日々雑録

鼻濁音

高校時代の部活は放送部でした。アナウンスメントの練習ではアクセントと鼻濁音が私にとっては課題でした、我が家は福岡県出身なので。アクセントは、東京でもしだいに一律、平板型に変わりつつある、だから未知の単語はとりあえず平板型で発音しておけばい…

犬化する猫

相手を知る、もしくは話題を引き出すために訊く二者択一の質問があります。海と山とどっちが好きか、清少納言と紫式部では、方丈記と徒然草では(これはちょっと渋い)等々。最もポピュラーなのが、犬と猫とどっちが好きか?でしょう。 私は猫。犬は全身投げ…

ジェンダーとメディア

我が家は親の代から同じ新聞(一般紙では最も進歩的と見られている)を取っているので、ほかの報道と比べたことはありませんが、かつて身の上相談欄があった頃、妻には「不倫」、夫には「浮気」という見出しがつくのを、子供心に不審に思っていました。 日本…

身元不詳

昨夏、石榴の木の根元に芽を出したものがありました。こんな所に何か播いたっけなあ、と考えて紫式部の実をこぼしたことを思いだし、春になったら植え替えることにしました。秋には葉が落ち、しかし枯れず、春先に大きな鉢の隅に植え替えました。 しばらくし…

家ごとの「さきの大戦」・配給物資篇

戦後しばらくは配給制度(米の統制)が続き、米は外米が主でした。たまに内地米、大麦(精白してない)や粟、干した杏などもあり、今なら粟も喜ばれたかも知れませんが、我が家では食膳に上らなかったところを見ると、飼っていた鶏の餌になったのかも知れま…

用があって渋谷へ出かけました。大工事が続き、行く度に通路が変更されています。 この頃の都心では「エスカレーターにお乗りの際は手すりにおつかまり下さい」という注意が出ています。かつては「右側を歩行者のためにお空け下さい」という札が出ていて、利…

蕎麦屋の代替わり

久しぶりに小石川へ行きました。昼頃、用が済んだので、大黒湯の隣の蕎麦屋に入ってみました。親の家にいた頃、よく入った蕎麦屋です。美味しい店でしたが後嗣ぎの息子に嫁さんが来て、大きな水車を店の前に据えたり、パック入りの年越し蕎麦を売り出したり…

風になる

肉親を亡くした時、教え子の1人から「自分も姉を亡くしたときこの詩に慰められました」という手紙と共に、1枚のカードが送られてきました。それには英語で、 Do not stand at my grave and weep, で始まる短い詩が印刷されていました。死者が、自分は風に…

空飛ぶ花

近くに大小2軒の花屋があります。小さい方の花屋では時々おまけをつけてくれることがあって、鶏頭の苗を買ったら珍しい色のカーネーションを1本、つけてくれました。秋らしい、錆朱色の花です。「コロンビアから来たんだ、カーネーションはコロンビア産が…

近世の幸若舞

須田悦生さんの「「女舞」と小田原・江戸の桐座ー近世幸若舞のゆくえー」(「伝承文学研究」66)を読みました。若い頃は芸能史にも目を配っていたのですが、最近は手が回らなくなっていたので、幸若舞の近世(しかも関東で)の生態を初めて知りました。中…

人参

小説や物語に出て来た食物が美味しそうに思えるのは誰しも経験があるのではないでしょうか。父親は玄海育ちのくせに生臭い魚が大嫌いで、箸もつけませんでしたが、なぜか伊豆のくさやは好物。矛盾しているじゃないかと追及したところ、横光利一の「日輪」を…

漢文スタイル

斎藤希史さんの『漢文スタイル』(羽鳥書店 2010)を読んでいます。詩による予言を扱った論文に引用されていたので、そうそう、我が家にもあったっけ、とツンドクの山の中から探し出しました。斎藤さんとは名古屋だったか、国文研の客員を務めた折(ある…

産地の果物

かつての教え子が東郷町の梨を送ってくれました。鳥取県中部にある東郷町は、今は湯梨浜(温泉と梨のある海岸沿いの)町と名を変えたようですが、周囲12kmもある東郷池(ちなみに、日本一大きな池は鳥大の近くにある湖山池。池、沼、湖を区別する基準は不…

中国史における「中領域」

東洋史の平㔟隆郎さんからメールを貰いました。 「難しいあなたの著書論文を、出版社の宣伝と違って、やさしい説明にしてまとめてください」と大学の担当者から依頼がありました。無理難題を自覚しつつ少しだけ工夫して、「戦後60年代ぐらいに、日本の歴史…

家ごとの「さきの大戦」・鶏卵保存篇

うっかりして、冷蔵庫に眠らせっぱなしだった賞味期限切れの鶏卵を捨てようとした時、日頃は用心深い父から、「卵は長持ちするんだから大丈夫」と止められたことがありました。聞き返すと、こんな話をしました―会計将校だった父は、戦地で物資調達に当たって…

