長野の友人が、正月に床の間に活けた花の写真を送ってきました。
自宅の庭先から剪ったのだそうで、花屋を探すのに苦労する都市生活とは違います。ちなみに本郷通りの老舗の花屋は、今年は30日から1月8日まで、まるまる休業(フィギュアスケートでリンクに投げ込む花束の特許を持っていて、冬場は寝て暮らせるらしい。働き方改革なのか。顧客としては、子孫に美田を残すなという格言が頭に浮かびます)。大掃除が済んでから花屋へ駆け込んでいた20年前は、もう大昔。我が家はやむなく、少々遠い、高値の花屋まで行って、南天を幹ごと1本買ってきて活けました。冬の南天は葉も美しく、部分的に紅葉していながら光沢のある緑がめでたさを感じさせます。
【この木瓜は親戚からもらいました。露地栽培の木瓜は春の花ですが、これは正月用に育てられたもので、背景は北信濃にある高山村の春の夕景の写真。知人のアマチュア・カメラマンが撮影しました。中央に枝垂桜が咲き、遠く屏風のように聳え立つのが北信五岳(斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯綱)です。】
我が家でもあの花屋がふつうに営業していた頃は、木瓜の大枝を買ってきて水盤に活けたことがありました。正月が済んでも次々に蕾が開き、さらに新芽が出てきて始末できず、当惑しましたっけ。もう母の形見の水盤は大きすぎて私には扱えなくなり、今年は南天と水仙と淡い桃色の薔薇を信楽の甕に活けたら、エノキさんが香りに気づいて褒めてくれました。そう、香りもまためでたさを演出します。玄関口でフリージア、廊下へ入って水仙、と通過する瞬間に、微かだが清涼な香りがするのが新春らしい(例年はスイートピーも買うのですが、今年は手に入りませんでした)。正月の祝膳も、屠蘇酒や八角のエスニックな香りのおかげでそれらしくなりました。明後日はもう松明けです。