呑む理由

去年差し上げたムスカリの球根が発芽しなかったとのことで恐縮し、小さな鉢に植えておいた株を改めて差し上げる、との理由づけで、3人連れで呑むことにしました。以前にも入ったことのある焼き鳥屋、差し向かいで喋りまくりながらの3時間半。たっぷりの濃厚接触でした。徳島旅行のお土産ということで、銘酒と山菜をどっさり頂戴しました。隣席は、かなりの殺気を発するサラリーマン3人連れ。働いていれば、コロナ自粛に従って職場と家の往復だけ、という生活はできません。

私以外の2人は日本酒に飛び抜けて詳しいので、メニューを見ては次々に1合ずつ、各地の銘酒(主に東北の酒だったようです)を注文。よもやまの話が弾みました。4世代と生活を共にしている人からは、認知症グループホームの話、コロナ休校でこのところ世話をしている孫の話、工学部から法学部へ転部した人の若い頃の話や、コロナ騒ぎで公共図書館が閉めてしまったために仕事が上がったりだという話・・・普段は触れることのできない、しかも合間合間に共鳴できる話題が、ひょい、ひょいと出てくるところが酒の席の醍醐味です。

学術雑誌の査読の公平性をどう担保するのか、若手研究者を後押ししたその後のこと、特別支援教育の現在、酒席初心者は弱い酒を呑まないことが鉄則だと教えられたこと・・・この店が客に選ばせる盃が結構いい焼物だったので、私も気分よく呑むことができました。肴は鴨の串焼き、鶏皮のポン酢和え、茄子と南瓜のスペインサラダ等々。

最後に抹茶アイスクリームを食べ、未だ少し寒い早春の街へ出ました。駅までの間に入ってみたい店を幾つも見つけ、また呑みましょう、と言って別れました。