴りました。この時間は、10時半の次に詐欺電や迷惑電話のゴールデンタイム。いつもは用心しているのですが、このところ編集者とのやりとりが切迫しているので、つい受話器を取ってしまいました。 「もしもしイ~」と語尾が上がる。この…

和漢混淆文

堀川貴司さんが花鳥社の公式サイトに、和漢混淆文のことを書いています。「和漢混淆」文は、和文と漢文の混融したものと考えるより、じつは和文と漢文、それぞれに雅体と俗体があり、俗語俗文、つまり俗体の要素も混淆して三巴になっていると考えた方が実態…

諦める

先週、春日通りを渡ろうとしたら信号が変わり、20代のOL2人連れが、「あっ、諦めよう(次の信号で渡ろうという意味)。だんだん諦めることが多くなるね」と笑っていました。なんだ、未だそのトシで、と思いましたが、多くのことをつぎつぎに諦めていくのが…

公孫樹並木

速達を出しに本局へ出かけました。雨をたっぷり吸った舗道は黒光りして、空気が冷たい。用が済んで、ふと公孫樹並木を見る気になり、遠回りして東大の正門を入りました。みごとに黄葉していました。毎年、春先にはほとんど棒杭のように剪定してしまうのです…

抱き合わせ

大学共通入試の国語・数学記述方式採用が延期になりました。英語の民間試験導入といい、国語・数学記述式の採用といい、こんな無茶な改革案を作り、実施を決めたのはどいつだ、出て来い、と言いたくなります。記述式の問題点も英語の4技能重視についても、す…

目刺

玄界灘の志賀島から干物が届きました。生干しの目刺が入っていたので、さっそく味噌汁の具を買いに行かなくては、と思いました。目刺はやはり、米飯に味噌汁、それに漬物という組み合わせが定番。日来、朝はパン食の我が家ですが、目刺のある朝食は日本の原…

日本列島

パンジーとビオラの色々の苗を買い揃えました。これでもう、今冬の準備は出来た、後は植え替える時間を見つけるだけです。菊の咲き出す時期が1ヶ月ほど遅れたので、例年訪れる蜜蜂はもう来ません。先月初めには毎日やって来て、花のないベランダを飛び回り、…

源平の人々に出会う旅 第35回「紀州・維盛離脱」

元暦元年(1184)2月、平家は一の谷で多くの公達を失い、屋島(香川県)に滞在していました。その翌月、平維盛は、都へ残した妻子を片時も忘れることができず、与三兵衛重景・石童丸・武里を従えて密かに屋島を抜け出し、船で紀州へ向かいます。 【和歌の浦…

屏風絵でたどる 平家物語・第2回

屏風絵でたどる 平家物語への旅-絵から読み解く文学の世界 講師 伊藤 悦子 『平家物語』を描いた屏風の中でも、一の谷合戦と屋島合戦を一対とした「源平合戦図屏風」(屏風絵では、この2つの合戦を対として扱うことが多かった)は、とりわけ人気が高かった…

ジャム

今朝は新しいジャムの瓶を開けました。ココナッツのジャムです。大手スーパーでジャムの棚を物色していたら、カヤジャムというラベルが目に入り、榧の実(北原白秋の詩が童謡になっていますよね)で作ったのかと手に取ってみたら、ココナッツジャムだそうで…

残照

ようやく菊が咲き出しました。小豆色、黄に赤が差したもの、白に薄くベージュが差したもの、古典的な小菊です。小豆色のものはちゃんと挨拶して貰って来た枝を挿し木したのですが、そのほかは、黙ってあちこちから失敬した小枝を挿して育てました。今年は台…