少子化の理由

韓国の少子化は最近速度が上がったらしく、その理由を推測した報道を読むと、日本でも同様だという気がします。政府は子育て世代に降り注ぐように金銭的補助をしようとしていますが、エノキさんによれば、出産年代の友人たちは、¥50万貰ったくらいで子供を作る気にはならないと言っているのだそう。そうだろうなあ、と私も思います。そもそも意識的に子供を産まないのは、出産費用だけが理由ではないでしょう。

何よりも、いまの生活を10年近くトーンダウンしなければならないこと(特に女性は)への躊躇、20年近く後の日本社会が平和で幸福な人生を保障してくれるかどうか分からない(どちらかと言えば悲観的見通し)ことへの不安、そして兄弟姉妹の少なかった自分の経験から親業を成功させる確信が持ちにくいこと・・・それらの「漠然とした不安」が、とてつもなく大きく思えるのではないでしょうか。

それはつまり、真面目にふつうにやっていけば、人生最後は何とかなる、という楽観主義、予定調和を信じる環境にいないということです。そんなもの保障できない、と言ってしまえばおしまいですが、まあだいたいそうなるだろう、くらいの安心感も持てないのが現在の日本社会なのです。

しかし冷静に考えてみれば、そのくらいの安心感がある社会を維持するのが政治ではないでしょうか。それを目指して選挙に出、議会に登場し、政策実現に奮闘していると信じて、私たちは議員諸君に血税から給与や諸経費を出すことを黙認しているのではなかったか。産めよ増やせよと言われても、その子たちが安心して暮らせるかどうか分からないのに親になるわけにはいかない、自分たちの一生をそれに賭けるわけにはいかないー大声では言えないもののそんな気持ちが、少子化の根底にあるのでは。