日々雑録

郷土資料の文学

野本瑠美さんの「崇徳院と和歌」(「国語と国文学」2月号)、「手銭家所蔵資料の研究と古典講座」(『地域とつながる人文学の挑戦』島根大学法文学部研究センター)を読みました。特に後者は、私自身の経験と重なる点やそれ以後の学問の変化と引き比べなが…

久しぶりの京都

芸能史研究会のシンポジウム「〈平家語り〉の展開と継承」に参加するため、昨日、久しぶりに京都へ行きました。梅雨空に台風接近という悪天候でしたが、新幹線の車窓から富士山がシルエットのように見えました。基調講演(『平家物語』諸本の展開と〈平家語…

写本の形態

佐々木孝浩さんの「平安時代物語作品の形態について―鎌倉・南北朝期の写本・古筆切を中心として-」(「斯道文庫論集」52)を読みました。佐々木さんはこのところ、本のかたちとその内容や格付との関係を追究しています。 平安時代の仮名散文作品について…

心敬の句表現

伊藤伸江さんから送られてきた「心敬の句表現―「青し」の系譜からー」(「日文協日本文学」 2017/7)を読みました。伊藤さんは、心敬が文明2年(1470)に自作の連歌と和歌に自注を付けた『芝草句内岩橋』を、このところずっと、先輩の奥田勲さん…

取り戻せるものならば

5歳の子が「もうおねがい ゆるして」とノートに書き続けて亡くなった、という新聞記事は涙なくしては読めません。未だ間に合うものならば、三途の川の手前まで追いかけて行って抱きとめたい。連れ戻したい。何より可哀想なのは、自分がいけない子と思い込ま…

戦後近松研究史の一側面

先輩の原道生さんから抜刷を頂きました。「戦後近松研究史の一側面(その4)―「近松の会」を中心に-」(「近松研究所紀要」28)という連載です。いわゆる歴史社会学派の旗手の1人だった広末保の軌跡をたどり、その点検と再評価を試みるもの。 鳥取大学…

泣くな女だろ

学会や会議が続き、普段とは異なるエネルギー消費で、ほとほと疲れました。定年後は、徐々にオーラを消していくことを心がけています。老人として街になじむには、現役時代、とっさに発揮できるよう用意していたオーラは邪魔だからです。が、オーラを失いす…

中世文学会

中世文学会2日目に出て、研究発表4本を聴きました。近年は資料紹介に類する発表が多く、仏教・説話・中世どの学会も同じような題目が並び、義務感を掻き立ててやっと出かけるような按配でしたが、今日は、中世文学に向き合おうとする姿勢が明確な発表が多…

琵琶

国立小劇場へ「日本音楽の流れⅡー琵琶ー」を聴きに行きました。今井検校の「竹生嶋」が目当てです。国立劇場へは何年ぶりでしょうか。席に着いて、プログラムを開いて、愕然。今井検校は休演、VTRで解説するとのこと。何があったのか分かりませんが、HPでで…

アマリリス

あちこちの軒先でアマリリスが咲いています。子供の頃、庭に造った円形花壇の真ん中に球根を植え、初めて咲いた時は家族中で喜びました。梅雨の晴れ間にぽっかり咲く、大きな花。野生の草花や和風庭園とは全く違う雰囲気の花でした。 当時は、オルゴールの「…

入梅前

屋内では雨が降り出してもなかなか分かりません。以前のように、路面が濡れると車のタイヤ音が変わることも少なくなりました。「お天気体感中継」なんて番組があるのもそのせいでしょう。数日前からムスカリの球根を掘り上げて干しているので、絶えず窓外を…

責了

3年越しの校正をようやく責了にしました。一昨年末の講演録をもとにした本です。当初「文学研究に未来はあるか」という題だったため、私は真正直に受け止めて平家物語研究の課題を整理して書き、そのまま留まってはいられないので、あちこちで続編、そのさ…

ゲ抜き

我が家のスパティフィラムが2輪、花首を伸ばしてきました。この花の名前がなかなか覚えられません。和名は笹団扇だそうで、これはまたあまりに直接的でつまらないし、やむなく「麵会議のゲ抜き」、と覚えることにしました。794平安、と同じ記憶法です。…

わかりやすさ

一世を風靡した「ヤングマン」は、つまらない歌だと思っていました。わかりやす過ぎるからです。歌手もそれほど巧くない。むしろTVドラマ「寺内貫太郎一家」の中で、「雨の日は煙草が美味しいのよ」と呟く年増の出戻り女性(演じたのはたしか太地喜和子だっ…

運動会の日

昨日の夕方のスーパーはちょっと様子が違いました。30~40代の女性たちがうろうろ、中には外国人もおり、夫が一緒の人もいます。通常、この時間帯にこの年代の女性たちは、目当ての棚が決まっていて、ささっと買い物を済ませるのですが、狭いスーパーの…

