川越花便り・7月篇

川越の友人から、久しぶりにメールが来ました。コロナで延び延びになっていた腸内ポリープの切除手術を済ませたとのこと。癌ではない、と判って一安心したそうです。

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キツネノカミソリ

植物図鑑で知っていたキツネノカミソリの実物を初めて見たのは、晩夏、臼杵の石仏を再訪した時のことでした。初めて来た時よりも崩壊の進んだ石仏の前に、一面、つくつくと赤い花を捧げていて、奇妙な風景でした。仏前の灯明のようにも見えました。3度目に訪れた時は、大仏の修理や保護が行われ、あの神秘的な雰囲気はなくなっていました。

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シキンカラマツとフシグロセンノウ

カラマツソウは、ときどき栽培されているのを見かけますが、ちょっと西欧風な雰囲気です。キンポウゲの仲間とは意外でした。

伏黒仙翁(右手の橙色の花です)はナデシコの仲間。仙翁花は古くから、前栽の植え込みに相応しい草花として愛好されていたようで、『平家物語』の登場人物を花に喩えて論評した『平家花揃』という小品(室町期の成立)にも出てきます。

山野草好きの友人の庭。よく見ると、チダケサシやホトトギスの葉も写っています。オカトラノオやホタルブクロは植えてないのかしら。

追記:友人からの返信[オカトラノオは水が必要なので、鉢植えを水鉢に入れて栽培していますが、今年の天候のせいか、まだ咲きません。もしかすると今年は花をつけないかもしれません。ホタルブクロはあちこちに広がり過ぎて困るほどです。だいぶ前から咲き続けています。ホトトギスも増え過ぎて困るものの一つです。我が家の庭には4種類のホトトギスがあります。]

益子の浜田庄司記念館を訪ねた日、雑木林にオカトラノオの白い花房やホタルブクロの薄紫の花が埋もれて、ひっそりと雨滴の落ちる音だけがしていたことを思い出します。