米国からの訪客

米国のボードイン大学教授ワイジャンティ・セリンジャーさんが、40日間の留学のため来日、我が家を来訪しました。春に来る予定だったが、家族全員がコロナに罹り、遅れたとのこと。切望していた留学がやっと叶って、図書館の中を歩いているだけで嬉しさがこみ上げてくる、と言っていました。専門は、源平盛衰記を中心に日本中世文学。

米国の大学は原則として全寮制なので、大学構内をバブルに閉じ込め、留学生は一旦本国へ帰し、ずっとリモート授業だったそうです。国によって時差があるので同じ授業を2回やったのに、給料は5%カット(休学者が増えたため)、物価は8%上がった、もうすぐ子供たちが大学年齢になるので、夫婦でフィナンシャル・プランナーに相談に行ったら、このままでは老後は苦しいと指摘された、と話していました。

今年からは週2回のPCR検査を条件に、対面授業になったそうです。全寮制大学の入試では、高校の成績と小論文のほかに、スポーツや文化行事で発揮できる得意分野があることが必要(寮というコミュニティの中に溶け込めるため)なのだそうで、職場の学生の世話の上に自分の子供たちの心配も加わった、と言っていました。

米国はいま2極分化してしまった、という話も出ました。トランプ再選もあり得る、バイデンは昔の左翼なので今となっては中道派、両陣営から攻撃を食らう結果になるというのです。若い人たちはあらゆることに「社会批判」をするようになり、文学研究でも学校教育でも、家庭内でも、批判意識が乏しい、と批判するそうです。何故そうなったのかと訊くと、インターネット社会だからとのこと。分かるような気がします。

日本文学研究の話もしました。従来の研究とは異なる視点を打ち出したい、でも日本文化の背景を全て知っているわけではないので、時々日本へ来て議論したい、と。