食卓の演出

かかりつけの医者がぎっくり腰になって入院しました。胃腸の具合や血流のことを相談する所存で行ったのに、当分診察はできないとのこと。とりあえず、「お大事に」と言って帰ってきました。2歳くらい年上の家父長型の医者だったのですが、新たにかかりつけ…

統計学

若い頃非常勤先で知り合った、専門や出身大学の異なる方々との、講師室の休憩時間の談話は、いま思うと貴重でした。もうどこでお会いしたか忘れてしまいましたが、大きな私大(法学部が有名)の統計学の先生と知り合いになったことがあります。全国を吹き荒…

緑の親指

梅雨空を思わせるような天候です。梔子の蕾が膨らんで来ました。年々樹が古くなって鉢が小さすぎるのは分かっているのですが、これ以上大きな鉢にすると、私の手で動かせなくなるので我慢させています。それゆえ、劣悪な環境下で蕾をつけてくれるのは嬉しい…

一杯の珈琲から

毎朝、一通り家事が終わると、珈琲から仕事を始めるのが習慣でした。仏壇にも上げます。親の世代は、珈琲が青春の思い出につながっているのか、特別な思いがあるようでした。生前、カップに珈琲を注ぐと、「もっともっと!喫茶店のはけちくさくて我慢できな…

ドレスコード

父が生きていた頃は、毎年、彼の誕生日(1月)と父の日(6月)に、ネクタイを贈るのが習慣でした。冬にはウールのカジュアル、夏には麻の単衣物とか、時にはちょっと変わった色をとか、選ぶ方は変化をつけようとするのですが、仕事社会にはそれなりのルー…

談笑力

近所のマンション建て替え工事が進み、敷地の境界ぎりぎりまで造った外郭ができあがって、空地がないため、諸々の作業を我が家の窓下の駐車場でやるようになりました。工事関係者の10時、昼、3時の休憩には円坐を組んでの談笑がうるさい。座中には必ず、…

桜の実の熟する時

朝、長泉寺へ山桜を見に出かけました。そろそろ実が熟する時かと思ったのです。春先の花の時季には毎朝見に行くのですが、葉桜の間は全く寄りつかず、実がなるのかどうかも知らずにいました。葉隠れに赤や黒の熟した実が点々と見えます。戦時中に若木を植え…

『新猿楽記』に見る下級貴族たち

『下級貴族たちの王朝時代―『新猿楽記』に見るさまざまな生き方』(繁田信一 新典社)を取り寄せて読みました。私が知りたかった琵琶法師を含む芸能者のことは、詳しくは触れられていませんでしたが、買ってよかった(¥1620)と思いました。 文字が大き…

応募書類

このところ、申請書類や応募書類を見る機会が続きました。何とも理解出来ないのは、引用文献名の注記方法など、独善的な記載が多いことです。企画や趣旨を説明する大事な文章を、過去のものから抜粋してそのままコピペしたのでしょうか。 例えば、「大谷20…

戦国武将逸話集

大津雄一さんと田口寛さん共著の『戦国武将逸話集』(1910~1918 全4冊 勉誠出版)が完結しました。岩波文庫の『常山紀談』を底本に、現代語訳し、解説(1~3は大津さん、4は田口さん)をつけています。『常山紀談』は岡山藩士湯浅常山(170…

薄暑の一日

今年は季節の移りゆきがちぐはぐです。桜前線があまりに足早で、春が楽しめませんでした。寒い日暑い日がくるくる変わり、全体に2週間ほど早く移っていくものと、追いついていかないものとがある。久留米躑躅は例年通りです。今朝は、伸びすぎた椿の枝をざ…

白いカーネーション

国語学の故進藤咲子さんの御遺族(長女の川上彰子さん)から、お手紙が来ました。没後1周年に、母校でもあり勤務校でもあった東京女子大学の「丸山真男記念比較思想研究センター報告」13号に掲載された、追悼文2本が同封されていました。 故進藤さんとは…

名古屋の伝承文化研究センター

名古屋の林和利さんから葉書が来ました。今春、定年退職したのを機に、伝承文化研究センターを開設した、とのことです。東海能楽研究会・雲形本研究会・逍遥フォーラム・荻野検校顕彰会・万作を観る会・笑い文化研究会などの運営と活動を行い、広く芸能の研…

カオトム

東京駅へ、6月の京都行の切符を買いに行きました。ぶじ購入。駅ナカが増えたなあときょろきょろしながら、小さなタイ料理の店へ入って、胃腸にやさしいものをと、タイ雑炊(カオトム)を注文しました。辛いかなと心配しましたが、鶏挽肉のだしが利いていて…

宙船

11年前、特急で1時間かかる所に住んでいる人の終末を見守りました。いろいろむつかしい事情があって、その上入院した病院の態度がひどく、つらい見守りでした。できればここから逃げ出したいと思う気持ちと、何とかして事態を好転させられないかと願う気…