日々雑録

冬野菜を食べる

金柑の進歩に驚愕した話は以前、このブログに書きました。トマトと金柑は、私たちの世代から見ると、往年のそれとは別物のようです。品種改良は日進月歩らしく、葉菜類ではさほど目立たないものの、菠薐草も昔ほどアクが強くなくなりました。最近感心したの…

能登を懐う・2

マンション階上の老婦人とEVで遭って、挨拶しました。毎春桜を訪ねて旧友と旅行する、という女社長です。能登は大変らしい、という話がEVの中で終わらず、玄関前で立ち話になりました。みんな金沢ばっかりに行くけど、能登は海も山もあって、魚が美味しくて…

阿波国便り・年始篇

徳島の原水民樹さんから、初日の出の写真と共にメールが来ました。年賀状代わりの写メールです。 徳島の初日 【初詣には為朝を祭神とする、美馬市穴吹町の白人神社を目指しましたが、道半ばで疲れてしまい、吉野川堤の散歩に切り替えました。私はゆっくり走…

あくまで個人の感想です

久しぶりにセンター試験(今は大学入学共通テストと言うらしい)の、国語の問題を覗いてみました。現代評論、現代文学、古文、漢文の4題であることは変わっていませんが、現代文2問の文章量(関連資料や選択肢も含めて)の多さにまず吃驚しました。率直に…

冬本番

正月の花も残り物の食材もそろそろ尽きてきました。焼餅はバターを載せて海苔巻きにすると美味しいのですが、我が家はバターをやめたので、今朝は洋風雑煮。マギーブイヨンのスープに、合鴨スモークと博多葱と焼餅を入れました(オニオンコンソメでもよし、…

選歌、評釈

季刊の歌誌「玉ゆら」83号(2024新年号)が出ました。比較的高年齢の女性の同人が多いらしく、詠作には介護や老いを歌ったものが多く見いだされます。日常詠が大量に並ぶと、率直に言って1文31字の散文形式と殆ど変わらないなあ、という感があり、…

能登を懐う

能登へは、かつて2度ほど旅しました。能登半島を2日がかりで1周する観光バスがあって、途中の1泊はどこでも自由、翌朝決められた場所に定時に行けば乗り継げる、というコースです。 1度目はほぼ半世紀前。平家物語で以仁王を逃がすために孤軍奮闘した長…

山城便り・年始篇

定年後悠々自適の錦織勤さんに、伏見の正月はどうだった?と訊きました。 【昨年の正月3日は帯状疱疹を発症して苦しんだのですが、年末からの飲み過ぎが原因だったのではないかと(家族には言わず)秘かに反省し、今年はできるだけ飲まないように、と考えて…

1926年前後の柳田国男

伊藤愼吾さんの「1926年前後の柳田国男の物語・語り物研究とその反響ー「東北文学の研究」をめぐって」(『接続する柳田国男』水声社 2023)を読みました。 柳田国男の『雪国の春』(1928)、『物語と語り物』(1946)、『口承文芸史考』(1947)は軍記…

気づかれぬ落差

能登大地震の被害状況はなかなか全容が掴めず、報道機関も苛立っているようですが、あの東北大震災の時もこうだったのだろうか、と今になって思います。当時は日々の予定をこなしていくのに精一杯で、被害の規模や全容は受動的にしか意識できませんでした。 …

信濃便り・床の間の花篇

長野の友人が、正月に床の間に活けた花の写真を送ってきました。 正月の床の間 自宅の庭先から剪ったのだそうで、花屋を探すのに苦労する都市生活とは違います。ちなみに本郷通りの老舗の花屋は、今年は30日から1月8日まで、まるまる休業(フィギュアス…

始動

米国から2通、電子年賀状が届きました。40年前の教え子安宅正子さんからは、アイスランド人の夫と娘2人の報告も交えたニューズレター形式(家庭新聞)でした。 大学2年生の長女は副専攻で救急医療を学び、まもなく級友とアパート暮らしの予定。高校最後…

吾妻鏡と源平闘諍録

清水由美子さんの論文「『吾妻鏡』と『源平闘諍録』ー千葉氏関連記事をめぐってー」(「国語と国文学」2022/12)を読みました。源平闘諍録は真名書きによる平家物語の異本で、千葉氏と深い関係にあることは知られていますが、未だ解明されていない問題の多い…

睨んで御覧に入れまする

机上の時計が止まっていたのに気づかず、團十郎一家のドキュメント番組の頭を見落としました。歌舞伎の世界は、座長を支える大勢の下積みがいて初めて成り立つことは周知の事実。暮には平成中村座のドキュメントを視ましたが、勘九郎の姿勢と團十郎の態度と…

2024正月

元旦の東京は、文字通り雲一つない青天でした(天候のせいだけでなく、人少なになりビルや車の活動が停まったからか)。手抜きした年越しでしたが、いつも通りの祝膳を用意でき、年賀状をめくりながら正午のニュースを視ていると、世界各地で新年を祝う花火…

