4月1日

朝刊を広げたら、見開き一杯に幾つも顔面アップの漫画のコマ、なんだこれ、と思ってよく見ると講談社の全面広告でした。「もしヤンマガキャラが先輩だったら」という大見出し。ヤングマガジンというコミック誌の宣伝のようです。

「中間管理職の意見ってのは、あっさり曲がる」、「遅刻したら、大切なのは、急いできた感」、「感謝のメール、反論しない、大きめに頷く、これが忍法処世術」、「しっかりホウレンソウしとけよ、あとは上司の責任」、「メモとってるフリ、だいじ」等々漫画論法のお役立ちメッセージで紙面が埋まっています。タメになる名言よりダメになる迷言、未熟さもカッコ悪さも受け入れて、キミのままで社会を生きる助言、なんだそうです。なるほどこれが現代の新社会人世代の感覚かーしかしこのノリで押しまくられたら現役世代は堪らない。寧ろ受け入れ側が予め読んでおく心構えなのかも。

毎年この日に出る、ウィスキー会社の公告もありました。昨年亡くなった作家が、2000年4月に初めて書いた原稿の再掲だそうです(それ以前は確か丸谷才一が書いていた)。「空っぽのグラス諸君」と題して、要領よく器用にならなくていい、それより仕事の心棒に触れろ、それには自分が空っぽになって向かうことが必要、嫌なことがあった時はグラスと語れ、案外と酒は話を聞いてくれるものだ、と言っています。

そう、どんな職業も自分なりの言葉でその本質を掴めなくてはいけない。不動産屋は物件を売りつけるのではなく、お客さんを安心させることが仕事だと言った営業マンに出遭ったことがあります。例えば教師は教えるのが仕事ではなく、生徒をみる(熟視する)のが仕事。その子がその子らしくなっていくのに必要なこと、邪魔なことを見抜いて、そうなるように付き合って送り出すのが、仕事の心棒だと私は考えています。