学生の日常も大事(1)

COVID19の影響でオンライン授業が広まった今年、これ以前とこれ以降では、大学教育が画期的に変わるものと思っていました。かつて国立大学独法化を経験した教員(大学変革を理解していた、という意味)とそうでない教員とでは、あらゆることで意識が異なり、説得はおろか説明することさえ困難だったように。私はちょうどその頃、私大の中間管理職から地方国大の平教員に転じたので、直接体験者とは言い難いのですが、それでも「大学経営に競争原理が導入された」という劇的変化は知っていました。

今回も似た状況だろうと予測し、現役の仕事仲間たちの苦労を思いやり、でも乗り越えねばならない歴史的変化なのだ、自分はもはや旧世代に属したと勝手に思っていました。今朝、メールチェックのついでにツイッターを覗き、昨晩、#大学生の日常も大事だ と銘打ったネットデモが行われたことを知りました。そこには、大学生(と保護者)の怨嗟の声が満ち満ちていて、吃驚。単なる愚痴の域を超えています。

最初に言い添えなければならないのは、近年の家庭学習習慣の激減(絶滅)です。2000年代半ば位から、ポケット版辞書さえ持って来ない学生が多数派になり、どうやら小学校以来、予習復習の習慣がないらしいと気づき、対応を変えざるを得ませんでした。堪りかねて、文科省の基準では大学の1単位にはその2倍の時間の自習が前提になっているんだよ、と話したところ、みんなきょとん???ーそういう状態で、現在のようなオンライン+課題提出という方式の授業に、突然なじんでいくのは無理でしょう。

教員の方も、映像による、非対面授業のスキルには不慣れです。単に電子器機が使えれば出来るというものではない。学生が、質の低い授業ばかり、とぼやくのもあり得ることです。大学側は一律非対面とせず、①演習や実技指導など ②新入生用の授業 ③小人数の履修科目 のように順位をつけて対面化しては如何ですか。