印度の青鬼

長野の友人から宅急便が届きました。住民登録は未だ東京にあるので、都知事選投票のために上京する予定だったが、コロナ感染者数が増え続けるので断念した、ついては持参する所存だった信濃土産を送った、とメールが来ていたのです。もう随分逢っていない。久しぶりで呑もうね、という約束でした。酒は蔵開き限定高千代があるし、朝のうちに海鮮を買って来よう(長野には海がない)、などと考えていたのですが、駄目になりました。

宅急便には桑の実のジャム、小布施の栗を入れた水羊羹、地ビール「インドの青鬼」が入っていました。日ごろ、この麦酒の命名はすごいな、と思っていたのですが、軽井沢で作っているとは知りませんでした。改めて説明を読んでみると、18世紀の英国で、長く過酷な印度への航海のために、劣化しにくい麦酒として作られた、アルコール度の高い、ホップの効いたIndia pale aleに因んだとあります。ごつい麦酒だと思っていましたが、そういういわれがあったのですね。

濃紫のジャムには、杏や林檎も使われているらしい。箱の中から信濃国が湧き出てくるようで、このところの旅に出られない閉塞感を慰められました。上京を取りやめた連絡は電話だったのですが、メールには、久しぶりに声が聞けて嬉しかった、とありました。川越の友人も、オンライン会議の後、声だけでも聞けてよかった(2人ともPC不具合で、映像参加はできなかったのです)とメールを寄越し、ああ、こういう風に言っただけでも人を慰めることができるんだなあ、と気づきました。

東京は、地方へ持参する手土産に不自由します。東京にあるものは今はどこにでもある。東京土産は雷おこしに限る、と言う人もいましたが、まさかね・・・何かお取り寄せを探して、私も外出できない人に送ろう、と思いました。