2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

義経伝説と為朝伝説

原田信男さんの『義経伝説と為朝伝説―日本史の北と南―』(岩波新書 2017)を読みました。ツンドクの山を崩して読んだのですが、オキナワや北方領土交渉等、問題続出のこの頃、思い当たることが多く、アイヌに対しても琉球に対しても、中央政府のやってき…

グリコ的修辞法

製菓会社の子育てアプリと称する宣伝活動が、問題になっています。共同子育てには、妊娠期からの夫婦間のコミュニケーションが必要、というコンセプトは万人が肯定するでしょう。しかし男性脳・女性脳の相違、という非科学的な説明ですべてを解決しようとし…

226の兵士

42年前、公立高校には専任の用務員がいて、教員が出校するとお茶を出してくれました。2校目で赴任した定時制高校の用務員さんは、剣道七段という男性でしたが、二・二六事件の一兵卒だったと名乗り、いま生存者たちと共に、記念碑建立に奔走している、と…

犬の散歩

我が家は机を東向きに置いているので、夕方の、ある時間になると、ビルの窓に反射する夕陽が眩しく、仕事になりません。そこで買い物に出かけることにしているのですが、ちょうどその時間が犬の散歩タイムらしく、大小さまざまの犬種とその飼い主に遭います…

緑の蛇

先輩の粂川光樹さんの御遺族から、葉書を頂きました。訃報は出版社のツイッター等で知っていたのですが、奥様の後を追うように、同じ年のうちに亡くなったのだということを知りました。 40年以上前、横浜のフェリス女学院大学の講師室でお会いして、粂川さ…

湯島の白梅

湯島天神へ梅の花見に行きました。久しぶりに上京した友人と、ゆっくりお喋りするのが目的です。湯島天神の境内は狭いので、ごった返していました。白梅はほぼ満開、紅梅も数本、桃色の枝垂れ梅が2本ほど咲いていました。遅咲きで蕾だけの木もあります。昔…

グレープフルーツ

グレープフルーツの輸入が自由化されたのは、1971年のことです。それまでは超のつく高級果物でした。 我が家には、「◯◯屋のグレープフルーツ」という言い習わしがありました。亡父が現役時代に、日本橋に本店のある高級果物店へ、目上の方への病気見舞い…

はっさく

はっさくを買ってきました。仏壇用なので、1個か2個でいいのですが、何故かはっさくはネット入りで売られています。もう重い物を持てなくなって、はっさくを買った日は、蕪や白菜などは諦めて帰って来るしかありません。亡父は柑橘類が好きでしたが、中で…

キウイ

いつも輪切りにするキウイを、今日は縦4つ割りにしてみました。猪の仔ウリンボウみたいでかわいい。最近は健康にいいとして流行っている果物ですが、私が初めて見たのは50年前のインドででした(当時、輸入果物は贅沢品だったのです)。 ところで、キウイ…

カステラハウス

昨夜遅かったので朝寝したかったのに、窓下の工事音に起こされました。ここしばらく、我が家の周囲は建設ラッシュです。代替わりや隠居などの理由で建て替えが続き、その度に1軒分の土地が2~3軒に分割されて、真四角な筺のような家がぎっしり並んでいき…

2002年

昨夜、NHK-TV「ノーベル賞の会社員ー科学技術立国の苦闘」を視ました。2002年にノーベル化学賞を受賞した、田中耕一さんへのインタビューを中心に構成されたドキュメントです。インタビュー番組は、人物の顔や話しぶりが説得力の核になるので、本庶佑氏…

この季節

日脚が伸びました。同時に我が家の室内に入る陽ざしはぐっと減り(冬の間は居間の奥まで陽が入り、本や絵が灼けるので気が揉めました)、その分ベランダの日当たりがよくなってきました。植木鉢をあちこち移動させては、紫蘭や匂菫や擬宝珠などの発芽を待ち…

雛祭

正月が過ぎたら節分、バレンタイン、雛祭と、コンビニやスーパーはめまぐるしく商品を入れ替えます。恵方巻とやら、東京人にはなじみのない、俄仕立ての民俗は、もうやめませんか。店頭で方角を探して太巻にかぶりつく、なんてスタイルは、そもそもださい。…

日本軍兵士

吉田裕さんの『日本軍兵士ーアジア・太平洋戦争の現実ー』(中公新書 2017)を読みました。昨夏の終戦記念日に買い、惨めで愚かな数字が並ぶのにやりきれなくなって中断していたのですが、2月8日から右翼の街宣車が騒ぐので、口直しに読み通す決心をし…

