日々雑録

大和便り・三春滝桜篇

天気予報では今日が東京の桜満開日。しかし我が家の近辺では二,三分咲きです。長泉寺へ行ってみたら、境内では山桜が満開になり、どこにこんなにいたのかと思うほど沢山の蜜蜂が花の中を忙しく飛び回っています。老人2人がスマホ撮影して去り、プードルを…

川越便り・羽根布団篇

暫く別府で悠々老後を満喫していた友人が、川越に戻って庭の手入れをしている、というメールを送ってきました。早春を告げる、可憐な草花を植えた庭なのに、眺める主が留守で荒れていくのは想像するだけで寂しい、と言ってやったら、むっとしたようで、ちゃ…

古活字探偵15

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖15」(「日本古書通信」1136号)を読みました。「徳富蘇峰と池上幸二郎」と題して、次回と連続の話題らしい。今回の話題は、蔵書家の独特の感覚で、取り合わせ本が新たに作り出される例です。 お茶の水と水道橋とを繋ぐ坂…

4月1日

朝刊を広げたら、見開き一杯に幾つも顔面アップの漫画のコマ、なんだこれ、と思ってよく見ると講談社の全面広告でした。「もしヤンマガキャラが先輩だったら」という大見出し。ヤングマガジンというコミック誌の宣伝のようです。 「中間管理職の意見ってのは…

信濃便り・福山観光篇

長野の友人が福山に旅行したから、と写メールを送ってきました。学生時代、寮で同室だったグループが、未だに年1回集まって旅行するのだそうです。60年近く経ち、それぞれ異なる暮らしをしているのに、すごい!女の友情は永続するか否かの議論なんて、問…

開花宣言の日

春の嵐が去って、アスファルトの地面もたっぷり雨水を吸い込み、やっと三月尽に相応しい天候になりました。一昨日若い人の首途の祝膳に出した鯛の頭で、潮汁を作って朝食。重い冬の掛布団を畳んで、軽い羽根布団を干しました。ベランダでは紫蘭の蕾が出て、…

古活字版から整版へ

岩城賢太郎さんの「『源平盛衰記』における古活字版と整版とー表紙裏古活字版反古無刊記整版本の調査報告を手掛かりにー」(「武蔵野文学館紀要」13 2023/3)を読みました。丹念な調査に基づき、元和寛永古活字版から乱版(1冊の中に古活字版と整版…

完食指導

「完食指導」という語があるのを初めて知りました。学校給食で1人前を残さず食べるよう指導(時には強制)することを言うのだそうです。「食育」という語は知っていましたが、完食指導は否定的な響きを伴っているらしく、幼時の体験がトラウマになって、「…

ゴトジンの一夜

昨夜、高木浩明さんが資料調査のついでに、と仕事仲間を連れて来訪。五島ジンを吞みながら4時間ほどお喋りしました。 2人ともジンは初体験らしく、こちらも強い酒をいきなり呑ませていいかどうか分からないので、最初は小さな盃に、石榴酢とスダチ蜂蜜とで…

國學院雑誌1403号

國學院雑誌3月号が来ました。スピアーズ・スコットさんが「和歌の研究と電子資料」というコラムを書いていて、国歌大観のオンライン検索を例に、作品検索、語彙検索、人名検索のほかに人間関係をグラフ化することもできるようになると、もっと便利になるだ…

殿

福島県の相馬の旧藩主(34代目)が、東北大地震後、復興に尽力した話が新聞に連載されていました(「「殿、ご帰還」再起の福島」朝日朝刊経済欄 2024/03/12~16)。まるで読み物みたいに面白い記事でした。 相馬は騎馬武者が神旗の争奪戦を繰り広げる野馬追…

こちらのQRコードから

NHK-TVの番組を視ていて、最近いらっとさせられるのは、屡々司会者が片手を挙げて「詳しくはこちらのQRコードから」と、平然と言う場面です。我が家にはスマホがありません。しかしNHKの受信料は年間前払いで払っています。NHKとの契約は、スマホがあること…

開花前

東京の桜開花予想は、19日、22日、24日と遅れて行っています。播磨坂へ、買物のついでに花見の下見に行きました。バスを降りて眺めると心なし並木の枝先が桜色にうるんでいるように思いましたが、樹下を歩いてみると蕾の輪郭はくっきりしているものの…

マドレーヌ

最近のTVには他人の生活を見せて貰うドキュメントが多く、ドラマチックな話が結構あります。制作側が意図して盛り上げているのが分かると興ざめですが、偶然そういう話題に辿り着いた場合には、リアル感が増し、印象がつよい。殊にテレビ東京には「車代を払…

信濃便り・山茱萸篇

長野の友人から、写メールが来ました。 信濃の早春 【山麓に住む中学の同級生から、野菜を掘り出したから取りにくるようにとのショートメールが届きました。当地では、冬の期間、保存用に土中に大根などの根菜類を埋める習慣があります。日時を決めて友人の…

