2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

鯉のぼり

鯉幟を見ることが少なくなりました。以前はマンションのベランダから差し出した幟なども見かけたものですが・・・この時季は案外風が強く(薫風といいます)、はたはたと鳴る幟の音は、初夏を呼び寄せる気がします。 弟は団塊世代でしたが、生まれた時は未だ…

保元と平治

阿部亮太さんの「認識としての「保元・平治」―物語は院政期の動乱をいかに捉え直すか-」(「国語と国文学」4月号)を読みました。保元物語・平治物語・平家物語の3作品が、保元の乱・平治の乱を一括して捉え、「保元・平治」という呼称と認識の型を定着さ…

しらす

銀行へ行った帰りにスパゲティの昼食を摂りました。季節限定で「しらすと春キャベツ」というメニューがあったので、どうかなあと思いながら注文してみました。釜揚げしらすがたっぷり乗せられ、小綺麗に盛りつけてあって、チーズ味のソースが意外に合う。春…

QWL

明翔会会員の中尾文香さんに最近の活動を書いて貰いました。テミルプロジェクトについてはすでにこのブログでも紹介しました(株式会社テミルのHPはwww.temil.jp)。 彼女の新著『障害者への就労支援のあり方についての研究』に関するお問い合わせは、風間…

臨床死生学

東大の死生学・応用倫理センター主催の講演「長寿時代の臨床死生学・倫理学」を聴いてきました。死生学とは、「死生」を一体としてとらえ、人間が死生をどう理解し対処してきたかを考える学問で、その結果を応用して臨床現場で実践する領域が臨床死生学だそ…

近松研究史

原道生さんの「戦後近松研究史の一側面(その三)ー近松の会を中心に-」(「近松研究所紀要」72)を読みました。昭和26年夏の日本文学協会総会の報告や雑誌「文学」に掲載された広末保の言説が、戦後の近松研究史に画期をもたらしたととらえ、著書『元…

軍記・語り物研究会

久しぶりで軍記・語り物研究会に出ました。発表は藤田加世子さんの「『平家物語』の物語系図について―宮内庁書陵部蔵『平家物語系図』と『平家花揃』―」、小助川元太さんの「儀式の道具としての軍書」の2本です。参加者もけっこう多く、多士済々の感があり…

研究発表会

母校の国文学会で院生の研究発表を聴きました。石井悠加さんの「鳥羽殿の和歌」は、和歌の催しが行われる場としての鳥羽殿の変遷をたどり、権力者の栄華と失脚に繰り返し関わった広大な人工空間に、和歌がもたらした意味の大きさを考えようとしたもので、シ…

そろそろ物干し場のハンガーを隠す季節になりました。巣作りする鴉に盗まれるからです。都会には手頃な枯れ枝が見つからないためか、針金製のハンガーを集めて電柱の上などに巣を作るらしい。時々感電して停電事故の原因になることもあるそうです。ワイシャ…

炊き込み御飯

子供の頃、季節ごとの炊き込み御飯が食卓に上りました。今の季節ならグリンピースを混ぜた塩味の豆御飯。醤油味の竹の子飯。秋なら菊の花びらを混ぜて酢飯にした御飯。松茸御飯は醤油味で栗御飯は塩味。銀杏に鶏(または油揚げ)や干椎茸や人参を入れた五目…

燕子花図屏風

根津美術館で恒例の尾形光琳「燕子花(かきつばた)図屏風」展示を観て来ました。いつもより混んでいましたが、「行楽を楽しむ器ー堤重と重箱」の展示や「初夏の茶の湯」の展示も楽しめました。後者に出ていた独楽香合(17世紀、東南アジア)と片口水指(…

現代詩

渡邊十絲子さんの『今を生きるための現代詩』(講談社 現代新書)をようやく読み了えました。読みにくい本だというわけではありません。その逆なのですが、本屋で見かけて買ってからベッドサイドに置き、4年近くかかってしまいました。入試問題を作っていた…

八重桜

長泉寺・法真寺・赤門脇と、種類の違う八重桜を見て歩きました。赤門脇には2本あったのですが、いつの間にか1本は切り株になってしまいました。ベンチに座っていると、ちょうど楠の葉の交代期で、落葉が肩に当たって、かるく痛い。行き交う老若を眺めなが…

鎌倉歩き

日本史の坂井孝一さんから、「NHK総合テレビ4月21日(金曜日)午後8時から放送の『歴史秘話ヒストリア』に少しだけ出演することになりました(全体で43分ほどの放送時間のうち、私が出演する「鎌倉」の部は13分ほど、再現ドラマやアナ単独の部分…

後期軍記

山上登志美さんの「八上城落城と本能寺の変―光秀「怨恨説」をめぐってー」(甲南國文64)という論文を読みました。明智光秀がなぜ信長を暗殺したのか、従来信じられてきた丹波国八上城攻めにまつわる「怨恨説」を検証しています。八上城攻めを扱った軍記『…

