2024-01-01から1年間の記事一覧

越前だより

この春、福井高専に赴任した大谷貞德さんから写メールが来ました。勝手の違う職場であたふたしている、とのことです。所在地は鯖江ですが、新幹線が通ったので、敦賀経由でぐっと便利になりました。HPを見ると、さすが工業専門学校、ストリートビューで校内…

日曜の構内

午過ぎ、朝刊を持って東大構内へ出かけました。樟の葉が新旧入れ替わる時季で、足元は大量の落葉。正門脇の桜は満開でしたが、周囲の根から蘖が群生し、まるで灌木の桜の藪のようです。老木になり、しかし染井吉野は実生で次世代を作ることができないため、…

HANAMI2024

午後から、恒例の花見に出かけました。長野の友人が、わざわざこのために上京して来て、待ち合わせました。最近できた商業施設で台湾料理の杏仁スムージーと胡麻団子を買い、東京都戦没者霊園のベンチでお八つ。2人ともスムージーは初体験です。桜は満開で…

水戸便り・サクラサク篇

40年近く前の教え子が水戸に住んでいて、ケータイで撮ったらしい写メールを送ってきました。一人娘が一浪して自治医科大学に入った、との知らせです。 サクラサク校舎 国産ロケットの打ち上げ見物や、ボーイスカウト(女の子も入れるらしい)や、防衛大学…

大和便り・三春滝桜篇

天気予報では今日が東京の桜満開日。しかし我が家の近辺では二,三分咲きです。長泉寺へ行ってみたら、境内では山桜が満開になり、どこにこんなにいたのかと思うほど沢山の蜜蜂が花の中を忙しく飛び回っています。老人2人がスマホ撮影して去り、プードルを…

川越便り・羽根布団篇

暫く別府で悠々老後を満喫していた友人が、川越に戻って庭の手入れをしている、というメールを送ってきました。早春を告げる、可憐な草花を植えた庭なのに、眺める主が留守で荒れていくのは想像するだけで寂しい、と言ってやったら、むっとしたようで、ちゃ…

古活字探偵15

高木浩明さんの「古活字探偵事件帖15」(「日本古書通信」1136号)を読みました。「徳富蘇峰と池上幸二郎」と題して、次回と連続の話題らしい。今回の話題は、蔵書家の独特の感覚で、取り合わせ本が新たに作り出される例です。 お茶の水と水道橋とを繋ぐ坂…

4月1日

朝刊を広げたら、見開き一杯に幾つも顔面アップの漫画のコマ、なんだこれ、と思ってよく見ると講談社の全面広告でした。「もしヤンマガキャラが先輩だったら」という大見出し。ヤングマガジンというコミック誌の宣伝のようです。 「中間管理職の意見ってのは…

信濃便り・福山観光篇

長野の友人が福山に旅行したから、と写メールを送ってきました。学生時代、寮で同室だったグループが、未だに年1回集まって旅行するのだそうです。60年近く経ち、それぞれ異なる暮らしをしているのに、すごい!女の友情は永続するか否かの議論なんて、問…

開花宣言の日

春の嵐が去って、アスファルトの地面もたっぷり雨水を吸い込み、やっと三月尽に相応しい天候になりました。一昨日若い人の首途の祝膳に出した鯛の頭で、潮汁を作って朝食。重い冬の掛布団を畳んで、軽い羽根布団を干しました。ベランダでは紫蘭の蕾が出て、…

古活字版から整版へ

岩城賢太郎さんの「『源平盛衰記』における古活字版と整版とー表紙裏古活字版反古無刊記整版本の調査報告を手掛かりにー」(「武蔵野文学館紀要」13 2023/3)を読みました。丹念な調査に基づき、元和寛永古活字版から乱版(1冊の中に古活字版と整版…

完食指導

「完食指導」という語があるのを初めて知りました。学校給食で1人前を残さず食べるよう指導(時には強制)することを言うのだそうです。「食育」という語は知っていましたが、完食指導は否定的な響きを伴っているらしく、幼時の体験がトラウマになって、「…

ゴトジンの一夜

昨夜、高木浩明さんが資料調査のついでに、と仕事仲間を連れて来訪。五島ジンを吞みながら4時間ほどお喋りしました。 2人ともジンは初体験らしく、こちらも強い酒をいきなり呑ませていいかどうか分からないので、最初は小さな盃に、石榴酢とスダチ蜂蜜とで…

落合博志最終講義

国文学研究資料館を定年退職する落合博志さんの特別講演「古典の本文と出典・解釈」を、オンラインで視聴しました。大学院時代から半世紀経っているのに、彼は全く変わらないー外観も話し方もその学識も。タイムスリップしたようでした。資料館主催だから講…

國學院雑誌1403号

國學院雑誌3月号が来ました。スピアーズ・スコットさんが「和歌の研究と電子資料」というコラムを書いていて、国歌大観のオンライン検索を例に、作品検索、語彙検索、人名検索のほかに人間関係をグラフ化することもできるようになると、もっと便利になるだ…

