日々雑録

藍鉄塩釉鎬

濱田友緒さんの展示会で買ったマグカップが届きました。藍鉄塩秞鎬です。まずは益子焼愛好家だった亡父の仏前に上げて、よくよく見せてから、鍋に水を入れて煮沸しました。陶器の使い始めにはこうするものと教えられていたのですが、ある時、清水土産のドミ…

歯医者さんから褒められる

口腔ケアで歯医者へ行きました。口の辛い歯科衛生士に叱りつけられながら3年、次々に注文がつき、一時はどうなるかと(歯だけ生き残ってもしょうがないよなあ、と思ったり)心配しましたが、ようやくこの頃、歯磨きは一部を除きOK、良質の歯茎なので出血し…

観菊

来日中のJ.ピジョーさん(中世日本文学に詳しいフランス人です)と待ち合わせしました。ピジョーさんの日本での楽しみは、日本酒と水泳。まず蕎麦屋へ入って、燗酒を銀杏で呑みました。明日は房総の海で泳ぐ予定だそうです。心配する私に、欧州人は日本人よ…

歴史叙述と文学

国文学研究資料館の平成二十八年度共同研究成果報告書『歴史叙述と文学』(代表福田景道)所収の論文3編を読みました。大橋直義「伝記への執心」、清水由美子「『平家物語』における多田行綱」、福田景道「『増鏡』と『梅松論』の歴史性と文学性」の3編(副…

無辺光

大谷節子さんが京都の観世流シテ方片山幽雪(1930-2015)から聞き書きした『無辺光 片山幽雪聞書』(岩波書店)を読みました。聞き書きだから、と気楽に読み始めたのですが、中身はぎっしり重く詰まった本でした。前半は幽雪の自叙伝、後半は能35…

基準変更

昨日は早起きして大学病院へ検査結果を聞きに行きました。眼科の女性医師は、カルテを読まずに見当違いのことばかり言う(緑内障云々と言われた時は仰天しました。高齢者にはつきもの、との先入観があるらしい)ので、次回の定期検診の予約だけしてそそくさ…

秋の薔薇

午後の診察予約だったのを忘れて、いつもの時間に大学病院に行ってしまいました。未だ4時間もあります。一旦帰ってもよかったのですが、近くに薔薇で有名な給水公苑があるのを思い出し、読むものはたっぷり持って行っていたので、缶コーヒーを買って浄水場の…

墓参

御殿場の富士霊園へ墓参に出かけました。タクシーを借り切って、古くからの友人に同乗して貰っての往復です。墓参日和とでも言いたいような好天で、雪の無い富士山がどっかりとよく見えました。連休明けなので霊園内には殆ど人影がなく、線香が燃え尽きるま…

知られざる傑作

学部時代、俳諧が御専門の井本農一先生に習いました。最初の専門科目は2年の演習でしたが、穏やかな口調ながら執拗に、学生の思い込みを追い詰める授業で、上級生の中には泣き出した人もいる、という噂でした。辞書にあった、は禁句。「辞書も人間が作ったも…

中世の随筆

ツンドクの山を、随筆文学の峯から崩すことにしました。まずは荒木浩編『中世の随筆―成立・展開と文体―』(竹林舎 2014)。随筆文学は最初にジャンルの定義にこだわらざるを得ないようで(軍記物語でも名称にこだわる人たちもありますが)、もともと作者…

憲法を

大学で教員免許を取るためには、憲法の講義を受講することが必須になっています。ここ十数年、各大学から推薦される大学院生の成績証明書に目を通す機会があるのですが、深刻な衝撃を受けたのは、優秀な成績なのに憲法の単位の評価が著しく悪い、という例が…

検査後の一日

消化器の検査が続いたので、3日ぶりに朝食を摂りました。朝食はネクタリンジャムを入れたヨーグルト、果物、フランスパンとソーセージ、トマトスープ、それに珈琲。胃腸の具合が気になり出してからは、起き抜けに冷たい牛乳を飲みながらメールチェックをす…

s字理論T字理論

私たちの世代では定年まで勤める女性は少数派だったので、勤めおおせる女性のタイプをひそかに観察し、その結果3つの類型がある、という仮説に達しました。①女王タイプ ②童女タイプ ③お母さんタイプの3つです。男性の中に1人だけの女性、という場合にはだ…

死すべき定め

アトゥール・ガワンデ『死すべき定め』(原井宏明訳 みすず書房 2016)を読みました。著者は1965年生まれ、医者の両親を持つインド出身の外科医で、ハーバード大学医学部の教授でもあります。本書の原題はBeing Mortalーつまり人間は必ず死ぬものな…

慰霊祭

学部時代の母校の同窓会が主催する慰霊祭に、初めて出ました。卒業生の中には戦争未亡人や単身で亡くなる人も多いため、年1度、同窓会館で、母校の教官や卒業生の物故者を送る会が行われるのです。太平記研究の鈴木登美恵さんが昨年8月に亡くなったので、…

