2024正月

元旦の東京は、文字通り雲一つない青天でした(天候のせいだけでなく、人少なになりビルや車の活動が停まったからか)。手抜きした年越しでしたが、いつも通りの祝膳を用意でき、年賀状をめくりながら正午のニュースを視ていると、世界各地で新年を祝う花火が盛大に揚がる映像が流れました。

オーストラリア、パリ、ドバイー不意に人気のないキーウの教会が映り、涙が出そうになりました。高齢感情失禁、と茶化そうとしましたが、いいえ、花火を楽しめるのは平和な証拠。キーウでもガザでも、いまこの瞬間に生を脅かされている人がいる。私たちは無力にニュースを見聞きしているしかないのでしょうか。

しゅんとしながら戻り年賀を書いて投函し、夕方、TVのスイッチを入れたら画面にウィンドウが幾つも開いている。一瞬、リモコンの操作を誤ったかな、と思いましたが、どこかで災害が起きたのだと気づきました。能登で大地震、「Evacuate!」「つなみ!にげて!」というメッセージが画面に出ています。ここ数年、珠洲周辺で地震が続き、心配されていたことは知っていましたが、元旦に起きるなんて。

暫く視ていてもが同じ画像が繰り返し流されるだけなので、チャンネルを換えてみましたが、NHKはBSもEもGも同じ画面でした。あの辺は木造屋根に立派な重い瓦(雪が染みこまないよう釉薬を掛けた瓦です)が乗っている家屋が多いけど、と思いながら視ていると、日本海の海岸線全てに津波注意報、警報が出ている。鳥取境港でも60cmの津波、アナウンサーが、60cmでも波の力には大の男でも足を取られます、と付け加えていました。子供の頃、湘南の波打ち際で、引いていく波の力で足が砂に食い込んで行くのに抗った経験を思い出しました。

平和な正月は今や殆ど幻想なのでしょうか。寒空に堪える人たちに加護あることを。

[追記]今日の夕方、TVのスイッチを入れたら、またしても不穏な画面が出ました。羽田で海保機と日航機が衝突して炎上、日航機の乗客乗務員全員は避難できたが、海保機は機長以外5人全員死亡、という。報道によれば震災救援物資を新潟空港へ運ぶはずだったそうで、時間差など機長の言い分には不可解な点があるようですが、働き盛りの乗員たちはすでに被災地へ心が飛んでいたはず。「悲しくて悲しくて、とてもやりきれない」という歌が、眠りにつくまで耳一杯に溢れました。