ヴィラ=ロボス

木許裕介さんの『ヴィラ=ロボス ブラジルの大地に歌わせるために』(春秋社)を取り寄せて読んでいます。ヴィラ・ロボスは、アルベニスロドリーゴと並んで興味のあった名なので、新聞の書評欄で本書を見つけ、著者の名前に見覚えがあるなあ、と思っていたら、風間書房の編集者から、あの木許さんです、と知らされました。『明日へ翔ぶ 4』(2017)に、論文「パリのヴィラ=ロボス」を執筆しています。

本書は日本語で書かれた初のロボス伝だそうで、ブラジル外務省の助成出版でもあります。全480頁、細字で参考文献やロボスの作品一覧を含めびっしり情報を盛り込んでいます。木許さんは今は指揮者としても、日本ロボス協会会長としても大活躍らしい。

本書はⅠ生涯と作品 Ⅱ作品総論 の2部構成になっていて、前半が評伝、後半はかなり専門的な作品解説です。またロボスの曲を実際に聴きたい人のために、特設サイトがあり、主な曲の音源が公開されています。https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/6995

評伝を読んで、自分がロボスのことを何も知らなかったことに驚き、むしろ何故覚えていたのか、我ながら訝しく思いました。ショーロス1番(ギター)と、プレリュード(ギター)は確かに聞き覚えがあります。ブラジル風バッハ第9番(合唱)は音の重なりが迫る、不思議な曲で、初めて聞きました。V.ロボス(1887-1959)はブラジルのクラシック音楽創始者、彼国の国民楽派ともいうべき人で、かなりの自己演出家でもあり、多様な創作的試みと共に音楽教育にも熱心だったと記されています。交流のあったセゴビアやルビンシュテインの名が懐かしい。半世紀前、熱中して聴きました。

10代でクラシックギターを習っていました。教則本の最後にアルベニスの「入り江のざわめき」とロボスの「プレリュード」とが載っていて、それを習ってやめたのでした。