殿

福島県の相馬の旧藩主(34代目)が、東北大地震後、復興に尽力した話が新聞に連載されていました(「「殿、ご帰還」再起の福島」朝日朝刊経済欄 2024/03/12~16)。まるで読み物みたいに面白い記事でした。 相馬は騎馬武者が神旗の争奪戦を繰り広げる野馬追…

こちらのQRコードから

NHK-TVの番組を視ていて、最近いらっとさせられるのは、屡々司会者が片手を挙げて「詳しくはこちらのQRコードから」と、平然と言う場面です。我が家にはスマホがありません。しかしNHKの受信料は年間前払いで払っています。NHKとの契約は、スマホがあること…

開花前

東京の桜開花予想は、19日、22日、24日と遅れて行っています。播磨坂へ、買物のついでに花見の下見に行きました。バスを降りて眺めると心なし並木の枝先が桜色にうるんでいるように思いましたが、樹下を歩いてみると蕾の輪郭はくっきりしているものの…

マドレーヌ

最近のTVには他人の生活を見せて貰うドキュメントが多く、ドラマチックな話が結構あります。制作側が意図して盛り上げているのが分かると興ざめですが、偶然そういう話題に辿り着いた場合には、リアル感が増し、印象がつよい。殊にテレビ東京には「車代を払…

信濃便り・山茱萸篇

長野の友人から、写メールが来ました。 信濃の早春 【山麓に住む中学の同級生から、野菜を掘り出したから取りにくるようにとのショートメールが届きました。当地では、冬の期間、保存用に土中に大根などの根菜類を埋める習慣があります。日時を決めて友人の…

『明日へ翔ぶ』最終巻

公益信託松尾金藏記念奨学基金は2002年12月に発足し、03年度以来196名の人文学系大学院生を支援して、来年度で終了します。この奨学金の特典は、基金の報告書を兼ねた論文集『明日へ翔ぶー人文学の新視点ー』(風間書房)に、論文を執筆できるこ…

説明責任

最近、耳にたこができるほど聞かされる語がありますー曰く、説明責任。与党総裁は党員に「説明責任を果たすよう求めていく」と繰り返しますが、一向に効き目がないようです。あんまり頻繁に聞いているうちに、はて、どんな意味だったろうという気になり、ウ…

長門切「三十騎には」

平藤幸さんの論考「新出『平家物語』長門切の紹介と考察」(「国文鶴見」58号)を読みました。この度鶴見大学図書館蔵となった、5行の長門切の翻刻とその考察です。源平盛衰記巻35「粟津合戦」の一部、既出の切(鶴見大学図書館蔵「名乗て懸出」の数行…

102年目の魚屋

父の命日が近いので、花を買いに出ました。この近辺では頼れる花屋がなくなって、不自由しています。週末だけ出す店があって、品数は少ないが花が新鮮なので、まずそこへ行ってみました。黄色いフリージアがある。白か紫ならもっとよかったけど、父の好きな…

2万の星

2017年1月から開始したこのブログに頂いた星の数が、本日2万を突破しました。お読み下さる皆様、声援を送って下さる方々、また時折、素敵な写真を送って下さる方に御礼を申し上げます。おかげさまで見守り機能も果たしてくれており、認知症テストを試…

時計屋

腕時計が動いたり止まったりするので、電池切れにはちょっと早いなと思いながら、春日通り沿いの時計店に出かけました。東北訛りの老店主が修理もする店です。先客がありましたが、開いている時が少ない店(コロナ以来、子供たちからもう辞めろと言われたの…

石母田正がいた時代

評伝『石母田正』(磯前順一 ミネルヴァ書房 2023)を読みながら、かつて見慣れた日本史の学者名が次々出てきて、ああこの人はこうだったのか、と知る例が続いたので、日本史の人は本書をどう読むのか知りたくなり、錦織勤さんに問い合わせメールを出し…

石母田正評伝

磯前順一著『石母田正ー暗黒のなかで眼をみひらきー』(ミネルヴァ書房 2023)を取り寄せて読みました。歴史社会学派の旗手、また名著『平家物語』(岩波新書)の著者として、私と同世代、やや年長の軍記物語研究者たちが敬意と憧憬を籠めてその著作を読…

ジャムを買いに

ジャムとパンを買いに、少し離れた大手スーパーまで出かけました。ともすれば変化のない生活になりがちなので、毎朝のスープ、ヨーグルトに入れるジャム、晩酌の缶麦酒、それにサラダドレッシングをいろいろ探索し、新しい味を試すのをささやかな楽しみにし…

漫画立国

1人の漫画作家の訃報が、世界中で悲しまれているという報道が気になって、ウェブで少々調べてみました。竜の玉7個を集める話は1984年から95年まで、おかしな発明を繰り返す博士が造った少女ロボットの話は1980年から84年まで、いずれも少年漫画…