川越便り・春の花園篇

川越の友人から、庭の花々はいま春いっぱいです、とのメールが来ました。

f:id:mamedlit:20210426113127j:plain

海老根蘭

海老根蘭は趣味としては奥が深いらしく、蒐集し始めたらのめり込むものらしい。33年前、横浜の青葉台では未だ山林が残っていて、珍しい山野草もごくふつうに自生していました。軍記村を自称するほど、同年代の仕事仲間が何人も近くに住んでいて、時々我が家に集まって呑みました。後期軍記が専門だった故和田英道さんは海老根を集めており、奥さんは茜草で帯を染めたそうです。亡くなった吉田多津雄さんは、山で見つけた碇草を分けてくれたり、もう葉の広がったタラの芽を採ってきてくれたりしました。私も食べられる野草を摘んで料理してみたり、キャンパスで刈った草の袋詰めを貰い受けて、兎を飼っていた忠鉢仁さんの家へ届けたりしたこともありました。

f:id:mamedlit:20210426113339j:plain

十二単

園芸ではアジュガと呼ぶそうですが、紫蘇科の植物。花が穂にならず、地を這うように咲くものはキランソウと呼ばれて、路傍でも見ることができます。

f:id:mamedlit:20210426113614j:plain

牡丹

牡丹はGW頃の花と思っていましたが、川越ではもう盛りを過ぎたそうです。鳥取と島根の間にある汽水湖中海に浮かぶ大根島は、全島が牡丹園みたいに栽培が盛んで、色とりどりの株が見渡す限り広がっています(以前、本ブログにも書きました)。今は黄色い牡丹もあるようですが、何と言っても黒牡丹と呼ばれる濃い臙脂と、白牡丹がいい。但し黒牡丹は香りがあまりよくないのが残念です。

生涯の記憶に残る牡丹は、あの大根島と、銀閣寺、それに宇都宮大学仏蘭西式庭園にぽつんと咲いていた1株でしょうか。