さまざまの事思ひ出す桜かな

短い原稿を送り出し、ゲラは当分来そうにもないので、花見に出かけました。例年、友人と歩くお決まりのコースがあるのですが、今年は友人が月末まで来られないというので、その日まで保ちそうな木を下見することにしたのです。

15日には、東大工学部棟の脇の並木が満開でした。23日には南大塚の並木が7,8分咲き。今日はまず伝通院へ行ってみましたが、ちょうど葬式の終わったところで、車の出入りが慌ただしく、境内の巨木2本をゆっくり見ることはできませんでした。歩いて播磨坂まで行ってみると、9分咲き。見事です。連翹や海棠、ベツレヘムの星と呼ばれる花韮が足元に咲き乱れ、子連れのママたちが大勢いて、賑やかでした。

播磨坂は昔は清水谷といって、「太陽のない街」と呼ばれた零細印刷業者が並ぶ路地へと降りていく坂でしたが、いつの間にか高級マンションが建ち並び、セレブ(?)の住む街になりました。スイーツ自慢らしい小さな喫茶店があったので、桜並木を見渡す席に座って、カシスのケーキと珈琲で一服しました。濃厚な味のケーキです。シュークリームが人気商品だというので、テイクアウトしました。高校時代の母校の裏を通り、学部時代の母校まで、休み休み2時間半歩きました。母校の門前に4本並んだ桜は、2分、5分、3分、9分咲きとまちまちでした。

教育大跡地(教育の森公園)には古木の桜並木があります。あちこち剪定されて不思議な樹形ながらも見事に咲き、間に若木も植えられていました。年を取ると桜を観るのに感慨があります。若い時はそんなことは想像もしなかったのですが、今年も桜を観ることができた歓び、過去に眺めた桜の思い出、自分がもしも別の人生を歩んだとしたら、そして来年は、どんな状態でこの花を観るのだろうか・・・と。