長門切「三十騎には」

平藤幸さんの論考「新出『平家物語』長門切の紹介と考察」(「国文鶴見」58号)を読みました。この度鶴見大学図書館蔵となった、5行の長門切の翻刻とその考察です。源平盛衰記巻35「粟津合戦」の一部、既出の切(鶴見大学図書館蔵「名乗て懸出」の数行…

102年目の魚屋

父の命日が近いので、花を買いに出ました。この近辺では頼れる花屋がなくなって、不自由しています。週末だけ出す店があって、品数は少ないが花が新鮮なので、まずそこへ行ってみました。黄色いフリージアがある。白か紫ならもっとよかったけど、父の好きな…

2万の星

2017年1月から開始したこのブログに頂いた星の数が、本日2万を突破しました。お読み下さる皆様、声援を送って下さる方々、また時折、素敵な写真を送って下さる方に御礼を申し上げます。おかげさまで見守り機能も果たしてくれており、認知症テストを試…

時計屋

腕時計が動いたり止まったりするので、電池切れにはちょっと早いなと思いながら、春日通り沿いの時計店に出かけました。東北訛りの老店主が修理もする店です。先客がありましたが、開いている時が少ない店(コロナ以来、子供たちからもう辞めろと言われたの…

石母田正がいた時代

評伝『石母田正』(磯前順一 ミネルヴァ書房 2023)を読みながら、かつて見慣れた日本史の学者名が次々出てきて、ああこの人はこうだったのか、と知る例が続いたので、日本史の人は本書をどう読むのか知りたくなり、錦織勤さんに問い合わせメールを出し…

石母田正評伝

磯前順一著『石母田正ー暗黒のなかで眼をみひらきー』(ミネルヴァ書房 2023)を取り寄せて読みました。歴史社会学派の旗手、また名著『平家物語』(岩波新書)の著者として、私と同世代、やや年長の軍記物語研究者たちが敬意と憧憬を籠めてその著作を読…

ジャムを買いに

ジャムとパンを買いに、少し離れた大手スーパーまで出かけました。ともすれば変化のない生活になりがちなので、毎朝のスープ、ヨーグルトに入れるジャム、晩酌の缶麦酒、それにサラダドレッシングをいろいろ探索し、新しい味を試すのをささやかな楽しみにし…

漫画立国

1人の漫画作家の訃報が、世界中で悲しまれているという報道が気になって、ウェブで少々調べてみました。竜の玉7個を集める話は1984年から95年まで、おかしな発明を繰り返す博士が造った少女ロボットの話は1980年から84年まで、いずれも少年漫画…

講談

「日本古書通信」1135号に、目時美穂さんが「音声再生装置としての講談速記」という文章を書いています。明治の半ば頃、大衆紙には小説とは別に、講談の速記が連載され、愛読され、単行本にもなっていた、というのです。明治32(1899)年には東京府下…

アンコンシャス

3月8日は国際女性デーなんだそうで、内閣府のHPには日章旗と大きなミモザの花瓶を背景に、担当大臣の挨拶が載っています。1977年に国連が制定したのだそうですが、遡れば1917年、帝政崩壊に繋がるデモをロシアの女性たちが実施したところからこの日にな…

ジン攻略法

友人から椿の実で香りをつけた五島ジンを贈られてから、呑み方を研究しました。今はリキュールが親しまれる時代になったのですね。私には、ジンは針葉樹の香りのする、透明でむやみに強い、肉体労働者向けの酒、カクテルの材料にすれば都会向けになる、とい…

小さくなる

母国を再び偉大に!というスローガンは、人を熱狂させるようです。しかし弊国で、大きいことはいいことだ、というキャッチコピーが流行ったのは、随分昔のこと。これからは、国土の狭い日本で、産めよ増やせよで右肩上がりの経済成長を維持していけるとは、…

虹の彼方に

同時代史は断片的、自分が通り過ぎてきた一瞬の記憶だけで綴られているので、何かのきっかけでその背景を知り、愕然としたり、腑に落ちたりすることが多い。このブログを書くために調べてみて、へえ~そうだったのか!と驚くこともよくあります。 子供の頃、…

辻井伸行に教わったこと

ドキュメント番組「辻井伸行×ハワイ」(BSフジ)を視て、考えることが沢山ありました。彼の海外ツアーを追うドキュメントは年末恒例番組だったのですが、久しぶりで視たら、童顔ながら肉付きのよい中年にさしかかり、手引きも若い人に交代していました。幼…

少子化の理由

韓国の少子化は最近速度が上がったらしく、その理由を推測した報道を読むと、日本でも同様だという気がします。政府は子育て世代に降り注ぐように金銭的補助をしようとしていますが、エノキさんによれば、出産年代の友人たちは、¥50万貰ったくらいで子供…