釣銭の渡し方

コロナの街には、目に見えない鬱屈が溜まり始めているようです。釣銭がトレイからこぼれ落ちるような渡し方をした店員が、注意した老人を投げ飛ばし、意識不明の大怪我をさせた、というニュースが流れて、怖いなあと思いました。ツイッターのコメントは様々ですが、すぐキレる人は接客業には向いてないよ、という忠告が最も相応だと思いました。わざわざカウンターから出てきて、大暴れするというのは、たとえ老人の注意の仕方が悪かったとしても、常軌を逸しています。

コンビニなどで釣銭を渡す際に、小銭をレシートに載せて渡すやり方が流布した時期がありました。受け取るとき、レシートの紙の反発力で、1円玉のような軽いコインは飛び散るので困る。いちいち店員に教えました。今度はレシートにくるんで渡すようになりましたが、やはり軽いコインがこぼれ落ちる。素早く人差し指と中指でレシートを挟み、掌でコインを受ける習練を積みました。若い人は知らないでしょうが、年を取ると、小さなものがつまみにくくなり、掌に包み込める量がぐんと減るのです。多分、掌の筋力が弱って、微妙な力の出し入れが出来なくなるのでしょう。

コロナ対策で、釣銭は直接受け渡しせず、トレイに入れて出す、という習慣になった(変な習慣です。もともとお金は非衛生的なもの。店ごとに小銭を消毒してはいないでしょうに)ようですが、老人は上記のような理由で、コインが素早くつまみにくい。おまけにマスクをしていると視野が狭くなって、手許がよく見えません。

もうひとつ大事なこと。我が家は子供の頃から、礼儀作法をうるさくは言われませんでしたが、お金の渡し方には注意するよう言われました。小銭でも丁寧に、ゆっくり渡せ、投げるような動作をしてはいけない、と。センシティブな受け渡しだからです。