2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

軍記物語講座完結

軍記物語講座第2巻『無常の鐘声』が出ました。刊行順では本巻が最後ですが、シリーズ本来の構成は以下の通りです。 1『武者の世が始まる』 将門記・陸奥話記・後三年記・保元物語・平治物語・承久記 2『無常の鐘声』 平家物語 3『平和の世は来るか』 太平…

廃業・その後

4月末日に廃業したかかりつけ医。蓄積したカルテは貰えないのかと尋ねに行ったら、インタホン越しに断られたのですが、2,3日して電話がかかってきました。 「週刊ポスト」が折しも「かかりつけ病院がある日、突然潰れたら・・・」という記事を出したおか…

川越花便り・7月篇

川越の友人から、久しぶりにメールが来ました。コロナで延び延びになっていた腸内ポリープの切除手術を済ませたとのこと。癌ではない、と判って一安心したそうです。 キツネノカミソリ 植物図鑑で知っていたキツネノカミソリの実物を初めて見たのは、晩夏、…

覚一本本文異同小考

軍記物語講座第2巻『無常の鐘声』(花鳥社)が7月30日に発売されます。平家物語の論文14本と、「源平盛衰記国内地名索引」を収載しました。 現在の平家物語研究には、表現論が不足している、と思っています。例えば、こんな問題も考えてみてはどうか、…

宮古島から

先週からみんみん蝉が鳴き出しました。この界隈では明らかに、年々数が減っています。家の建て替えやマンション建設が進んで土が掘り返され、樹木がなくなったからでしょう。その上、今年は梅雨が長くて夏空が見えません。未だ6月のような気分でいるところ…

萱草に寄す

中西達治さんから、藪萱草の花の写真を刷った葉書が届きました。文面には、 「拝啓 梅雨のさなかに咲くワスレグサ、俗に藪萱草と呼ばれています。古代中国で忘憂草とされ、大友旅人は大宰帥に左遷されたとき、わすれ草わが紐に付く香具山のふりにし里を忘れ…

西行学10

西行学会の機関誌「西行学」10号(2019/8)を頂いたので、読みました。この学会も発足10周年を迎えたのですね。発足した時は、なるほどこういうテーマ設定もあるか、と膝を打ちました。紫式部学会があるのだから不思議ではないようですが、「西行…

忖度

どうして政府が意固地なまでにGotoキャンペーンにこだわるのか、納得がいかないので、週刊誌を2冊買いました。検査数だけでなく陽性率が上がり、医師会も現場の地方自治体も反対しているのに、何故、この時期こんなにも押し通すのか、毎日接するメディアだ…

福岡の従姉から、土用なので鰻を買ったというメールが来たので、東京では国産の鰻は高くて買えない、中国産のレトルトパックは安全性がいまいちだし、と返事したら、年1回の鰻も食べられないなんて、と同情されました。西では鹿児島産の鰻が有名です。 関東…

コロナの街・part7

蒸し暑い日が続き、マスクが苦しい。人出の少なそうな時間を見計らって用足しに出かけ、店に入る直前にマスクを掛けることにしました(♪行き交う人に何故か目を伏せながら)。休日には路上に若いカップルが溢れ、夕方には子連れのヤンママが溢れ、この界隈っ…

山内首藤俊綱の討死

川合康さんの「山内首藤俊綱の「討死」と軍記・絵巻・合戦図屏風」(科研費B報告書『戦国軍記・合戦図屏風と古文書・古記録をめぐる学際的研究』 2019/3)を読みました。平成30年度に終了したこの共同研究の成果は、書籍として刊行する予定が取りや…

2020年度採択奨学生一覧

今年度の公益信託松尾金藏記念奨学基金の採択者が決まりました。博士課程2年目で学振の特別研究員に採択されて、この奨学金を辞退する人が多くなったことと、今年はコロナ禍で社会が経済的に逼迫する可能性が高いことから、12名の採択となりました。採択…

学生の日常も大事(2)

各大学の後期授業の方針が、ぼつぼつ出始めたようです。オンライン授業だけ、対面授業との併用、それぞれに大学の事情(学生及び教員の資質も含めて)が出ていて、ふむふむと思いながら見ています。「体験的電子事情」と題したシリーズでこのブログにも書き…

百日紅

東京は長梅雨になりました。もう19日間も雨続き(降ったり止んだりの日が多い)で、大きな洗濯物が干せず、暗い日中です。長野の友人から、戸口に咲いた百日紅の写真が送られて来ました。 信濃の百日紅 百日紅は酷暑の中で咲く、鮮烈な赤い花が定番でした…

椿説弓張月

大高洋司さんの「『椿説弓張月』の位置ー<一代記>と<史伝もの>ー」(「国語と国文学」8月号)を読みました。滝沢馬琴の<稗史もの>と言われる読み本の形成を解明するために、長編構成の大枠(読み本的枠組)を見定めることが重要であるとして、その枠…

