七夕の短冊

知床遊覧船が沈没したらしい、という報道を最初に見た時、ぎょっとしました。まさか観光船が無謀な出航をしたとは考えつかず、北の海で原因不明の沈没、と聞いて頭をかすめたのは、国籍不明の潜水艦と接触したのでは、という不吉な想像でした。ロシアも遭難者の情報はちゃんと伝えてくれているようで、現場は未だ正気を失っていないと安堵したのですが、今は些細なきっかけで、引き返せない重大事に至る可能性があるのだと、誰もが認識していて欲しい。

日本人の多くがすでに、戦時中という感覚を知りません。私も終戦時は物心ついてはいませんでしたが、成長するにつれ戦時の名残りがあちこちに残っていること、それに対する大人たちの特殊な雰囲気は感じ取ることができました。私たちは現在は戦場を遠く離れていますが、五感を研ぎ澄まして軍靴の音が近づいてくる気配を、早いうちに聞き取れなければいけないのです。

反撃力(敵地攻撃能力)とか、核共有とかいう主張は恐いと思います。そもそも日本のような位置と歴史をもつ国が、たとえ防衛戦であれ戦闘に入ったらもうおしまいです。開戦しないためにどうするかを真剣に議論し、全力で備えるべきです。全世界に、私たちは憲法9条を持っている国だから、という顔を向けて歩ける道が王道でしょう。

ウクライナへの軍事援助が両刃の剣であることが、次第に見えてきました。どうしたら彼らを見捨てずに、自国の平和をも守れるか。難問ですが、そういう問題の立て方をしなければならない。冷静で賢い政府を持っていなければなりません。

町内会から、七夕の笹竹につける短冊が配られました。めいめい願い事を書くようにというのですが、書くなら「憲法9条を世界に」。選挙公示後ではアウトでしょうか。