信濃便り・山茱萸篇

長野の友人から、写メールが来ました。

信濃の早春

山麓に住む中学の同級生から、野菜を掘り出したから取りにくるようにとのショートメールが届きました。当地では、冬の期間、保存用に土中に大根などの根菜類を埋める習慣があります。日時を決めて友人の家に貰いに行くと、「運んでおいたよ。メールを送っておいたけど・・・」と言われてしまいました。妹が雪の日に転倒して以来、車の運転を控えているとの私のメールを読み、気遣って運んでくれたのだと気づきました。
帰宅して勝手口を見ると、大きなダンボールが2箱。中にはぎっしりと瑞々しい野菜が詰まっており、野菜の傍に新聞紙に包まれた山茱萸の小枝が数本。

我が家にも山茱萸の木はあるのですが未だ小さいため、散歩の途中、塀越しに大木の黄色い花を見かけると、しばし立ち止まって見上げるのが常でした。春を告げる黄色の花はいろいろありますが、山茱萸はけなげな感じがして好ましく思っています。】

茱萸の花

【この友人は家事や畑仕事は勿論、趣味の書道と華道を活かして、地元の武家屋敷でイベントがある時には会場の飾りつけ、中学校の学園祭では後輩たちの指導と八面六臂の活躍ぶりですが、作品を制作する時が一番楽しいと言っています。訪問時に貰って帰った瓶詰めの菊芋の漬物は、サクサクとした食感がなんとも言えず爽やかでした。】

いかにも、故郷に帰って旧友と共に在る、という老後ですね。信濃にも春が来ているんだ、とふと気づけば今日は春分、彼岸の中日。祝日が勝手に動くようになってから、季節の行事と休日が連動せず、危うく忘れるところでした。早速、扇屋へおはぎを買いに行きました。彼岸団子やら花見団子、草餅や道明寺も出ていて迷います。仏壇内の人の好みを優先して、粒餡と黒胡麻のおはぎを買いました。汗ばむほどの日差しでした。