現代史

日本史の錦織勤さんからメールで、『無常の鐘声』(花鳥社)の読後感が送られてきました。本書には歴史学の論文を入れられなかったので、歴史学視点の感想は貴重です。

【昨日、『無常の鐘声』が届き、「平家物語の軌跡」を拝読しました。面白いと思ったのは、15頁からの、「物語」(当時の人々にとっての現代史)、という視点からの論述の部分でした。いつの時代でも、自分が生きている時代がどのような時代で、どう総括すればいいかは、重要な課題であったというのは、確かにその通りだと思います。
それは、望まない方向で世の中が動きはじめたように見える現代でも同様で、私なども、いまはどういう歴史の流れの中に位置づけられるのか、この先はどう進むんだろうか、誰か眼の覚めるような論を示してくれないものか、とか、現代史を少し勉強してみようか、などと思ったりもします。
そういう、その時代に生きている人の切実な要請のようなものと、平家物語の諸本が密接に関わるという認識は、とても新鮮でした。(錦織)】

そうか、歴史学をやる人はこういう風に読んでくれるのか、と勇気づけられました。同時に私たちは、現代の文学(日本も世界も含めて)について、こういう眼(娯楽以上のものを要求する眼)を持っているか、と反省させられました。

よし、がんばろう、と思ったのですが、今は京都住まいの錦織さんのメールには、こんなことも書いてありましたー【7月の初めに風邪を引いて、私にはよくあることなのですが、長引いて、治るのに2週間以上かかりました。医者に「なかなか治らなくて・・」と言ったら、「難しく考えんと、ゆったり過ごさはったらいいんですよ」と言われ、そういうものか、と納得しました】と。なるほど、定年後なんだからな、と私も納得。