描かれた能楽

小林健二さんの『描かれた能楽』(吉川弘文館)が出ました。近年、能舞台を描いた絵画資料がよく市場に出るので、関心はあり、さっそく開いてみました。写真がたくさん入った、楽しい本です。「能楽の絵画資料研究を拓く」という序があり、Ⅰ能楽絵画の諸相と…

酒呑童子

根津美術館の企画展「酒呑童子絵巻」を観に行きました。その前に大学図書館へ寄って、雑誌論文を数本(明徳記、慈円、世阿弥、若山牧水など)読み、昼食を食べ損なったので腹ぺこでした。 有欠本の室町絵巻(16世紀)と、伝狩野山楽筆の3巻本(17世紀)…

加虐の心理

やはりこれだけは書いておきたいー10歳の長女を父親が死なせた事件について。今までいじめや虐待事件の度ごとに、大人に相談しなさい、という尤もらしい忠告がなされ、私は鼻白む思いで聞いていました。子供は自分の親を守ろうとします、たとえ鬼のような…

水菓子でも

児童虐待を防ぐのに地域でも協力して、といった結論で安直に結ぶルポには腹が立ちます。教育委員会や児童相談所の職員(プロです!)が、自分たちの身を守るためにいたいけな子を犠牲にし、母親までもがDVを逃れるために幼い実の子を差し出していたのに、隣…

鎌倉幕府の成立

川合康さんの『院政期武士社会と鎌倉幕府』(吉川弘文館)を読みました。元木泰雄さんの『源頼朝』(中公新書)に続けて読んだのは、私にとってタイムリーで、幸運でした。両著相まって、理解と記憶を助けてくれたからです。院政期から中世初期の日本史では…

訪問診療医

小堀鴎一郎『死を生きた人びと』(みすず書房 2018)を読みました(副題「訪問診療医と355人の患者」)。著者は森鴎外の孫。外科医としての定年後、地域の在宅診療に関わった体験に基づき、事例を挙げつつ現代の終末期医療のあり方、患者とその家族の…

数字

国の基幹統計がいい加減だったことが問題になっています。雇用、賃金、勤労と、最も基本的な数字が信用できない、連続性があやしいとなると、政策の成果を擬装しようとした、と疑われても仕方がないでしょう。その上、検証作業を請け負う第三者委員会のあり…

爆発するビオラ

寒い日が続いて、ビオラの株が半分萎れました。どうやら夜中に茎が凍ったらしい。萎れた部分だけ摘んで、小さなカップに活け、洗面台に置いたところ、一晩で爆発的に茎を伸ばし、小さな蕾まで一気に咲き出しました。ゆっくり生き返らせる心算だったので、少…

武家政治の創始

元木泰雄さんの『源頼朝』(中公新書)を読みました。頼朝伝に関してはずっと、永原慶二氏の岩波新書(1958)を身近かに置いてきたのですが、本書を読み終えて、何だか晴れ晴れと視界が開けたような気がしました。60年以上経った日本史研究の蓄積のせ…

源平の人々に出会う旅 第25回「備中・妹尾最期」

寿永2年(1183)閏10月、水島の大敗を聞いた義仲は、倉光三郎を備中へ先行させますが、倉光は同行した妹尾太郎兼康(北陸合戦で捕虜となっていた)に討たれてしまいます。 【妙善寺(福隆寺・福輪寺)】 『源平盛衰記』では、兼康は平家に合流するため、福輪…

軍記物語の時代

軍記物語講座の第1巻・第4巻の付録として、年表をつけることになり、その作成者たちと編集者との打ち合わせに出かけました。場所は東京駅八重洲口近くの会議室ですが、30分ほど早く着いたので、近くの椿珈琲店に入りました。白いメードエプロンをかけた…

2019年度文系大学院奨学金

公益信託松尾金藏記念奨学基金(2019年度)の公募が始まりました。大学推薦ですので、この4月から文系の大学院に入学する予定で応募を希望する方は、所属先の大学院事務室へお問い合わせ下さい。書類の提出先や締め切り日は、大学ごとに設定されていま…

寒雷

昨夜、突然戸外で爆発音がしました。思わず腰を浮かしかけたのですが、街は騒ぎにならず、雷だったのだと気がつきました。天上からではなく低い地上から聞こえたような気がしたのですが、それが冬の雷なのだ、と思い返しました。 遠くからごろごろいいながら…