学生の日常も大事(2)

各大学の後期授業の方針が、ぼつぼつ出始めたようです。オンライン授業だけ、対面授業との併用、それぞれに大学の事情(学生及び教員の資質も含めて)が出ていて、ふむふむと思いながら見ています。「体験的電子事情」と題したシリーズでこのブログにも書きましたが、コンピューターが普及し始めた頃には、万能感に満ち満ちて推進する人たちと、懐疑的に敬遠する人たちとの間を調整することが、組織運営に必要でした。今回も、オンラインがすべてバラ色の未来方式だと強弁せず、各大学の現状に合わせた上で、ちょっぴり未来志向の味付けをするのがいいのではないでしょうか。

コロナ対応に伴って、今まで目立たなかった現代社会の変化と、それに追いついていない部分とが露顕してきました。大学教育で言うなら、学生生活の変化です。家庭学習はもはや当然の習慣ではないと気づいた頃、もう一つ、私が考え方を変えねばならないと思ったことがあります。それは、今どきの学生生活は、授業(勉学)と部活とアルバイトの3つが、ほぼ同じウェイトを占めているのだ、ということでした。裏返して言えば、現代の社会はこんなにも学生アルバイトの人手を頼って回っているのだ、ということです。私たちの大学時代は、アルバイトはあくまで勉学に支障のない範囲で、趣味と同等くらいの比重でしたが、今やアルバイトのローテーションと授業出席とは、同じ秤に掛けられることもあるのです。

単に経済的事情だけでなく、一種のインターンシップ、社会性の涵養の機会だと私は考えてきました。しかし大学当局や古手教員は、そういう現状をどれだけ理解しているでしょうか。今の学生たちは、あまり時間の自由が利かないのです。勉強嫌い(だけ)なのではない。課題が多すぎる、との悲鳴は、その辺の行き違いもあるかもしれません。