学生の日常も大事(1)

COVID19の影響でオンライン授業が広まった今年、これ以前とこれ以降では、大学教育が画期的に変わるものと思っていました。かつて国立大学独法化を経験した教員(大学変革を理解していた、という意味)とそうでない教員とでは、あらゆることで意識が異なり、…

本文研究の蹉跌

佐々木孝浩さんが「『源氏物語』本文研究の蹉跌ー「若紫」帖の発見報道をめぐってー」(「日文協日本文学」7月号)という論文を出したと聞いたので、読んでみました。「文献学をとらえ直す」という特集の中の1本らしい。昨秋から話題になっている「定家筆…

鬼百合

鬼百合が咲いています。この界隈で咲いているのは、私がたまプラーザのキャンパスに出講していた頃、校門の脇の鬼百合のむかごを採ってきて播いたものです。構内には万葉植物が植えてあるのですが、鬼百合は見上げる程堂々とした風姿で、むかごも大きくて真…

ポテサラ

ツイッターで、ポテサラ(ポテトサラダの略語だそう)が話題になっています。惣菜売り場でポテサラを買おうとしていた母子連れに向かって、聞こえよがしに「母親なら、ポテトサラダくらい手作りしたらどうだ」と言ったジイサンがいたそうで、うなだれた母親…

迷走

COVID2019感染者数が日々増えています。検査数が増えているからだと説明しているようですが、陽性率も増えている。若い人だから大丈夫、という言い方がされていますが、その人たちが無症状、無自覚なまま、マスクなしで談笑しながら歩き、満員電車に乗り、移…

月夜の梟

小池真理子が朝日新聞日曜版に「月夜の森の梟」というエッセイを連載しています。およそ1000字ほど、もう5~6回読んだでしょうか。夫藤田宜永が亡くなった後の日々を書いているのですが、毎回、その哀切さに胸を絞られます。夫婦に限らず、大切な人、…

赤ままの花やとんぼの羽根

中野重治に「おまへは歌ふな おまへは赤ままの花やとんぼの羽根を歌ふな」で始まる「歌」という詩があります。国語の教科書にも載っていたことがありますから、よく知られていると思います。若い頃、この詩が好きでした。究極の抒情歌だと思っていました。自…

木曽川

名古屋に勤めていた頃、NHK-ETVで「古典への招待」という番組の講師をしました。TV放送の強みを活かせるような、ビジュアルで、しかも新鮮な情報を出したいと考えました。長野の真田宝物館に、奈良絵本の平家物語があると知っていたので、撮影に行って、画像…

河川

山と川のある町を故郷に持っている人は羨ましい、と思っていました。景色がいいだけでなく、幼年時代から成長につれて思い出が沢山できる。海辺で育つのもいいですが、川辺ほどの変化は少ない。殊に草の中をゆったりと流れる、水辺が近い川は美しい。兵庫の…

茄子

夏野菜では、茄子が美しい。つやつやした濃紺と蔕の元がグラデーションになった紫色は、漬物鉢の中で惚れ惚れするほど。皮を噛み切る時のぷつり、という食感も好きでした。油によく合い、以前は丸ごと素揚げしたりしてよく料理したのですが、コレステロール…

選挙狂騒曲

昨日は都知事選挙。早起きして朝食前に投票に出かけました。いつもは、選挙当日は何となく街が浮き浮きしているのに、今回はみんな義務的に足を運んでいる感じでした。 選挙公報は、上京して不在者投票をするという友人に送ったのですが、あまりに狂騒的な紙…

印度の青鬼

長野の友人から宅急便が届きました。住民登録は未だ東京にあるので、都知事選投票のために上京する予定だったが、コロナ感染者数が増え続けるので断念した、ついては持参する所存だった信濃土産を送った、とメールが来ていたのです。もう随分逢っていない。…

源平の人々に出会う旅 第42回「下関市・壇浦合戦」

元暦2年(1185)2月、義経軍は、讃岐の志度合戦後に田内左衛門教能(のりよし)を捕らえていました。教能の父は平家と行動を共にしている阿波民部重能です。 【壇浦(赤間ヶ関)】 3月24日、壇浦で源平最後の戦いが行われます。知盛は阿波民部の様子に異変を…

コロナの街・part6

エコバッグを洗いました。もう20年くらい使っているのに洗濯したことがない。レジ袋が有料化したので、食材を直接入れることもあるからと、慌てて洗濯。濯ぎの水は真っ黒でした。買い物に出ると、10代~60代の男性及び20代女性の、10人に1人くら…

最愛の女性

永井晋さんは『源頼政と木曽義仲ー勝者になれなかった源氏』(中公新書 2015)の中で、義仲が最後の合戦の前に松殿(藤原基房)の姫君の許で時を潰し、部下が自決して諫める話を取り上げ、義仲は権門の女性を正室に求めてこの姫君を見初めたとして、読み…