コロナな日々 13th stage

政府・知事会のコロナ対応は、まるで裏目裏目を狙ったかのようです。感染者数を抑え込めないまま緊急事態宣言を解き、蔓延防止「措置」に切り替え、送迎会シーズン、行楽シーズンになだれ込んでしまった。詰めが甘く、最終責任を負う覚悟がない。まず感染拡大を停め、同時に医療体制と生活安全網を整え、経済復興をデザインしていくのが、行政の役目ではないでしょうか。マスク会食だの飲食店見回りだのが解決策とは思えないし、ワクチンに重症化を防ぐ効果はあっても、感染や伝播を止める効果はない。医療従事者への接種も未だ2割前後、16歳未満にも感染・伝播の可能性はあるわけですから。

みんな疲れてきました。実際、仕事に支障もあります。私の場合で言えば、注釈の仕事を抱えているのに図書館が使えない。新着雑誌を一読する場所もない。見比べて買う消耗品の買い付けに行かれない。しかし今必要なのは、まず感染者数を増やさないこと、安定した治療法が国内に普及するまでは平常時ではないのだ、との認識を共有することではないでしょうか。たとえ選挙に不利でも、大きな国際的イベントを諦めてでも。

人出の少ない時間を見計らって、播磨坂まで出かけました。並木は葉桜になっていましたが、八重桜が2,3本咲き、新緑に躑躅が鮮やかで、姫卯木が咲きこぼれる家や、木香薔薇を門に仕立てた家も見つけました。歩きながら、足早な季節を惜しむ気持ちに胸を締めつけられました。こんな感覚は、高校卒業か学部生だった頃以来です。残り時間がもうないのに、という気持ちだと言ったらいいでしょうか。

有名なケーキ屋で焼菓子を買い、八重桜の花を2輪拾って帰り、硝子の盃に浮かべて仏壇に上げました。来年の桜にまた逢えるだろうか、それまでに仕事の目途は立つだろうかー咲き残りの八重桜は花びらが緩んでいて、盃の中でほろほろ崩れました。