春のエネルギー

野菜の、立派な不要部分をどうするか―何だか可哀想で捨てられない。セロリの大きな葉や枝は、煮込み料理のブーケにもしますが、刻んで炒め、醤油と少量の甘味(味醂か砂糖)と唐辛子で味付けすると、白飯にも酒肴にも合う一皿になります。油揚げか竹輪または…

それでも生きていく

渡部泰明さんの『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店)という本が出ました。前著『中世和歌の生成』(若草書房)が藤原俊成中心だったのに比べ、書名通り、古代和歌から中世和歌へ、西行・定家・実朝の作歌方法、そして芸能や連歌への展開をも視野に入れて…

石榴

石榴の新芽が出始めました。貰った実の種子を一粒播いて育てた石榴です。花も楽しめますが、この時季の赤い芽吹きが美しい。 小学校の時、国語の教科書に「一夜のこがらしに、ざくろの葉は散りつくした。」で始まる文章が載っていて、授業で指名されて音読し…

汀と渚

北村昌幸さんの「『平家物語』の汀渚―敦盛最期の舞台―」(『浜辺の文学史』三弥井書店)という文章を読みました。一ノ谷合戦の後、熊谷直実が平敦盛を討ち取る場面の平家物語諸本、芸能、絵画などを見渡して、勝者と敗者、源氏と平氏等の2項対立を明確にす…

ヒューストン

かつての教え子が小学生の娘を連れて、アメリカの宇宙センターを見学してきたからと、パンフレットを送って来ました。フロリダ州のケネディ宇宙センターとテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターを、1週間かけて見学するツアーです。ロケットや人…

咲きました

実生の桜が咲きました!花房は5つ、いま9輪開いています。染井吉野なら蕾の時からピンク色になるので、今年も駄目かと力を落としていたのですが、緑の萼の中から覗いた蕾が次第に薄紅を帯びた白に変わり、ふっくらと開きました。大島桜だと思います。 2月…

寄居町

従妹の納骨に埼玉県の寄居(よりい)町のお寺まで出かけました。北条氏の城、鉢形城趾の中を抜けて行きます。桜、花桃、連翹、杏、雪柳、菜の花、花大根、色とりどりの花が咲き乱れ、鶯が鳴き、人影の殆どない、静かな所でした。 同い年でしたが癌が見つかっ…

テミル・プロジェクト

株式会社テミルの中尾文香さんが、『障害者への就労支援のあり方についての研究』(風間書房)という本を持って訪ねてきました。明翔会会員の1人です。テミルで働きながら社会福祉の大学院を出て、障害者の労働環境向上のプロジェクトをやっています。この…

医学博士留学支援金

知人を介して、奨学基金運営の経験を聞きたいので会いたい、との申し入れがあったので、銀座へ出かけました。一篤志家の遺産をもとに一般財団法人を設定、博士号を取った医学生の海外留学を支援する基金を作る準備をしている、というお話でした。指定する大…

末っ子気分

2歳年上の従姉と待ち合わせて、横浜のホームにいる12歳年上の従姉の許を訪ねました。先日のプロジェクト終了の女子会で後輩から贈られたシャンパンを、花見酒として持参、3人で今年の桜を見られる慶びに乾杯しました。欧州旅行を重ねてワインにうるさい…

絵本

磯水絵・小井土守敏・小山聡子さんの『武士が活躍し始めた、その頃のお話。』という長い題の絵本が出ました(創英社発行 三省堂書店発売 二松学舎大学の絵本)。二松学舎大学附属図書館が所蔵する奈良絵本『保元物語平治物語』(12巻12帖)を素材に、「鎮西…

今年の花見

三十数年来の友人と待ち合わせて、播磨坂で花見をしました。8分咲きというところでしょうか、未だこれから開いていく力のある花に覆われた坂道を上り下りして、今年の花に逢えた悦びを噛みしめました。愛犬を連れて歩いている人が多く、1時間ほどでさまざま…

源平の人々に出会う旅 第4回「滋賀県・三井寺(園城寺)」

治承四年(1180)、源三位頼政は後白河法皇の皇子である高倉宮以仁王の御所へ行き、平家を討つべく挙兵を勧めます。以仁王は源行家に令旨を与え諸国の源氏に挙兵を促しますが、早くも事が露見したため御所を脱出して三井寺へ向かいます。 【三井寺南院】 三…

春の草

花冷えというにはあまりに寒い昨日今日ですが、路傍には草が伸び始めました。「春の草」と言えば古典文学では死者を想う、あるいは死を忘れた生の虚しさをイメージするものになっています(白氏文集の詩句「化作路傍土 年々春草生」に拠る)。 青山墓地にお…