古事談の解読

松本昭彦さんの「作られた<詩讖>―『古事談』巻二・第21話考―」(「國語國文」4月号)を読みました。『古事談』巻二の頼長に関する説話を、説話集編者が特別な意味づけを附与したと解釈した論文です。私は単純に、気安い男同士のふざけ合いが過ぎて、生…

秋仕様

表紙を秋仕様に替えました。昭和10年代の揚子江を色鉛筆でスケッチしたものです。

梨列車

鳥取は夏の終わりに20世紀梨、冬の初めに蟹の初出荷という大事な節目があります。鳥大教育学部に在任時代、現職の先生が内地研修の挨拶に見えました。ゼミの学生に何か教訓になるお話を、新任時代のこととか、とお願いしました。ちょっと苦笑いした後、次…

源頼義

元木泰雄さんの『源頼義』(吉川弘文館)を読みました。元木さんはつぎつぎに本を出していますがどれも分かりやすく、安定した記述ぶりで、心地よく読み進めることができます。同じ叢書の『藤原忠実』(H12)もそうでした。 源頼義は八幡太郎義家や頼朝の…

ブルーベリー

後輩から、「退職した夫が庭で作りました」というふれこみで、自家栽培のブルーベリーをどっさり貰いました。新鮮、完熟です。ちょうど、難渋していた原稿がほぼできあがったところだったので、夕食後カットグラスに盛って、冷酒のつまみにぽつり、ぽつり楽…

和文の切れ目

沼尻利通さんの「『枕草子』「春はあけぼの」条の諸問題」(「西日本国語国文学」4)を読みました。枕草子冒頭の、かの有名な段の解釈(区切れ)をめぐる諸説を整理し、考察しています。教材研究には便利でしょう。 春はあけぼの*やうやうしろくなりゆく@…

押し買い

昭和20年代までは、押し売りという商売人(今ふうに言えば飛び込みセールス)がいました。寅さんのような鞄にゴム紐(1,2回洗濯すれば伸びてしまう粗悪品)などの雑貨小物を詰めて各戸を訪ね、玄関先で強引に売る男性です。漫画「サザエさん」にも出て…

費目指定

昨日の朝日朝刊のコラムに「いくらなら払えますか?―国税庁」というギャグが載っていました。巧いなあ、と笑ってしまいましたが、そのうち笑っているバヤイではない、と気がつきました。籠池でなく納税者の我々に訊いてくれ、出来るか、という気持ちはみんな…

神の恋歌

橋本正俊さんの「神の恋歌―三輪明神と口決ー「(國語國文4月号)を読みました。山王神道の伝書『山家要略記』に見える、三輪明神と女神の贈答歌に付された「此歌有口決」について考察したものです。『古今集』では詠み人知らずであった歌が、山王神道におい…

軍記・語り物研究会大会

渋谷の國學院大學で行われた軍記・語り物研究会大会の2日目に出ました。会場が大きかったので、出席数はすこし寂しい感じでしたが、それぞれに真剣な研究発表が5本行われました。 この頃は近世の文献研究が多くなり、いわゆる中世軍記物語の主要作品に文学…

朝のサラダ

都会では雀が減ったと言われていますが、我が家の近辺ではここ数年で増えた気がします。早朝の窓辺でぺちゃくちゃとうるさい。尤も梔子が青虫に食い荒らされなくなったのは、彼らの働きです。 今年は例年と違って日々草を減らし、コリウスを中心にベランダ庭…

日常から

終戦記念日に合わせてさまざまなドキュメント番組や特集記事が眼に入って来ます。軍部の暴走や判断ミス、それに無責任に乗っかって煽る人々―ちょっと待って、プレイバック!と思わず言いたくなるような既視感に襲われることしばしばでした。職場の会議からマ…

家ごとの「さきの大戦」・ラジオ番組篇

我が家には大きなラジオがありました。勿論、未だTV放送は始まっていません。私は大本営発表や終戦の詔勅などは覚えがないのですが、毎日「尋ね人」の時間という番組があったことを記憶しています。ハイケンスのセレナーデという主題曲に乗せて、行方不明…

フリーマーケット

区が主宰するステージ・エコという催しがある日なので、未使用食器を持参して小さな石鹸を貰って来ました。区役所の地下階は不用生活用品を持ち寄ったフリーマーケットでごった返していました。出品は衣料品が多いようで、育ち盛りの子どものいる家は助かる…

家ごとの「さきの大戦」・学校給食篇

茅ヶ崎第一小学校は、私が入学した当時生徒数3000人といわれました。朝礼のラジオ体操で脇に曲げる運動の時、腕が脇腹に当たる音が谺を呼ぶほどでした。下駄履きで通学し、休み時間になるとさっと裸足になって、石蹴りやおはじきで遊ぶのですが、空襲の…