物語の必然性

友人から借りた2冊目のカズオ・イシグロ作品『わたしを離さないで』を読みました。読了後、しばらく考え込んでしまいました。この小説に、主人公たちが臓器提供のためのクローン人間として生まれ育てられたという設定は、果たして必須のものだろうか?morta…

硝子のハイヒール

今回の選挙報道で、「ガラスの天井」という言葉を使った人が複数いました。1人は巴里でインタビューに答えた人、ほかにもべそを掻きながらそう言った落選女性議員がいました。違うだろ!私は憤慨しています。 「ガラスの天井」という語は、ある程度女性の社…

やまぼうし

新しくなった児童公園に、区がヤマボウシの木を植えました。樹下に赤い実が落ちているので拾ってみると、外観は茘枝のようですが、ぶかぶかした果皮の中にねっとりした黄金色の果肉が入っている。食べられるかも、とひらめき、1個持って帰ってネットで調べ…

木の葉髪

俳句に「木の葉髪」という季語があります。今頃から初冬にかけて、夏に傷んだ毛髪が生え替わるのか、抜毛が多くなります。木の葉も落ちる季節なのでそう言うらしい。 高校時代、いかにも文学少女(年齢的にはおばさんですが)ふうの国語教師が、授業中に生徒…

花散里

塚原明弘さんの「「葎の門」の「らうたげならむ人」―光源氏と花散里―」(「國學院雑誌」10月号)という論文を読みました。最近の源氏物語研究に詳しいわけではないので、門外漢の感想ですが、たいへん面白く読みました。雨夜の品定め以来、「葎の門の」「…

投票

土砂降りの雨の中、衆院選の投票に行きました。選挙の日は街が何となく浮き浮きしているものですが、今日は冷たい雨に冷やされて、ただ人影の多い日曜日というだけ。 投票所は近くの小学校です。以前は児童の作品が展示してあったり教具が積んであったりして…

平曲

橋本敏江さんを偲ぶ会(自由学園明日館)に出ました。古い木造の洋館で、橋本さんの弟子鈴木孝庸さんと孫弟子荒井さんとのツレ平家で「木曾最期」を聴きました。音響がよくて、琵琶もよく歌い、お2人の声もよく伸びて、いい語りでした。私は橋本さんとの二…

紅いコガネムシ

今年の東京は一気に寒さがやってきて、晴れた空にもはや木枯の気配があります。もともと、秋に西の地域から東京へ戻ってくると、ああ東京は陸奥に近いんだ、と実感させられますが、今年は殊にその感が強い。 昨夜から観葉植物を室内に入れておいたのは正解で…

英吉利文学

友人に借りてカズオ・イシグロの『日の名残り』を読みました。昨日、病院の待合室で2時間、今日は仕事を放って2時間。小説を一気に読了したのは久しぶりのこと、充実した満腹感が残りました。ストーリー・テリングの巧さと、文学ならではの隔靴掻痒感を伴…

四苦

旧友と病院で落ち合って食事をしました。私は午前中眼科を受診、彼女は午後から昨秋受けた大手術の1年後健診で、同じ病院へやって来たのです。話題は介護のこと、健康のこと、フレイルと健保政策の関係や良医の条件、そして期日前投票や林檎の収穫作業など…

この道やゆく人なしに

ちょっと視点を変えると展望ががらりと変わって見えてくる場合があります。例えば、組織やコミュニティで(時には家族の中でも)、あの人がいるおかげで、とか、あの人がいなかったら何もできない、と衆目一致しているようなときに、ひょいと立ち止まって別…

竹富島の猫

観光客が餌をやるので猫が増え、注意書が出ている観光地があります。美しいビーチで有名な、竹富島のコンドイ浜もそうでした。浜辺のテーブルに弁当を置いた途端、仔猫が卓上に飛び上がり、当然の如く突進して来たので、頭をひっぱたいたら、いっちょまえに…

益子

益子参考館へ行きました。亡父の愛玩していた濱田庄司の作品を受け入れて戴き、新収蔵展をして下さっているとのことで見に行ったのです。濱田庄司壮年の作品は、意外にも館の収蔵品が少なかったとのことで、喜んで頂き、丁寧に陳列して頂いていて安堵しまし…

下絵か模本か

山本陽子さんの「京都市立芸術大学所蔵「平家物語絵巻」粉本について」(「説話文学研究」52)を読みました。従来、絵巻制作のための下絵とされてきた京都市芸大蔵「平家物語絵巻」が、じつは下絵でなく、静嘉堂美術館・京博などに分蔵される白描の平家物…

濱田友緒作陶展

益子焼の濱田友緒さんの作陶展を見に行きました。伝統的な柿釉の重量感のある膚にモダンな赤や白の指打掛が明るく能動的です。藍鉄塩釉の若さと渋さの折り合った落ち着きも新鮮で、思わずマグカップを1つ買ってしまいました。濱田友緒さんは濱田庄司の孫に…