茄子

夏野菜では、茄子が美しい。つやつやした濃紺と蔕の元がグラデーションになった紫色は、漬物鉢の中で惚れ惚れするほど。皮を噛み切る時のぷつり、という食感も好きでした。油によく合い、以前は丸ごと素揚げしたりしてよく料理したのですが、コレステロール値をうるさく言われるようになってから、食卓に上らなくなりました。果肉が無限に油を吸ってしまいそうだからです。

子供の頃教わった下拵えは、必ず切って塩水に晒してあく抜きをしておく、という方法でした。縦に6~8つ切りにして茹で、中華ドレッシングを掛けただけでおかずになります。勿論、油炒めや素揚げしてから煮るのもいい。学生時代に級友が作ってくれたのは、生で胡瓜や青紫蘇と一緒に塩揉みにして、鰹節醤油を掛けただけで、茄子が生でも美味しく食べられることに吃驚しました。

博多では茄子は長いものだそうで、父方の祖母はなすびと呼んでいました。私は長茄子は何だかグロテスクな気がするのですが、父は八百屋の店頭で見かけたら懐かしがって、買いたがりました。どうせ切って、水に晒せば同じなのですけど・・・

味噌汁に入れるのが嫌いだったことは、前にも書きました。種子の部分のぞろりとした感じが嫌なのです。茄子は皮が美味しいのだ、と思っていたのですが、TV番組で、茄子は切らずに加熱して、果汁の旨味を活かすのがコツ、と言っていたので試してみました。蔕の部分だけ落とし、丸ごと電子レンジで8分加熱。熱いうちに取り出して、縦に切れ目を入れ、(我が家はバターとサラダ油を廃止したので)胡麻油と醤油を垂らしました(ラー油でもいいかもしれません)ー美味でございます!果肉は縦に裂けて箸で取り出せ、少し残ったところで皮ごと丸めていただきます。