年賀2024

あけましておめでとうございます 定年後10年経ちます。遊んで歩く所存でしたが、終戦処理をしているうちに、長門切など新資料が続々出てきて、編集者に「週刊長門切」を出そうか、と冗談を言うくらいでした。それが一段落したら、今度は長門本平家物語に関…

古活字探偵12

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖12」(「日本古書通信」12月号)を読みました。「残された謎の足跡」という題で、古典籍を見て歩いていると、ときに不思議な場面に出くわすことがある、という例を書いています。現国会図書館蔵、総見寺(信長の菩…

コロナ後の年越し

朝からキャリーバッグを引く音が町内に轟く2日間。街は空きました。年末年始、東京は街が空いて快適になるのが恒例でしたが、コロナの間はそうならなかったのです。今年は帰郷する人、遠い旅行に出る人たちが増えて、東京の人口密度も適正規模になりました。…

土をめぐる冒険

先日、長野の友人が上京した折に、北越新幹線の車内で見たから、と言って、JR東日本の広報誌「トランヴェール」12月号を持ってきてくれました。「とちぎ、土をめぐる冒険」という特集です。表紙には真っ赤なとちおとめ。 新幹線に乗ると座席ポケットに「ご…

歳末2023

後楽園前の大手スーパーへ、正月の食材の買い出しに出かけました。近所にもスーパーが出来たので、黒豆や蒲鉾などはわざわざここで買わなくてもいい。ちょっと珍しい食材や例年ここで買う物だけを、と思って入ったのですが、ヒット率がぐんと下がったことを…

カネの話

連日、報道からカネの話が流れてくる年の瀬です。それも愉快でない、愉快でない理由が多すぎる、という多重苦を伴って。 政党交付金が問題だ、とずっと思って来ました。政治資金規正法は、金権政治の芽を摘むのでなく培養する方向を向いている。その上に、貨…

丸の内で3人

今日は長野の友人と、丸の内で忘年会。朝からそわそわして出かけました。エノキさんから教えられたキッテの新作京料理店を予約しておき、エントランスで待ち合わせしました。巨大なクリスマスツリーが立ち、LEDの豆電球が鏤められています。 KITTEのクリスマ…

アスリート

TVをつけたら、今日は全国高校生駅伝の日だったのでした。午前の女子の部が終わって、外国人留学生らしい選手がヒーローインタビューに応じているところ。駅伝は移りゆく沿道風景を見るのも楽しみ方の一つです。正月の箱根と歳末の京都は、競技なしでも視る…

イブの前夜

日本海側は九州から北海道まで大雪。申し訳ないが雷と雪は映像で視ていると美しく、季節感を満喫できますが、現地では大変。40代、鳥取で吹雪の中を通勤したことが、我ながら信じられない気持ちです。しかし列島の空は繋がっているので、東京も寒い。去年…

山城便り・翡翠撮影篇

京都郊外に暮らす、日本史の錦織勤さんからメールが来ました。昨日このブログで紹介した『摂関・院政期研究を読みなおす』(思文閣出版)の中に、錦織さんの論文が引かれて論評されてるよ、と知らせたところ、ちょうどその論文の続編を書いて寝かせていたと…

摂関期院政期の研究史

有富純也・佐藤雄基編『摂関・院政期研究を読み直す』(思文閣出版)という本が出ました。もとは2016年から始まった読書会の成果だそうですが、いい論文を書いている若手(明翔会の手嶋大侑さんもその1人)を巻き込もうということになって、人数を増や…

歌は世に連れ世は

夕食後、TVをつけたまま賀状書きをしていると、今年逝った芸能人を追悼する番組が放映されていました。我が家にはTV受信機がなかった時期があり(その間NHKの集金人がうるさくて困った)、定年後、TV視放題の境遇になってみて、当時の事実を知る度に、へえ~…

商店新旧

老人ホームにいる従姉から、ゴディバのチョコレートが送られてきたので、お返しには何がいいか悩み、最近本郷通りにできたマカロン専門店から、小さな箱を送ろうと考えました。先週2度も店の前まで行きましたが、休業中。貼ってある予定表では開店日の方が…

ガンジー

賀状が刷り上がってきました。印刷屋から出て歩く本郷通りは、家と家の間の細い隙まで、びっしり黄金色の公孫樹落葉で埋まっていました。日が傾くと忽ち気温が下がっていくのが分かります。例年より2週間遅れのスタート、夕食後、NHKのドキュメント番組「映…

信濃便り・サンタ飛来篇

長野の友人から、定期検診の病院の中庭で撮った、と写メールが来ました。 サンタが来る 今年は雪がないのでイマイチだが、と書き添えてありました。 毎年恒例の野沢菜漬も完了、もう1週間くらいしないと家の味が出ない、と漬物主任の妹さんが言っているとの…